【インタビュー】鞘師里保、山田孝之とのシーンでは「負けられないと思いました」映画『十一人の賊軍』
十一人の賊軍は「不器用で真っ直ぐな人たち」
――最初に脚本をご覧になった印象はいかがでしたか?
十一人の賊軍は、凶悪な犯罪者の集団ではあるのですが、とても不器用で真っ直ぐに生きた結果、犯罪に手を染めてしまった人たちなんだなと感じました。だから、憎めない賊たちだなと。
――鞘師さん演じる女郎・なつは、火付けの罪状で賊軍に入ることになりますね。
なつは、人を愛することができる女性ではありますが、おそらく自分が欲しい愛情を受けてはこられなかった人なのだなと思います。でも、人を思いやったり、愛したりという感情はしっかりと抱ける人。脚本を読みながら、なつのそんな不器用だけど温かい感情や、芯のある強い部分をしっかりと表現していきたいなと、役作りに対して想像が膨らんだのを覚えています。
――本作の撮影に入る前に準備をされたことがあれば教えてください。
技術的な面でいうと、お芝居のレッスンに通って、アクティングトレーナーの方と時間をかけて役作りをしていきました。あとは日本舞踊も学びました。本作のシーンはほとんどが戦いの場なので、その時代の礼儀作法をしっかりと覚えないといけないわけではなかったのですが、当時の基本的な過ごし方の所作というものは学んでおきたいと思い、着物の捌き方、着付けの仕方などは一から勉強しました。
――本作では登場人物たちが話す言葉も新潟弁を使用されています。
新潟弁はイントネーションがとても難しかったです。私が普段話している言葉とは、抑揚が全く違うので、苦戦するシーンも多かったです。撮影には、方言指導の方も同行してくださっていたので、少しでも違う時は指摘をしていただいていたのですが、指摘されても何が違うのか分からないということもありました。でも、出来上がった作品を観てくださった新潟出身の方に「とてもナチュラルでした」と言っていただけたので、ホッとしました(笑)。
――役作りで特に意識されたことはありますか?
脚本には描かれていない、なつのバックグラウンドについては、白石和彌監督ともお話をしながら組み立てていきました。例えば、家庭に問題があって家計を支えなきゃいけない立場だったのではないかとか、弟がいたんじゃないか、火付けという罪を犯すに至るまでに、こういうことがあったんじゃないか等。なつの性格上、簡単に火付けをするようには思えなかったので、追い詰められてしまった背景があるだろうなと、いろいろと自分なりに考えていました。
白石和彌監督から伝えられた心強い言葉
――白石和彌監督の現場で、俳優として学びになったと感じたことを教えてください。
まずは、自分が生きてきた時代とは全く違う時代を生きる女性を演じるということで、今まで経験してきたお芝居とは役作りの仕方から違っていました。周囲の人から勧められた日本舞踊を学んだことで、実際に撮影でも活かせたと感じることが何度もありましたし、私にとっては学ぶことばかりの現場だったなと。
あと、私は映画に出演することがほぼ初めてだったのですが、少し不安を感じていた私に、白石監督が「僕が責任を持って良い作品にするから大丈夫だよ」と言ってくださったんです。それが頼もしく有り難かったです。
――とても素敵な言葉をいただいたのですね。
もちろん私も全力で頑張りましたが、1人ではなく全員で作っているんだという気持ちになりましたし、不安な気持ちを委ねられる人がいる、引っ張ってくださる人がいるということが、とても心強かったです。戦っているのは自分だけではないということを改めて感じることができた現場だったので、とても大きな経験をさせていただきました。
――本作の撮影は山奥で数か月間に渡って行われたとのことですが、とても過酷な状況下だったとか。
撮影が終わった直後は、「楽しかった!」という思いが強かったのですが、改めて振り返ってみると「超大変だった……!」と思いました(笑)。真夏から冬の初めにかけての撮影でしたし、山奥にセットを組んでいたので、そこまで通うというのも大変でした。
暑い時は暑いし、寒い時はすごく寒くて。足元が悪い日もあったので、足袋が1日中濡れたままということも。なつは賊軍として戦場に行くので、袴も着ていたのですが、少し行動するだけでも不自由があったりと、当時の人たちの大変さを身をもって感じていました。
――本作を通して、役者として課題だと感じたことはありますか?
