【東京散歩コース】日本橋・人形町~江戸時代から続く老舗を巡れば、街の歴史も見えてくる~
日本橋は、江戸時代に五街道の起点となったところで、江戸の商業・物流の拠点として栄えた。周辺に日本銀行本店や東証アローズなど金融機関が多いのは、ここが経済の中心地であったからだ。『日本橋三越本店』や『日本橋髙島屋S.C.』といった百貨店は江戸時代の創業。このほかにも中央通り沿いには、江戸・明治創業といった老舗が多い。海苔、かつお節、佃煮、練り製品といった海産物関連が多いのは、ここが魚河岸発祥の地だったからだ。人形町という名は、明暦の大火後、浄瑠璃や人形芝居の小屋が建てられ、人形師が多く住んだことに由来する。水天宮や甘酒横丁を巡った後は、老舗飲食店ののれんをくぐろう。
【散歩コース】
スタート:日本橋駅は地下鉄銀座線で上野駅から8分・180円、渋谷駅から19分・210円。地下鉄東西線で大手町駅から1分・180円。
地下鉄銀座線・東西線日本橋駅→(すぐ)→日本橋髙島屋 S.C.→(7分/0.4㎞)→日本橋→(5分/0.3㎞)→貨幣博物館→(すぐ)→日本銀行本店→(3分/0.2㎞)→日本橋三越本店→(3分/0.2㎞)→福徳神社→(3分/0.2㎞)→さるや→(11分/0.7㎞)→東証アローズ→(11分/0.6㎞)→水天宮→(4分/0.3㎞)→甘酒横丁→(3分/0.2㎞)→うぶけや→(1分/0.1㎞)→地下鉄日比谷線・浅草線人形町駅
ゴール:人形町駅から地下鉄日比谷線で上野駅まで7分・180円、銀座駅まで9分・180円。地下鉄浅草線で新橋駅まで7分・180円。
今回のコース◆約3.2㎞/約50分/約4300歩
百貨店建築初の国の重要文化財『日本橋髙島屋 S.C.』
昭和8年(1933)に建てられた本館は、国の重要文化財。重厚なルネッサンス風の様式に、和の意匠を取り入れている。吹き抜け空間の石膏彫刻やシャンデリア、クラシカルなエレベーターなども必見。
『日本橋髙島屋 S.C.』詳細
日本橋髙島屋 S.C.(にほんばしたかしまや エスシー)
住所:東京都中央区日本橋2-4-1(本館)/営業時間:10:30~19:30(店舗により異なる) /定休日:不定/アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩1分
国道道路橋は国の重要文化財「日本橋」
慶長8年(1603)の建造。五街道の起点となり、今でも日本の道路網の起点になっている。建造当時は木製の太鼓橋だったが、改修・改築を繰り返し、明治44年(1911)に現在の石造二連アーチ橋に架け替えられた。橋柱の銘板にある「日本橋」の揮毫は、江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜によるもの。
「日本橋」詳細
日本橋(にほんばし)
住所:東京都中央区日本橋1・日本橋室町1/アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩1分
貴重な大判・小判を展示『貨幣博物館』
日本の貨幣の歴史や関連する資料などを展示。教科書で見たことのある和同開珎や天正大判などの実物を見たり、金貨の重さを体験できる。
『貨幣博物館』詳細
日本銀行金融研究所貨幣博物館(にっぽんぎんこうきんゆうけんきゅうじょかへいはくぶつかん)
住所:東京都中央区日本橋本石町1-3-1(日本銀行分館内)/営業時間:9:30〜16:30(入館は~16:00)/定休日:月(祝日は開館)※展示入替等による臨時休館あり/アクセス:地下鉄半蔵門線三越前駅から徒歩1分、地下鉄銀座線三越前駅から徒歩2分、地下鉄東西線日本橋駅から徒歩6分
石造りによる古典主義建築『日本銀行本店』
明治29年(1896)竣工で、設計は辰野金吾。ベルギー国立銀行やイングランド銀行などを参考に設計したといわれる。地下金庫などをガイド付きで見学可能。建物は国の重要文化財。
『日本銀行本店』詳細
日本銀行本店(にほんぎんこうほんてん)
住所:東京都中央区日本橋本石町2-1-1/営業時間:9:30~16:15に4回案内/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩2分
荘厳な雰囲気を感じさせる国の重要文化財『日本橋三越本店』
西洋のクラシック様式を取り入れた本館の建物は、国の重要文化財に指定されている。入り口には三越の守護神でもあるライオン像が、本館1階の中央ホールには天女(まごころ)像が設置され、客を迎える。
『日本橋三越本店』詳細
日本橋三越本店
住所:東京都中央区日本橋室町1-4-1/営業時間:10:00~19:00(フロアにより異なる) /定休日:不定/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分
オフィス街に鎮座する古社「福徳神社」
