千歳船橋さんぽのおすすめ7スポット。甘党やパン好きが喜ぶ店が目白押し!
最近の千歳船橋は散歩しがいがある街に変わった。以前は事務所やチェーン店だった場所、住宅地の方にも個人店が増え、し・か・も! 何やら甘い香りが……。甘党も喜ぶチトフナの今をご案内。
『Nectar.(ネクター)』パンの香りに包まれて心が和む喫茶店
バゲットやペイザンをはじめ、シンプルな食事パンが充実。「お客さまにはどういうものと合わせたいか、好みを聞いた上でおすすめをお伝えしてます」と、店主の村山藍さん。2階は喫茶スペースになっていて、自家焙煎のコーヒーが評判。豆は常時6種類あり、100gから販売も。
・11:00~20:00(コーヒーは~18:30LO、豆販売およびその他ドリンクは~19:00LO)、月・木・日休。
『BUTTER CUP(バターカップ)』お菓子とワインのスイートな関係
伝統菓子から素朴なおやつまで、ずらりと並んだ焼き菓子に夢中。契約養鶏場の卵など材料はなるべく国産のものを選び、手作りする。ワインはクラシックなフランス産を中心に、イートイン(土・日限定)ではお菓子と一緒に気軽に飲めるものを用意。ほろ酔いになり、カウンター談義がつい饒舌に。
・13:00~19:00、月・火休。
『salut!!(サリュー)』正統派&ユニークな創作パンの宝庫
開業前、フランスで腕を磨いた店主の末次佑介さん。「パンが主食の国は消費量も作る量もすごい。鍛えられました」。本場仕込みのバゲットの隣に、カルダレモンロールなどアイデア商品が。購入品を携え、近くの馬事公苑でピクニックなんてどう?
・9:00~19:30(売り切れ次第終了)、日・月休。
・☎03-6804-4065
『Livreve(リヴレーヴ)』甘党の願いをかなえる夢の国
2021年、パティスリーが不足していた千歳船橋に現れた救世主。ひときわ美しく艶を放つエメは、アールグレイとマスカルポーネが華やかに香る一番人気だ。ムースのケーキは他にもあり、ピスタチオのエレーヌも好評。季節限定のグラニータは、果物で作るシャーベットドリンク。
・11:00~19:00、火・水休。
・☎03-6804-4183
『CHEESEト廻(チーズトメグル)』気になったら試食も兼ねて角打ち!
「チーズ好きが高じてレストランに勤めて、ソムリエも兼務しました」と、店主の中山友基さんはチーズ愛を告白。2023年、とうとう、国内外のナチュラルチーズを取り揃える専門店を始めた。角打ちもでき、選んだお酒に合わせてチーズを提案してくれる。
・11:30~19:00(金は12:00~19:30、土・日は10:30~18:00)、月・火休。
『THE TIME HAS COME(ザ タイム ハズ カム)』住宅地に出された小さな立て看板が目印
2014年頃から、店主の大杉章さんが自宅の1階で営業中。チャイムを鳴らすと出迎えてくれ、靴を脱いで上がる。大杉さんが現地で買い付けた1960~70年代の北欧ヴィンテージ雑貨を前に、宝探しの気分。ちなみに、BGMは大杉さんの好きなアメリカのロックンロールで、私物のレコードコレクションも圧巻。
・13:00~19:00、水休。
・☎03-3706-5453
『酒肴ト串 エレキトリック』普段使い抜群のコンパクトな良店
串焼きには主に信玄どりを使い、電気式の焼き台でじっくり熱を通す。炭火ももちろんいいが、電気だとさっぱりと焼くことができ、「クセのない味わいで、ダイレクトに鶏の旨味を味わえます」と、店主の渡邊さん。純米酒、焼酎の厳選された品揃えは、酒通も熱烈支持。口直しにはクラフトジンを!
・17:00~24:00、日休。
・☎070-9080-8297
最近のチトフナはアツイ!
大きな商店街がある経堂と祖師ヶ谷大蔵に挟まれた、谷みたいな街。チェーン店が目立っていて、千歳船橋らしい景色って少ないなあ——。10年ほど前に住んでいた時、そんな印象を持っていた。いい店もあるにはあったが、散歩の途中でふらっと立ち寄れる店が少なかった覚えがある。
「でも、最近のチトフナはアツイんだよ! 個人店が増えて、街を歩く人を見ても、前よりいろんな世代の人がいるようになったよ」
知り合いからそんな噂を聞きつけ、久しぶりに訪れてみた。たしかに、本当だ。しかも甘党、小麦好きにとって魅力的なスポットが目白押しじゃないか! にわかに漂いだした甘い匂いに導かれ、まずは城山通り沿いにある1軒の扉を開けてみる。
甘いものを介してゆるやかにつながる縁
土・日の『BUTTER CUP』は、カウンター席がにぎわっている。ワイングラスを片手に店主の早川麻由子さんとおしゃべりしたり、他の常連客とも乾杯したり。添加物など余計なものを使っていないからか、食べ物に気を使う子供連れや、年配の方々も足しげく通っている。あらゆる世代が、休日になるとこの空間に集まるのだ。
「ママが次に飲むワイン、どれがいいと思う?」
早川さんが男の子に聞く。ボトルに貼られたエチケットのイラストを見て、男の子は「う〜ん、これ!」と直感でセレクト。その1本を、周りの大人たちも分かち合う。これこそ、今のチトフナらしい休日の過ごし方なのだ。「平日は、駅の向こう側にある『CHEESEト廻』にも行きますよ」。
常連客の1人が、また別の行き付けを教えてくれた。この2軒とさらに『Nectar.』は、いずれも2023年オープン。『Nectar.』は『CHEESEト廻』のチーズを使ったパンを手掛けるなど横のつながりも強い。数珠つなぎのように、訪れた店で次に行きたくなるお店を教えてもらえるのが楽しい。
また、以前は駅周辺にケーキ屋が足りていないのがチトフナ在住甘党の最大の悩みだった。解決してくれたのは『Livreve』。元々クリーニング店だった場所にオープンした。大家はそのクリーニング店で、現在も『Livreve』裏で営業中。「ケーキ屋が入ったことを喜んでくれていて、うちの制服もきれいにしてもらっています」とオーナーシェフの石黒啓太さん。そう話す笑顔と、パリッと糊の効いた真っ白い制服が、なんだかまぶしい。
さて、次はどの道を歩こうか? 住宅地のあのお店にも寄らなくちゃ。
取材・文=信藤舞子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年9月号より