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訪問マッサージを受けるには?対象条件や自己負担額、利用の流れを徹底解説

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訪問マッサージを受けるには?対象条件や自己負担額、利用の流れを徹底解説

訪問マッサージの基本知識

訪問マッサージとは

訪問マッサージとは、国家資格(あん摩マッサージ指圧師)を持つ施術者が、自宅や介護施設などに直接訪問して施術を行うサービスです。通院が困難な方でも、住み慣れた環境で専門的なマッサージ治療を受けることができます。

訪問マッサージを受けられる場所

主に自宅、有料老人ホーム、グループホームなどです。施設によっては、訪問マッサージ師が定期的に訪問するスケジュールが組まれている場合もあります。

施術の種類

主にあん摩、マッサージ、指圧の3つに分類されます。

あん摩 衣服の上から手のひらや指で体を押したり揉んだりして血行を促進 指圧 指や手のひらでツボを刺激して体の不調を改善 マッサージ

皮膚に直接触れながら筋肉の緊張をほぐす

(訪問マッサージでは衣服の上から行う場合が多い傾向があります)

施術部位

医師の同意書に基づいて決定されます。一般的には、肩や腰、膝などの関節周辺、手足の筋肉、背中などが対象となります。寝たきりの方の場合は、床ずれ予防のためのマッサージや、関節の可動域を広げるための施術も行われます。

訪問マッサージの効果

血行促進により、冷えやむくみの改善が期待できます。筋肉の緊張をほぐすことで、肩こりや腰痛の軽減にもつながります。また、関節の可動域が広がり、日常生活動作の改善や転倒リスクの軽減も期待できます。

また、身体的な効果の他に、精神的な効果も期待できます。マッサージ師との会話が気分転換となり、孤独感の解消にも役立ちます。

訪問マッサージの対象者と条件

訪問マッサージを利用できる対象者は、歩行困難などの理由で通院が困難な方です。具体的には、以下のような方が該当します。

要介護認定を受けている
身体障害者手帳を持っている
医師から通院困難と診断された方

年齢制限はありませんが、年齢にかかわらず通院が困難な方が対象です。

利用には医師の同意書が必要です。この同意書は、マッサージ治療が医学的に必要であることを証明するためのもので、健康保険を適用する際には必須となります。


利用するメリットと注意点

訪問マッサージを利用するメリットは、通院の負担がないことです。家族が病院まで送迎する必要がなく、交通費もかかりません。利用者も住み慣れた環境でリラックスして施術を受けられるため、ストレスが少なくなります。

定期的な訪問により、体調の変化を専門家に観察してもらえることも大きなメリットです。マッサージ師は、利用者の体の状態を継続的に把握し、必要に応じて医師や家族に状況を報告します。これにより、早期に体調の変化に気づくことができ、適切な対応が取れます。

一方で、注意点もあります。訪問マッサージは医療行為ではありますが、症状によっては効果が限定的な場合があります。重篤な疾患の場合は、医療機関での治療優先のため、訪問マッサージだけでは十分でない可能性があります。

また、定期的な訪問のため、利用者・家族との信頼関係が重要です。相性が合わない場合は、事業所に相談し担当者の変更ができる場合もあります。

訪問マッサージ事業所の選び方と利用の流れ

訪問マッサージ事業所の選び方

訪問マッサージ事業所を選ぶ際に確認すべきポイントは下記のとおりです。

国家資格(あん摩マッサージ指圧師)保持者が在籍しているか 国家資格者のみが医療保険での訪問マッサージを行えます。そのため、事業所に資格保有者が在籍していることは必須条件です。事業所のホームページや資料で、スタッフの資格について明記されているかをチェックしましょう。 事業所の実績と評判 設立年数、利用者数、地域での実績などを調べることで、信頼できる事業所かどうかを判断できます。包括支援センターやケアマネジャー(介護支援専門員)からの情報収集も有効です。 対応エリアと訪問可能時間 自宅が事業所の対応エリア内にあるか、希望する時間帯に訪問可能かを事前に確認しましょう。一般的には平日の日中が中心ですが、土曜日や祝日にも対応している事業所もあります。 料金体系の透明性 健康保険適用時の自己負担額、交通費、その他の費用について、明確に説明してくれる事業所を選びましょう。後から追加料金が発生するようなトラブルを避けるため、料金について詳しく確認することが大切です。 トラブル対応の可否 訪問マッサージは医療機関とは異なり、緊急医療対応は行えませんが、体調不良時の訪問可否やマッサージ師が都合により訪問できない場合の対応方法などを確認しておくと安心です。

