身体の不調を未然に防ぐ部分・動きケア®チェック&エクササイズ「肩甲帯」【スポーツ障害予防の教科書】
肩甲帯のチェック&エクササイズ
肩甲帯のチェック 挙上と下制
1 胸鎖関節と肩鎖関節に指を置いてチェックしてもらう。
2 肩をすくめる(肩甲帯・挙上)。
3 肩を下げる(肩甲帯・下制)。
肩甲帯のチェック 内転
1 腕を軽く前に出す。
2 左右の肩甲骨で背中を寄せる(肩甲帯・内転)。
肩甲帯のチェック 上方回旋
1 腕を下げて手のひらを太もものほうに向ける。
2 そのまま耳の横まで腕を挙げていく。
ここでは肩甲帯の基本的な動きである
①挙上と下制
②内転
③上方回旋
をチェックします。可動域が不十分な場合には、エクササイズに進んでください。またどの競技のアスリートにも必要な、肩甲骨周りの筋が十分に機能しているかをチェックする方法も合わせて紹介します
CHECK
すべての動きが十分な可動域で行えたらOKです。いずれかの動きにぎこちなさを感じたり、可動域が少ない場合にはエクササイズに進んでください。
アスリート向け(中級)・左右肩逆回しチェック
右肩の動き
片方の肩を後ろから前に大きく回す。
左肩の動き
もう一方の肩は後ろ方向に回す。
同時に行う
右肩と左肩の動きを同時に行う。反対も行う。このチェックがスムーズにできるためには、左右の肩甲帯を動かす筋が同時に違う作用を発揮するという高い技能が必要になる。
肩甲帯のエクササイズ① 側臥位で肩甲骨を動かす
エクササイズの注意点
腕を下にして横向きに寝た姿勢(側臥位)で行う。
パートナーに補助をしてもらいながら行うと効果が倍増する。
補助をしてもらう場合、自分が発揮する力が10だとすると、パートナーには1程度の力で動きをサポートしてもらう。
やり方
❶側臥位になり、上の手をお尻に軽く置く。
❷その状態から肩を挙げたり下げたりする(挙上と下制)。
❸この動きを10回繰り返す。
❹肩を開いたり閉じたりする(外転と内転)。
❺この動きを10回繰り返す。
❻最後にお尻をなでるように肩で円を描く。前回しと後ろ回しをする。
❼それぞれ10回ずつ繰り返す。
※×方向運動や△方向運動は行わない。
挙上と下制
1 肩を挙げる。
2 肩を下げる。
外転と内転
1 肩を背中側に動かして胸を開く。
2 肩を前に出して胸を閉じる。
肩先で円描き
お尻をなでるようにして、肩で大きく円を描く。まずは前回しをする。
お尻を先ほどと逆回しになでるようにして、肩で大きく円を描く。後ろ回しをする。
CHECK
立った姿勢では、上体を立てる脊柱起立筋なども働きます。このように肩甲骨近くの筋が働く状態では、肩甲骨を動かす筋に強い刺激が入りにくくなります。そのため側臥位になることで脊柱起立筋が働かず、肩甲骨を動かす筋だけを動かしやすくなります。
肩甲帯のエクササイズ② 床に座って肩甲骨を動かす
エクササイズの注意点
膝を曲げて足裏全体を床につける。
両手は斜め後ろにつく。
肩甲骨が動かしやすいようにお尻の位置を調整する。
やり方
❶写真のように床に座る。
❷その状態から首をすくめたり伸ばしたりする(挙上と下制)。
❸この動きを10回繰り返す。
❹続けて肩を前に出したり後ろに引いたりする(外転と内転)。
❺この動きを10回繰り返す。
❻最後チェックを行い、可動域を確認する。
※×方向運動や△方向運動は行わない。
挙上と下制
1 首をすくめるようにすると肩甲骨の挙上の動きになる。
2 首を伸ばすようにすると肩甲骨の下制の動きになる。
外転と内転
1 肩を前に出すと肩甲骨は外転する。
2 肩を後ろに引くと肩甲骨は内転する。
CHECK
エクササイズ①を行うことで肩甲骨を動かす筋を主に動かし、肩甲骨の動きをよくすることができます。その状態を作ってからエクササイズ②を正しく行うと、首周りのコンディションも改善することができます。肩甲骨を動かす筋のこわばりをなくし、機能を向上すると、首に過度の負担をかける「頭部前方姿勢」や「ストレートネック」の固定化を予防することができるからです。
出典:『スポーツ障害予防の教科書 姿勢と動きのコンディショニング』