パイセンたちの愛車遍歴【Vol.2】 Every Car,a Chapter of Life.
愛車の一台一台が人生の1ページ。若い頃からクルマを愛してやまないパイセンたちは、どんなクルマを選び、乗ってきたのだろう。きっと、その時々の思い出がクルマと紐付いているはずで、少し大袈裟かもしれないが、人生の軌跡をあらわすと言っても過言ではないかもしれない。十人十色のクルマ選びと、それにまつわるストーリーをご紹介。
幼い頃から常に素敵なクルマがそばにいた
GIRACHA オーナー
RENEさん
日本が世界に誇る〈NAGASAWA(ナガサワ)〉や〈CHERUBIM(ケルビム)〉といったNJSフレームやパーツを使ったトラックバイクのほか、世界に1台だけのオーダー自転車を組み上げ販売している〈GIRACHA(ギラチャ)〉オーナーのRENEさん。故郷であるオーストラリアで過ごした幼少期の頃からクルマが大好きで、これまで様々なクルマを乗り継いできた。
「私はオーストラリアの車文化のある町で育ちました。フォードの工場があり、両親共に古いクルマが好き。母はイギリス車のハンバー・スーパー・スナイプ、父はフォルクスワーゲン・タイプ2(通称ワーゲンバス)に乗っていました。父がいつも、庭でそのワーゲンバスを改良し、修理しているのをぼんやりと眺めていました」
「私たちはよく車でロードトリップをして、キャンプをしていました。オーストラリアの東海岸を10日間かけて車で旅したこともあります。そんな環境で育ったので、幼い頃から車が好きになったのは自然のことでした。おもちゃの車で遊んだり、雑誌や新聞に載っている車の写真やスペックに夢中になったり。今も車輪がつく乗り物に縁があり、古き良きもの、デザインが素敵なもの、性能が良い現代のものと、うまく使い分けながら楽しいカーライフを送っています」
【RENEさんの愛車遍歴】
1987 スズキ カルタス GTI
1987 プジョー 205 Gti 1.9
1965 フォルクスワーゲン タイプ3 ノッチバック
1997 スバル インプレッサ Sti V4
2000 ホンダ シビック タイプR EK9
1961 フォルクスワーゲン タイプ2 ダブルキャブ
2008 トヨタ ハイエース キャンピングカー
2011 フォルクスワーゲン トゥーラン
2014 BMW 523d ツーリング
2002 フォード フォーカス ST170
1992 プジョー 205 Si
【‘97 スバル インプレッサ Sti V4】
「日本に来て初めて手に入れたクルマが、このインプレッサ Sti V4。WRCに憧れて手に入れました。セントラルサーキットで初めてサーキット走行したのも、このクルマでした。岡山T.I.サーキットや鈴鹿サーキットなどでも走行会やレースに参加した、思い出深いクルマです」
「個人売買で購入したのですが、持ち主の方が岡山の山の中に住んでいる方で、最初は駅で受け渡しのはずが家に招かれ、なぜか整備を一緒にやる羽目になり、最終的には彼の家に泊まるように言われました。いよいよ怖くなり、車で逃げようとしたらガソリンがなく、さらに後ろから追いかけられて、随分怖い思いをしました。なんとか帰ることができたのですが、数ヶ月後電話があり、車内にあったユーロビートのミックスMDを返すように言われギョッとしたのは懐かしい思い出です(笑)」
【‘20 ホンダ シビック タイプR EK9】
「僕が大好きな、軽くてシンプルなマニュアルのホットハッチの究極形ではないかと思い選んだクルマ。鈴鹿サーキットや関西の高速道路をよく走らせて、とても楽しかった。走行会に参加して、サーキットのなかでスピードを競うのもスリル満点でしたね。本当に楽しいと感じるには、6000rpm以上まで回す必要がありましたが(笑)」
