愛と呪いの物語、再び――『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映を記念して、乙骨憂太役・緒方恵美さん×祈本里香・花澤香菜さんにインタビュー|「死滅回游」の乙骨は「虎杖を殺しにいくだけ」!?
2025年10月17日(金)より『劇場版 呪術廻戦 0』が復活上映!
2021年12月に公開され、全世界興行収入265億円の大ヒットを記録した本作。5月30日に劇場公開された『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』から続く、乙骨憂太と祈本里香を中心とした「愛と呪いの物語」が展開されます。
また、11月7日(金)より『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』の公開も決定しており、作品の原点でもある乙骨の戦いを振り返る絶好の機会となっています。
アニメイトタイムズでは、乙骨憂太役を演じる緒方恵美さんと祈本里香役の花澤香菜さんに当時の思い出や復活上映に向けた注目ポイントを伺いました。
【写真】『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映記念|緒方恵美×花澤香菜インタビュー
待望の復活上映、『呪術廻戦』ファンの愛と熱意
ーー2021年に劇場公開され、大ヒットを記録した『劇場版 呪術廻戦 0』。今回復活上映されることについての感想をお聞かせください。
乙骨憂太役・緒方恵美さん(以下、緒方):劇場公開後も上映イベントがあったり、毎年『呪術廻戦 0』にまつわる何かをさせていただいて。そのたびに我々は「里香ちゃんの応援上映を復活させませんか?」と言ってきたので(笑)。なので、復活上映のお話を聞いた時は「きたっ!」と思いました。
祈本里香役・花澤香菜さん(以下、花澤):本当ですよね。
緒方:最初は里香ちゃんの応援上映が開催されると思っていました。
花澤:言い続けてましたから。でも普通の上映でした(笑)。
緒方:普通の上映でもありがたいです。
花澤:『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』や第3期「死滅回游 前編」も発表されて、ファンの皆さんも盛り上がっている中、より心が盛り上がるのではないかなと。
ーー公開当時の反響はどのように受け止められていましたか?
花澤:『呪術廻戦 0』の宣伝やイベントなどでいろいろな場所に行かせていただいて、あの時期は緒方さんとずっと一緒だった気がします。
緒方:大ヒット御礼舞台挨拶があるだけでもすごいことです。アフレコ自体は1日しか一緒にできなかったのに、その後はずっと一緒で(笑)。
花澤:どこに行っても『呪術廻戦』ファンの方の愛や熱意がすごく伝わってきました。
乙骨を演じる難しさは成長のスピード
ーーお二人がそれぞれのキャラクターを演じる際、大切にしたことを教えてください。
緒方:乙骨は成長速度が速いので、「どの辺りで、どういう気持ちに達していれば成立するかな」と常に考えていました。繊細に捉えないと間違えてしまって、その次のシーンに行けなくなってしまうので、ズレないようにしようと思っていました。
花澤:原作を読んでも里香ちゃんに関する情報が少なかったので、彼女の家庭環境があまりよくなかったからこそ、乙骨くんとの時間を大事にしていたんだろうなと想像しました。
緒方さんと掛け合いながら「この時、こんなふうに思ってたんだ」「乙骨くんといる時は子供らしい笑顔を出せたんだな」と改めて気づく部分も多かったです。その場で受け取るものがとても多かったからこそ、私自身もその場で感じたままやっていた気がします。
緒方:収録はずっと大変でしたけどね(笑)。
花澤:乙骨くんはアクションもたくさんありますし、特にシーンの切り替わりが激しいですよね。
緒方:先ほども言った通り、あっという間に成長していくんですけど、急激に変わるのもおかしいし、繋ぎながら渡していく必要があります。どこをフックにして、彼が成長するのかを考えながらやるのに精一杯でした。
花澤:そのやり方が本当に繊細で。完成した映像を観た時、「こんな風に一本に繋がるなんて!」と緒方さんの入り込みの深さに感動しました。
