【平塚 イベントレポ】湘南のお米贈呈式&お楽しみ食事会! - 北金目の無農薬米を未来へ繋ぐ
「夢づくり、人づくり」をミッションに掲げる湘南ベルマーレが2024年から地域と始めた「湘南のお米作り」。
2年目のキックオフとなった2025年6月には平塚は北金目の田んぼで子どもたちが泥だらけになりながら田植えに挑みました。
あれから5ヶ月。この夏、各地では気候変動による干ばつが深刻化。田んぼの水が涸れ果てた新潟では農水大臣が給水車を出動させるという一幕もありましたが、北金目の田んぼでは実りの秋を迎えることができたのでしょうか。
2025年11月22日、冬晴れの土曜日に開催された「湘南のお米贈呈式&お楽しみ食事会!」に伺いました。
「お米作り体験という想い出を子どもたちに残してあげたい」
会場となったのはオーダーカーテンポピー。田んぼのオーナーでベルマーレのオフィシャルパートナーである室義純さんのお店です。
集まった子どもたちを始め、春夏秋と米作りに携わってきた大勢の人たちが店内で流れる田植え体験の映像を懐かしそうに見ながら想い出話に花を咲かせていました。
「今日はとても良い天気に恵まれました。みんなで育てたお米で作ったお弁当も用意しているのでお腹いっぱい食べていって下さい!」
午前10時、室さんの開会の挨拶とともにベルマーレのマスコット・キングベル一世も登場し、お米の贈呈式がスタート。参加者一組ずつに新米が詰まった袋を手渡しながら記念撮影が進んでいきます。
今年のお米の出来を室さんに伺いました。
「全国的に雨が不足しているという話は聞いていましたが、北金目では水が枯渇して困ることはなかったです。どちらかというと暑さがきつくて穂はついているのに実が入っていなかったり、粒が黒ずんじゃったり。でも脱穀と籾摺りが終わってみれば例年通りの収量は確保できていました。」
平塚市は相模川と金目川の流域に広がる平野などで古くから稲作を始めとする農業が盛んな地域。中でも弥生時代には始まっていたと見られているお米の生産量は県内一位ですが、近年は高齢化により担い手が減少。室さんは地元が山ファームの菊池創太さんと一緒に農業ができなくなった生産者の方々から田んぼを借りて地域の無農薬米を守る取り組みを続けています。
「米は日本の主食だし、田んぼを残していく為にも自給率100%、120%を目指していきたいですよね。わたしたちは昔ながらのアイガモ農法で無農薬米を作っていますけど、将来はAIやドローンで今よりラクにお米が作れるようになっているかもしれない。だからこそ未来を生きていく子どもたちに泥まみれになってお米を作った想い出を残してあげたい。そんな思いでこの取り組みを続けています。」
「参加した子どもたちはごはんをひと粒も残さなくなる」
お楽しみ抽選会ではベルマーレの選手たちの直筆サインが入った貴重なグッズも贈られました。憧れの選手たちのサインに子どもたちは未来の自分を重ねていたのかもしれません。
屋外での激しい運動が禁じられる猛暑を始め、大雨や台風で中止となった試合数がこの10年で4倍に増えている中、「サッカー選手になる」という子どもたちの夢を守る為にサポーターとともに気候変動アクションに取り組んでいるJリーグ。チームとサポーターが一丸となってのベルマーレの無農薬のお米作りにも地域の子どもたちの未来にいいパスを出したい、という同じ思いを感じました。
「地元の無農薬のお米を守ろう、もっとたくさんの人に知って貰おうと、室さんの取り組みにベルマーレとしてjoinさせていただいたんですけど、参加してくれた子どもたちはごはんを一粒も残さなくなるんです。田んぼ体験を通じてお米のありがたみをひとり一人が感じてくれているんだと思います。」
と、本当にうれしそうに顔を綻ばせたのは、2014年の現役引退後、ベルマーレのフロントスタッフとなった猪狩佑貴さん。室さんとともにお米作り体験イベントの中心的存在です。
「そういう様々な意義のある取り組みにベルマーレを勝利に導こうという同じ想いを持つサポーターの皆さんと一緒に取り組めていることが何よりうれしいですね。」
地元金目出身の猪狩さんの言葉には、自分が受け継いだ故郷の大切なものを未来へ繋いでいくんだという思いが滲んでいました。
「みんなで収穫したお米を美味しく食べよう!」
メインイベントはみんなで育てたお米で作ったお弁当を囲んでのお楽しみ食事会です。
参加者たちの為に「特製タコライス」と「しらすとローストビーフのランチボックス」という2種類のお弁当を作ってくれたのは「キッチンカナロア」さん。ベルマーレのフードパークにも出店しているキッチンカーで、営まれているご夫婦揃ってベルマーレのサポーターなんだそうです。
わたしもいただいた「しらすとローストビーフのランチボックス」はベルマーレフードパークアワードで5年連続No.1に輝き殿堂入りした逸品です。潮の香りがする湘南の釜揚げしらすと自家製ローストビーフはどちらもごはんとの相性抜群。粒立ちした新米の美味しさをさらに引き立ててくれました。
そんな新米をいただきながら「同じ田んぼで作った米を食べている奴はみんな家族だ」と言ってくれた農家さんの言葉を思い出していました。日本の地域コミュニティは稲作の始まりとともに生まれたものです。田植機も稲刈り機もない時代、地域の人々は互いに助け合って次の年に食べるお米を育ててきました。新嘗祭ではみんなで育てた新米を神様に感謝してみんなで食べていました。
地域の田んぼが地域の人々の絆を深めていく。それは2000年以上受け継がれてきた昔ながらの光景でもあります。
多くの人が田んぼから離れた今、地元のサッカーチームが地域の絆を再生していく上で欠かせない存在になっていることを改めて実感しました。
みんなで泥んこになった6月の田植えから、暑い夏に汗を流して草を取り、米の花の開花とともに迎えた実りの秋。
ようやく辿り着いたゴールである冬晴れの空に、米作りを通じて大切なことを学び、成長した子どもたちの元気な「ごちそうさま!」の声が響き渡っていきました。
湘南のお米贈呈式&お楽しみ食事会!
開催日時
2025年11月22日(土)10:00〜13:00
開催場所
オーダーカーテンポピー湘南ショールーム
住所:神奈川県平塚市徳延2-1-5
駐車場:あり
参加費
25,300円(税込み)/組
共催
株式会社湘南ベルマーレ / オーダーカーテンポピー