貞観年間(859~877)に創建と伝わり、太田道灌や徳川家康など、武将から崇敬が篤かった。江戸時代に富くじを扱っていたこともあり、今も富と福の御利益を求めて多くの人が訪れる。
「福徳神社」詳細
福徳神社(ふくとくじんじゃ)
住所:東京都中央区日本橋室町2-4-14/営業時間:拝観自由/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分
日本唯一の楊枝専門店『さるや』
宝永元年(1704)の創業の楊枝専門店。黒文字の木を使い、熟練の職人が1本ずつ手作業で作っている。猿を描いたパッケージ入りの桐箱三番叟1320円。
『さるや』店舗詳細
さるや
住所:東京都中央区日本橋室町1-12-5/営業時間:10:00~17:00(土は12:00~)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩3分
株式投資を学ぶことができる『東証アローズ』
東京証券取引所内にあり、市場の情報をリアルタイムで提供する。1日4回行われる案内付き見学ツアー(要予約)では証券市場の歴史が学べ、希望者は株式投資模擬体験もできる。
『東証アローズ』詳細
東証アローズ(とうしょうアローズ)
住所:東京都中央区日本橋兜町2-1/営業時間:9:00〜16:00/定休日:土・日・祝/アクセス:地下鉄日本橋駅から徒歩5分
安産や子授けなどに御利益あり「水天宮・寳生辨財天」
安産祈願、子授け、身体健全などのご神徳があると信仰を集めている。境内の子宝いぬは安産・子授けなどに御利益があると、なでる人も多い。また寳生辨財天は、芸事向上や金運上昇などのパワースポットとして人気だ。
「水天宮・寳生辨財天」詳細
水天宮・寳生辨財天(すいてんぐう・ほうしょうべんざいてん)
住所:東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1/営業時間:神札所8:00〜18:00/定休日:無/アクセス:地下鉄半蔵門線水天宮前駅から徒歩1分
9代目当主が受け継ぐ手仕事『うぶけや』
天明3年(1783)創業。屋号は「うぶ毛でも剃れる、切れる、抜ける」という評判から初代が名付けた。毛抜きはもちろん、包丁や裁ち鋏など各種そろえ、職人技が光るその切れ味は一度は試してみたい。
『うぶけや』店舗詳細
うぶけや
住所:東京都中央区日本橋人形町3-9-2/営業時間:9:00~18:00(土は~17:00)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄日比谷線・浅草線人形町駅から徒歩1分
【日本橋・人形町のグルメを堪能!】
レトロな雰囲気で洋食を食べる『レストラン桂』
昭和37年(1962)創業。一番人気は特製メンチカツレツ1150円。和牛の旨味と豚の甘みを感じられ、自家製デミグラスソースとの相性も抜群だ。
『レストラン桂』店舗詳細
レストラン桂(レストランかつら)
住所:東京都中央区日本橋室町1-13-7/営業時間:11:00~14:00LO・17:00~20:30LO(土は昼のみ)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩5分
カラフルで特別なカツ丼『小春軒』
明治45年(1912)創業。小春軒特製カツ丼1400円は、トンカツやジャガイモなどをデミグラスソース入りの割り下で煮込み、目玉焼きとともに丼にのせる。
『小春軒』店舗詳細
小春軒(こはるけん)
住所:東京都中央区日本橋人形町1-7-9/営業時間:11:00~14:00・17:00~20:00(土は11:00~売り切れ次第終了)/定休日:日・祝/アクセス:地下鉄浅草線・日比谷線人形町駅から徒歩1分
【街探検】新旧の店舗が軒を連ねる下町情緒あふれる商店街「甘酒横丁」
甘酒横丁は、地下鉄人形町駅の出口がある通りから明治座へと続く約400mの小さな商店街。明治時代初期に、通りの入り口にあった「尾張屋」で甘酒を売っていたことからこの名が付いたという。その頃から明治座や近くにあった寄席の帰りの人たちでにぎわっていた。現在、「尾張屋」は閉店したが、商店街のいくつかの店舗では甘酒を販売。
ここには老舗が多い。大正5年(1916)創業の『柳屋』はいつも行列ができる鯛焼き店。東京三大鯛焼きの一つともいわれ、一つずつ丁寧に焼かれる鯛焼きは「天然物」とも称されている。ほかにも、ジャンボがんもが名物の『とうふの双葉』、いなり寿司の『志乃多寿司總本店』、つづら製造の『岩井つづら店』などが点在している。
甘酒横丁の魅力は老舗だけでない。革財布の『ウォレテリアYAMATOU』やナポリピッツァの『PIZZA DA BABBO』など、新しい風も吹き始めている。
取材・文・撮影=アド・グリーン
『散歩の達人 歩きたい人のための 東京散歩地図』より