緒方:音響監督含めアニメスタッフの皆さんとすごく丁寧な演出を検討する中で、いろいろなディレクションをいただきながら演じていたので、自分でも最終的にはどれが採用されたのか分からなくて。映画の収録後に、ゲームで同じシーンがあっても「どうやったんだっけ?」みたいな。
花澤:再現するのってめちゃめちゃ難しいですよね。
緒方:トップギアでやっているところはいいけど、そうではない間のところや細やかなところは拾うのが難しかったです。ファンの方から「アニメと違いますね」と突っ込まれたらどうしようって(笑)。
花澤:私は里香ちゃんが呪霊になった時のしゃべり方が大変でした。アフレコ現場に行くまで、あまり想像がついていなくて。台本のセリフにはすべて濁点が付いていたので、元々の体と変わって、しゃべりにくい感じ、一方で中身はちゃんと里香ちゃんで、乙骨くんのために動いていることを意識しました。色々なことを考えながら演じていた記憶があります。
ふたりの想いは、切ないけど尊い
ーーご自身の役以外でお気に入りのキャラクターを教えてください。
緒方:それは里香ちゃんしかいません。
花澤:キャ〜!私も乙骨くんが殿堂入りです!(笑)
緒方:ただ、(虎杖悠仁役の)榎木(淳弥)くんとも話したけど、『呪術廻戦』は他の作品よりも人間関係の描かれ方が希薄なんですよね。誰かと誰かがベタベタしているとか、表面的なそういうことは一切ない作品なので、誰が誰よりも好きという感情は浮かびづらい。
花澤:そうですね。でも、私が中学生だったらたくさんグッズを買っていたと思います。
緒方:七海の?
花澤:そうです(笑)。
緒方:私もななみんは好き(笑)。
ーー『呪術廻戦 0』が何度も上映され、たくさんの方に愛される理由や魅力はどこにあると思いますか?
花澤:『呪術廻戦』の始まりのお話なので、『呪術廻戦』を知らなくても入りやすいところは推しポイントかなと。乙骨くんと里香ちゃんの愛と呪いがしっかり描かれていますし、呪術高専の人たちは面白い人ばかりなので……。
緒方:みんな、キャラが立っているからね。
花澤:結構重い話ではありますが、笑えるポイントもちゃんと作ってくれているので、あまり構えずに観てほしいです。
ーー最後に、復活上映を楽しみにしている皆さんにもメッセージをお願いします。
緒方:作品自体が劇場向きですし、劇場版ならではの要素もたくさんあります。また、音響も素晴らしいので、良い音響で音楽ーー劇伴やセリフ、効果音など堪能していただけると嬉しいです。
実は私のライブのサポートメンバーの青山英樹くんが劇伴の演奏に入っていて。私たちはセミプレスコでしたが、彼らの方がフィルムに合わせて演奏して録音したと聞きました。おかげでライブ感いっぱいです。『呪術廻戦 0』は配信やパッケージなどでも観られますが、そういう意味でも、劇場で観ていただけるのが一番楽しんでいただけると思うので、公開当時にご覧になった方も初めての方も、ぜひこの機会に劇場に足を運んで楽しんでいただけたら嬉しいです。
花澤:先日上映されていた『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』で五条と夏油の過去を観た方は、また『呪術廻戦 0』を観たくなっていると思います。ピッタリな時期に上映していただいてありがたいです。乙骨くんと里香ちゃんの想いは切ないけど尊いですし、私はKing Gnuさんの主題歌を聴くたびに涙があふれてしまうので、うかつに聴けなくなりました(笑)。
緒方:私も先日中華料理店でスタッフとご飯を食べていたら「一途」が流れてきたので箸を止めて。曲が終わって食べようと思ったら今度は「逆夢」が流れてきて、また箸が止まりました(笑)。
花澤:そのお店に『呪術廻戦』好きのDJがいらっしゃったんじゃないですか?(笑)上映中は暗いですし、他に泣いている方もいると思うので、遠慮なく泣いていただけると思います!
ーーまた、11月7日(金)には『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』も上映開始となります。乙骨の動向に注目している方も多いと思いますが……。
緒方:どうでしょう……「渋谷事変」の最後で言った通り、虎杖を殺しに行くだけなので。ぜひその殺しのシーンをお楽しみに(笑)。
ーー(笑)。『劇場版 呪術廻戦 0』復活上映とともに、今後の乙骨の活躍も楽しみにしています!
[インタビュー/永井和幸 撮影/MoA]