「幼かった長男のカルをサーキットに連れていったのは良い思い出。ただ、低いシートポジション、硬いサスペンション、大きなブレーキ音、そしてロールゲージがあったため家族を乗せるのには適さず、2人目の子供が生まれるタイミングで手離しました」
【‘61 フォルクスワーゲン タイプ2 ダブルキャブ】
「僕が子供の頃、父親が乗せてくれたワーゲンバスに似ていたので購入しました。普段の足というよりも、パーツを集めて修理し、時間を見つけてはいじっている趣味のクルマ。古いVW エンジンの音や内装の匂いは、僕の幼少期の記憶と結びつきとても懐かしい感じがします」
「手に入れてから随分経ちましたが、今でもずっと大事に所有し続けており、ビーチに空冷バスやビートルが集まるイベントに行ったりして楽しんでいます。僕が子供の頃そうだったように、子供たちも僕がこのクルマをいじっている姿を幼い頃から見て育ちました。僕にとっても、家族にとっても、とても思い出が詰まったクルマです」
【‘08 トヨタ ハイエース キャンピングカー】
「自分の乗りたいクルマ、趣味のクルマばかりを乗ってきた僕が、家族のことを考えて購入したのがこのハイエース。キャンピングカー仕様にしてキャンプや旅行を楽しんでいたのですが、日々が忙しくてそこまで活用できていなかったのと、普段の足としてはちょっと大き過ぎたので、暫く乗った後にもう少し小回りが効くVWのトゥーランに乗り換えました」
【‘11 フォルクスワーゲン トゥーラン】
「フォルクスワーゲン・トゥーランは7人乗りで、友人や家族も乗せることができ、小回りも効くのでファミリーカーとしてとても優秀でした。後部座席には大きなテレビがあり、子どもたちが大喜びしていたのをよく覚えています。走行性能、快適性、安全性とどれをとっても特に問題はなかったのですが、それまで趣味要素の強いクルマを乗り継いできた僕にとって、少し物足りなさも感じていました。もっと満足感があり、楽しく、刺激的なファミリーカーを探したいと思うようになりました」
【BMW 523d ツーリング】
「もっと性能が良く、運転も楽しめるディーゼルエンジンに乗ってみたくて、選んだのがこのBMW。これまで古くて価格も手頃なクルマばかりに乗ってきたので、僕にとってははじめての高級車です(笑)。乗った時はちょっと驚きました。ちょっと踏んだだけでグンと加速し、安全面も配慮が行き届いており、とにかく快適。BMWならではの“車を操っている感”がとても楽しいと思いました。日々の足として、現在も所有しています」
【‘02 フォード フォーカス ST170】
「数年前から、セカンドカーとして、僕が19歳の頃乗っていたプジョー 205にまたどうしても乗りたいという思いが強くなりました。そこで205を探していたのですが、なかなか良い車体に出会えず、悶々としている時にこのフォード フォーカス ST170に出会い購入しました。マニュアルのヨーロッパ製ハッチバックで、しっかりと成熟したキャラクターを持っていて運転が楽しく、クルマとドライバーが一体になれるクルマでした」
【‘92 プジョー 205 Si】
「そして3年ほど前に良い車体を見つけ、念願のプジョー205を購入しました。プジョー205は、人生のなかでも最も好きなクルマのひとつ。僕が最初この車に乗ったのは20年以上前なのに、ずっと心に残り続けていたのは本当に良いクルマだから。時代を超えたデザイン、軽量なシャーシ、トルクのある1900ccエンジン、マニュアルギアボックスを備えたフランス産のハッチバック。今改めて乗ってみても本当に楽しいし、ワクワクします。家族みんなで乗って、街をキビキビと移動するのも楽しいです」
10代の頃からさまざまなクルマに乗り継いできたRENEさん。ライフスタイルが変化するなかで愛車の選び方も変わってきているが、一貫して乗った時の‘‘ワクワク感“は大事にしてきたのが分かる。RENEさんだけでなく、子供たちの思い出のなかにも、この愛車たちは存在し続けていくはずだ。