申し込みから実際の施術開始までの流れ

訪問マッサージの利用開始までの流れは、下記の通りです。

医師の診察を受診

かかりつけ医に相談し、訪問マッサージが必要であることを伝えます。
医師が治療上必要と判断した場合、同意書を作成してもらいます。


同意書取得後、訪問マッサージ事業所に連絡

電話やメールで初回相談の申し込みを行い、利用者の状況や希望する施術内容について説明します。
事業所によっては初回相談や体験施術を無料で実施している場合もあります。


初回訪問

マッサージ師が利用者の身体の状態を詳しく確認します。
医師の同意書に基づいて、具体的な施術計画を立てます。
この際、利用者や家族の希望も聞き取り、最適な施術プランを提案してもらえます。


施術計画の決定

正式に契約を結びます。契約書には施術内容、頻度、料金、緊急時の対応などが明記されます。
契約内容をよく確認し、不明な点があれば遠慮なく質問しましょう。


健康保険の適用手続き

医師の同意書と療養費支給申請書を提出し、審査のうえ支給が決定されます。
この手続きは、多くの場合、訪問マッサージ事業所が代行してくれます。


施術開始後

定期的にマッサージ師が訪問し、継続的な治療を行います。
通常は週2〜3回の頻度で、1回の施術時間は20〜30分程度です。
ただし、健康保険上の上限回数(週3回以内が一般的)や医師の同意内容に応じて、頻度や施術時間が決まります。


訪問マッサージに必要な書類と準備事項

訪問マッサージを利用するために必要な書類の中で、重要なのが医師の同意書です。この同意書は、利用者の症状と訪問マッサージの必要性を医学的に証明する書類で、健康保険適用の前提条件となります。同意書には、病名、症状、施術部位、施術の必要性などが記載されます。

同意書は、かかりつけ医に作成を依頼します。普段から通院している医師であれば、利用者の状態をよく把握しているため、適切な同意書を作成してもらえます。もしかかりつけ医がいない場合は、内科や整形外科の医師に相談しましょう。

療養費支給申請書も必要な書類の一つです。これは健康保険組合に保険適用を申請するための書類で、マッサージ師が作成します。利用者は署名・押印をするだけで済みます。

また、健康保険証を準備しておく必要があります。初回訪問時に保険証の確認が行われ、各種書類への押印が必要になる場合があります。

合わせて、施術を受けるための環境整備も重要です。マッサージを受ける場所として、ベッドや布団を準備します。畳の上でも施術は可能ですが、マッサージ師が動きやすいよう、周囲にある程度のスペースを確保しましょう。

費用の目安と医療・介護保険の適用可否

健康保険適用時の自己負担額

訪問マッサージは、医師の同意書が発行され、健康保険の審査を経て適用されます。健康保険適用時の自己負担額は、利用者の年齢や所得に応じて決まります。一般的には、1回の施術につき300円から600円程度の自己負担となります。

具体的な料金体系は、マッサージ料金と往療料(出張料)に分かれています。マッサージ料金は1部位につき約340円前後、往療料は距離に応じて約230円から570円程度となります。

これらの金額から、利用者の自己負担割合(1割から3割)を掛けた金額が実際の負担額となります。ただし、これは概算であり、実際の料金は事業所や地域により異なる場合があります。

合わせて、頻度による月額費用の目安も把握しておきましょう。週2回(月8回)利用した場合、往療距離や施術内容により幅がありますが、週2回で月1,500円〜3,000円程度、週3回で月2,500円〜4,500円程度になることが一般的です。

健康保険適用には、同意書の更新が必要です。通常は6ヵ月ごとに医師による見直しが行われ、継続の必要性が判断されます。同意書の更新時には、再度医師の診察を受ける必要があり、診察料が別途かかります。

療養費支給申請は事業所が代行し、多くの場合は『受領委任払い制度』により保険分は事業所が直接受け取り、利用者は自己負担分のみを支払います。このシステムにより、利用者は高額な費用を一時的に立て替える必要がありません。


介護保険との違い・併用はできるのか?