一つひとつのシーンに対して、気持ちを作って挑んでいますが、その気持ちを本番ではなくリハーサルで出し切ってしまうということがありました。感情を爆発させるシーンだと特に、本番までその気持ちを保っておくというのがとても難しくて。
あとは、役の気持ちに入り込むことがゴールなのではなくて、役の気持ちになった上で、スクリーンでどのように観てもらうのが最善の表現なのかと考えることも必要なのだなと感じました。その表現方法をもっと突き詰めていきたいなと思っています。
山田孝之、仲野太賀らの姿から学んだこと
――本作には山田孝之さん、仲野太賀さんをはじめとした豪華な俳優陣が集結していますが、共演者の皆さんからどのような刺激を受けましたか?
1つのシーンを撮影するのにも、登場人物たちの動線を細かく決めるのですが、どう動くかが決まったら、その人物はどうしてそう動いているのかと、しっかりと理由をつけていかないといけないんです。山田さんや仲野さんを見ていても、その理由付けをとても繊細に調整していらっしゃるのが伝わってきたので、間近で見ることができてとても勉強になりました。
あと、山田さん演じる政との2人のシーンでは、どうしても鞘師里保として緊張してしまう部分もあったのですが、テストの時に山田さんの瞳を見た瞬間、すごく純真な眼差しを向けられたんです。そのおかげで「この瞳に負けてはいけない」と感じて、緊張を抑え込むことができました。本当にとても良い刺激をいただいたと思っています。
――役者として目指している姿や、演じてみたい役柄等があれば教えてください。
こういう役柄を演じたいというのは、正直あまりなくて、どんな役柄でも挑戦したいと思っています。目指しているものといえば、役柄で認知されるような存在になりたいです。本作でいうと、街中で「なつの人だ」と呼びかけてもらいたいなと。
――役柄で認知されたいというのは、どのような想いから?
演じた役柄の名前で覚えていただくというのは、役に対して「良かったね」という感情になるというか、自分の家族が褒められているような、自分が褒められるのとは違う嬉しさがあるなと思っていて。
実際に演じているのは自分なので、自分自身も誇らしい気持ちになるし、作品を通して、私の生きた役がしっかりと観てくださった方に届いたという実感が持てるのではないかなと思います。だから、いつか役名で声をかけていただくのが夢です!
鞘師里保のお気に入りのLINEスタンプは?
――鞘師さんはLINE公式アカウントもお持ちですが、応答メッセージもたくさん登録してくださっていますね。
ほとんどがしょうもないことばかりなので申し訳ないのですが(笑)、今だと20パターンぐらいは登録していますね。いつも自分でポチポチ登録しているので、そろそろ更新したいなと思っています。
――今後、ご自身のLINEアカウントでやってみたいと考えていることはありますか?
アカウントとは少し違ってしまうのですが、私には「さやまる」というマスコットキャラクターがいるので、さやまるのLINEスタンプを作りたいです!
――それはぜひ実現していただきたいですね。プライベートでは、どのようなLINEスタンプを使用されているのでしょう?
「なぞの説明こねずみ」をよく使っています。父が送ってくれたことで知ったスタンプなのですが、とても気に入って自分でも使うようになりました。なんて返事すればいいかわからない時に送って、友達を困惑させています(笑)。
▼鞘師さんが特にお気に入りのスタンプはコチラ
――LINEでよく使用する機能はありますか?
お仕事の関係で返信が夜中になってしまった時は、相手に通知をしないでメッセージを送れるミュートメッセージ機能をよく使っています。
――では最後に、まだ鞘師さんのLINE公式アカウントを友だち追加していない方に向けて、ご自身のアカウントのアピールをお願いします!
本当にゆるいことばかりを投稿しているアカウントなので、責任を負わされる社会に疲れてしまったら、私とゆるい会話をしにきて癒やされていってもらえればと思います(笑)。ぜひ気軽に友だち追加してみてください!
鞘師里保 LINE公式アカウント
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鞘師里保 公式HP:https://rihosayashi.jp/鞘師里保スタッフ【公式】 X (旧Twitter) :https://x.com/sayashi_staff鞘師里保 Instagram:https://www.instagram.com/riho_sayashi_insta/
映画『十一人の賊軍』
公式サイト:https://11zokugun.com/公式X(旧Twitter):https://x.com/11zokugun_movie公式Instagram:https://www.instagram.com/11zokugun_movie/
◆あらすじ明治維新の中で起きた“戊辰戦争”の最中、新発田(しばた)藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11 ⼈の罪⼈たちが「決死隊」として砦を守る任に就く物語。
【出演】 山田孝之 仲野太賀ほか
【スタッフ】 監督:白石和彌原案:笠原和夫 脚本:池上純哉 音楽:松隈ケンタ
2024年11月1日(金)全国公開