石窯で食材の味を引き出す近鉄奈良駅スグの隠れ家イタリアン、イタリア料理薪火料理と自然派Wine 『ocu(オク)』
石窯で食材の味を引き出す近鉄奈良駅スグの隠れ家イタリアン、イタリア料理薪火料理と自然派Wine 『ocu(オク)』
目新しい店舗や古くからの建物が混在し、観光客や地元住民たちが行き交う近鉄奈良駅のすぐ横に位置する高天交差点。
老舗ギター教室『新堀ギター音楽院』の看板横の建物奥へ入る路地を少し進めば、観光地の賑わいを避けるようにしてその店はある。
イタリア料理薪火料理と自然派Wine のお店『ocu(オク)』。
この一風変わったロケーションでどのようなお料理が提供されているのか、期待に胸を膨らませつつお店を訪れた。
素材の旨味が丁寧に引き出された薪火料理の数々
窯焼き野菜
窯焼きの玉ねぎ。
シンプルな料理だが、皮付きのまま窯で焼かれた玉ねぎは中がトロトロと柔らかく、甘みがギュッと引き出されている。
窯で焼くことによって野菜の味が強調されているようだ。
今回は撮影用に半玉で出していただいたが、通常は分割したものを他の窯焼き野菜とあわせて提供される。
パスタ(ディナー)
こちらはディナーコースで提供されているパスタ、“ヤマトポークのパンチェッタとンドゥイヤ パッパルデッレ”。
パッパルデッレは厚みがあり幅広なパスタ麺で、イタリア・トスカーナ州で好まれる。
手打ちのパッパルデッレは、奈良市・都祁(つげ)の風雅ファームの平飼い卵を使用。
表面はモチモチ、中は柔らかく、麺自体の味が強く感じられる。
ンドゥイヤとはカラブリア州に伝わる加工品で、唐辛子を練りこんだ辛みの効いたペースト状のサラミのこと。
こちらも自家製で奈良県産の唐辛子が使用されている。
もちろんヤマトポークのパンチェッタも自家製だ。
少しパンチが強めのソースだが、食べ応えの有るパッパルデッレとの相性はバッチリだ。
これはワインが飲みたくなる。
メインの肉料理(ディナー)
こちらは大和牛の赤ワイン煮込みと寒熟ほうれん草。
寒熟ほうれん草はシーズン外れだが、最終のものが何とか手に入ったという。
さて大和牛だが、こちらも肉自体の味がしっかりと感じられる。
窯焼きは耐熱煉瓦から放射される遠赤外線によって素早く均等に熱が入るため、余分な肉汁が出ず、濃縮された味わいとなる。
自家発酵酵母のマルゲリータ
こちらはランチタイムのメインとなるピッツァ。
旬の食材で調理されたパスタ4種類から食べたいものを選択できる。
生地は酵母種からの手作りで、奈良県産小麦“古都麦(みやこむぎ)”と奥大和の銘水を使っている。
石窯で焼き上げられたピッツァはフワっと柔らかく、甘めのトマトソースとよく合う。
ちなみにバジルは大和郡山産だ。
自然体であること、自然の味を引き出すこと≪照山 智也シェフ≫
オーナーシェフの照山さんは マルケ、ピエモンテ、トスカーナなどイタリア各地域のレストランで腕を磨く中、それぞれの土地で学んだ郷土料理に心ひかれた。
飾らず自然体で料理を作る照山さんのスタイルと、土地の食材そのままの味を引き立てるイタリア郷土料理の手法が見事にはまったのだろう。
照山さんの人柄、料理スタイルを物語るエピソードがある。
毎回、レストラン取材のときにはシェフに一品一品の料理名を確認させていただくのだが、今回は少し勝手が違った。
「いつもお客様と直接お料理のお話をしながら提供しているので、特にメニュー名は決めていないんです」
若い頃は料理の形式に従い、通常のレシピに沿って料理を作ろうとしていたという照山さんではあるが、最近ではルールに縛られず、食材を通じて自由な感性で料理を仕上げる。
このお店の大きな特徴である石窯に目が行きがちだが、照山さんのこの自然な感性こそが、このお店の一番の魅力のように感じる。
奈良市街の奥にあるこのお店では、是非ゆったりと自然体で、料理と食材の奥深さを感じていただきたい。
『ocu(オク)』
●住所/奈良市高天町38-6
●営業時間/ランチ(Pizzaコース):12:00一斉スタート、ディナー(薪火料理コース):18:00 or 18:30 or 19:00スタート
●定休日/水曜日、木曜日、金曜日ランチ
※ランチ(4,500円)、ディナー(8,000円)ともにコースのみ。前日までにインスグラムにて要予約