訪問マッサージと介護保険サービスは、制度や目的が異なるため、基本的には併用が可能です。訪問マッサージは健康保険の適用を受ける医療サービスであり、介護保険は日常生活の支援を目的としたサービスです。

介護保険の訪問リハビリテーションとの違いを理解することが重要です。訪問リハビリは、理学療法士や作業療法士が行うリハビリテーションで、体機能の維持・向上を目的とします。一方、訪問マッサージは、症状の緩和や改善を目的とした治療行為です。

併用する場合の注意点として、同じ目的で複数のサービスを利用することは原則として認められていません。

例えば、同一部位・同一目的・同一日時の重複利用は認められないため、ケアマネと十分に相談のうえ計画を立てましょう。ただし、異なる部位や異なる目的であれば併用可能な場合もあります。

また、ケアマネジャーとの連携も重要になります。介護保険サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに訪問マッサージの利用を相談し、ケアプランとの整合性を確認してもらいましょう。適切な調整により、より効果的なケアを受けることができます。

訪問マッサージは健康保険の適用を受けるため、介護保険の月額支給限度額には含まれません。このため、介護保険サービスを限度額まで利用している方でも、追加で訪問マッサージを利用することができます。

医療・介護連携の観点から、主治医、ケアマネジャー、マッサージ師のそれぞれが情報共有を行うことで、利用者にとって最適なケアを提供できます。定期的な情報交換により、利用者の状態変化に応じたサービスの調整も可能になります。

実費負担になるケース

費用面では、健康保険が適用されても自己負担額が発生します。長期間の利用では自己負担額も積み重なるため、事前に事業所と費用見込みを確認しておくと安心です。

健康保険が適用されず、実費負担となる以下のようなケースもあります。

医師の同意書がない場合 同意書なしでマッサージを受ける場合は、全額自己負担となり、1回あたり3,000円〜8,000円程度の費用がかかります。 予防や健康維持を目的とした施術 健康保険は治療を目的とした医療行為にのみ適用されるため、リラクゼーションや疲労回復を目的とした施術は保険適用外となります。 通院可能と判断される場合 健康保険が適用される訪問マッサージは、通院困難な方を対象としているため、歩行が可能で通院できる方は保険適用を受けられません。 同意書の有効期限が切れている場合 同意書は通常6か月で更新が必要であり、期限切れの状態で施術を受けると全額自己負担となってしまいます。更新時期を忘れないよう、事業所と連携して管理することが重要です。

保険組合によっては、独自の審査基準がある場合があります。同意書があっても、保険組合の審査で適用外と判断される場合は、実費負担となる可能性があります。事前に保険組合に確認することをおすすめします。

医師の指導・治療目的で継続して行われる施術は医療費控除対象となる可能性があるため、詳細を事前に税務署や専門家に相談しておくと安心です。

自費施術として提供される場合は、利用者のニーズに合わせたより柔軟なサービスを受けられる可能性があります。施術時間の延長や、特別な技術を使った施術など、保険適用では制限される内容も対応可能な場合があります。

まとめ

訪問マッサージは、通院が困難な方にとって貴重な治療選択肢です。利用には医師の同意書が必要ですが、健康保険が適用されれば負担をおさえて専門的な施術を受けることができます。

事業所選びでは、国家資格者の在籍確認と料金体系の透明性などを重視しましょう。介護保険サービスとの併用も可能なため、ケアマネジャーと相談しながら最適なケアプランを組み立てることが大切です。

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