「ステキね!」さっき手に取ったものと同じ服を褒めまくる認知症の母 #母の認知症介護日記 256
アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
施設に入居する前に財布をなくしていた、母・あーちゃん。その際、父に盗られたと騒いでいたのですが、実家の中を探していたワフウフさんは、そのお財布を発見しました! 実際に父が部屋をあさっていたのは事実なので、それ以上あーちゃんを追及することはありませんでしたが、なくなったと言っているものすべてが、父の仕業ということでもなさそうです。ちなみに、実家の様子をあーちゃんに報告するついでに、父の近況についても伝えたのですが、あーちゃんは一切興味を示すことはありませんでした。物理的に距離を置いたことで、父への関心が薄れているのかもしれません。それならば、いっそのこと、父のことは忘れてくれていいのに……と、ワフウフさんは思っていたのでした。
忘れるのは本当にあっという間
あーちゃんは、決して広いとは言えない施設の部屋の中で、あちこち知恵をしぼりながら物を隠しています。洋服ダンスや寝具の下といった王道の場所もありますが、結局本人が隠した場所を忘れてしまうので、困ったものです……。さらに、高級な洋服のポケットにも、使ったかどうかがわからないティッシュをむき出しのまま入れていて、いつもお上品に振舞っているのに、あまりにもギャップがあり過ぎるあーちゃんの行動に、ワフウフさんは困惑しています……。
父から届いたメール。そこには、お見舞いに行った実妹(私たち姉妹の叔母)の様子などは一切書かれておらず、お金の要求だけがされている状態です。
こんなことを言っていたはずの父。なんだか様子がおかしいような……?
実家で見つけたおもらしパンツのことも考えてみると、もしかすると父も認知症なのでは……? と思ってしまいます。
以前、姉と父が口論になったときのこと。
※たんたん:ワフウフさん姉妹の父。あーちゃんの夫。
父はこんなふうに言っていたそうです。そもそも別居なので、できることは限られてくるとは思います。
恒例のお散歩タイムです。あーちゃんは、こんなふうに言っていましたが……。
そのままセール会場へと吸い込まれていき……。
なんともあーちゃんが好みそうなデザインです。しかし、お世辞にもいいとは言えず……。
店頭では、お気に入りのスカートを見つけたのですが……。
これ、さっきの……。
あーちゃんは、お店のあちこにあった同じ洋服たちを、ただただ褒めています。もちろん、すべて同じだなんて思ってもいないでしょう……。
この日、あーちゃんのこのセリフ、軽く30回は聞きました……。忘れるのは、本当にあっという間なんですね。
父が、私たち姉妹の叔母にあたる実の妹のお見舞いに行ってから、もう丸2週間ほど経過しています。しかし、その後特にどうなったのか報告がないまま、生活費の請求メールだけが届いたのでした。その明細の中には、前回あーちゃんが「負担する必要はない」と突っぱねた税金までちゃっかり入っていて、なんだか違和感を覚えました。実家の洗面所で山盛りのおもらしパンツを見てしまったからなのか、認知症なのかと思ってしまうのです……。
そんなことは知らないあーちゃんは、お散歩中に駅ビルでセールが始まっているのを知っても「洋服はもういらない」と言いつつ、お店に吸い込まれていくなど、相変わらず言動と行動がちぐはぐです。店頭で「これステキねえ!」と言いながら手に取ったスカートを、店内でも見つけて「ステキね!」と言ったかと思えば、ラックに掛かっている同じスカートにも「ステキね!」と言っていて、本当にすぐに忘れてしまうのだと改めて思いました……。
ただ、それは何度見ても新鮮に「ステキ!」と思えるということでもあるので、一概に悪いことだとは思いません。しかし、セールの表示を見てお店に入ったのに、出てすぐまたセールをやっていることに驚くという辻褄の合わない行動には、思わず苦笑いしてしまいます……。認知症って、本当に不思議です。
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ついさっき手に取った洋服のことは忘れてしまうけれど、「セールはお得」だということや、セールをやる時期が決まっているということは忘れていないのが、なんとも不思議ですね……。何度も同じセリフを聞くのは負担が大きかったと思いますが、洋服を見てときめいたり、セールをやっていることに驚いたり、いろいろな感情を持つことがあーちゃんにとっていい刺激になっているといいですね。
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