干潟で出会った小さな甲殻類<スナモグリ> アナジャコとの違いはハサミの左右差?
干潟は、水生生物を観察するのにもってこいの場所。干潟にたくさんある穴をスコップで掘り起こしてみると、貝やゴカイ、カニなど様々な出会いがあります。
エビなどの仲間であるスナモグリは、名前の通り砂に潜る姿が愛らしい生きものです。
スナモグリとはどんな生物なのか?
スナモグリとは、砂地に巣穴を掘るエビやカニの仲間。ハサミ脚を持っていて、その脚は硬いですが、ハサミは左右で大きさが著しく異なり、体は半透明でつやがあってやわらかいです。
北海道南部から沖縄県まで広く分布していて、特に有明海や瀬戸内海などの干潟に多く分布しています。
鹿児島の干潟で出会ったスナモグリの大きさは、1~4センチ程度でした。
このスナモグリ、西日本ではクロダイを釣る時の“釣りエサ”としても名が知られており、「ボケ」と呼ばれることもあるそうです。
その名のとおり潜っていくスナモグリ
スナモグリを見つけて観察をした後、そっと砂地に置いてみると、ガサゴソと動き始めました。ハサミを使って砂を掘り、よいしょ、よいしょ、と頭から潜っていくのです。
尻尾を曲げたり伸ばしたりを繰り返し、どんどん中に入ろうとします。潜っていく姿が面白く、なんだか愛らしく感じてしまいました。
似ている<スナモグリ>と<アナジャコ>
干潟で観察をしていると、スナモグリと似たような見た目の生物がいます。それはアナジャコ。
アナジャコもスナモグリと同様に姿はエビのようで、ハサミを持っています。
小さいサイズだと見た目も同じように白っぽく、区別がつきにくいこの2種。どこで判別するかというと、ハサミの大きさです。
スナモグリは左右のハサミの大きさが違いますが、アナジャコのハサミは左右均等の大きさです。
干潟で迷ったときは、まずハサミを確認しましょう。また、アナジャコは大きくなると、雌雄共に10センチ程度にまで成長します。
アナジャコといえば、巣穴に筆を入れて獲る変わった漁法「しゃく釣り」が有名です。
熊本県で行われている釣り方で、巣穴に筆を入れ、筆を外敵と勘違いして出てきたアナジャコを捕まえるという伝統的な漁法です。
アナジャコは現地で「マジャク」と呼ばれて親しまれています。
干潟は生物との出会いの宝庫
干潟で出会えるスナモグリは、片方のハサミが大きいのが特徴的。見つけた際には、潜る姿まで観察することをおすすめします。
干潟は様々な水生生物と出会える場所。宝探しのような気持ちで遊びに行ってみてはいかがでしょうか。
(サカナトライター:竹原とも)