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読書からファッションまで「芸術」を通じた体験の共有が文化に オシロ「芸術給」制度が生む連鎖

月刊総務オンライン

読書からファッションまで「芸術」を通じた体験の共有が文化に オシロ「芸術給」制度が生む連鎖

オシロ(東京都渋谷区)は11月5日、福利厚生制度の一つである「芸術給(芸術文化に触れる費用を毎月3万円まで会社が負担する制度)」の利用実態に関する調査結果を公表した。

同制度は、社員が日常的に芸術文化に触れる機会を支援するもので、書籍購入や美術館鑑賞、ファッションアイテムの購入など幅広いカテゴリにわたって利用されている。今回の調査では、制度の活用が社員の感性を刺激するだけでなく、社内コミュニケーションの活性化にもつながっているようすが明らかとなった。

芸術文化に「触れる」福利厚生 オシロの「芸術給」制度とは

従業員の創造性や感性に働き掛ける新たな福利厚生として、芸術文化への支援を取り入れる企業が登場している。アーティストやクリエイターのコミュニティプラットフォーム「OSIRO(オシロ)」を開発・運営する同社では、芸術文化に触れるための費用を会社が補助する「芸術給(Touch the Art)」制度を導入している。

同社の掲げるミッションは「日本を芸術文化大国にする」こと。その実現に向けた一環として設けられたこの制度は、同社のコアバリューである「TOUCH THE ART(アートに触れて心の栄養を取る)」に基づくものである。月額上限3万円までの費用を会社が負担し、社員は自由に芸術文化に触れる機会を持つことができる。

利用可能な対象品目は以下の通り、多岐にわたる。

 ・本:小説、漫画、雑誌(購入・レンタルいずれも可)

 ・CD / DVD/レコード:CD、DVD、レコード(購入・レンタルいずれも可)

 ・美術館・ギャラリー:入場チケット、美術館グッズ

 ・イベント:チケット代(ライブ、舞台、ミュージカルなど)、イベントグッズ

 ・ゲーム:ボードゲーム、ゲームソフト

 ・コミュニティ:コミュニティ参加月額費用

 ・ファッション:ファストファッション以外のファッションアイテム(靴、かばん、アクセサリーなど)

 ・映画:映画館のチケット代、映画関連グッズ(パンフレットなど)

 ・クリエイター作品:絵画、置物、アクセサリー、雑貨など

書籍の購入から美術館鑑賞、舞台、映画、ファッションアイテムまで、芸術文化を幅広く捉え、それに触れる行為そのものを支援する制度となっている。

社員の利用実態から見る「芸術給」の影響

同社が2024年10月から2025年9月の1年間における利用実績を調査したところ、延べ1279件の利用が確認された。全社員がほぼ毎月この制度を利用しており、社員の約93%が「芸術給のある現在の方が、芸術文化に触れる機会が増えた」と回答している。

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中でも利用率が最も高かったカテゴリは「本」であり、全体の約42%を占めた。社員の約87%が「入社前後で本の購入頻度が増加した」と答えており、制度が読書習慣の形成にも貢献していることがうかがえる。

続いて「ファッション」(約18%)、「イベント」(約11%)の順で利用が多く、感性や趣味への投資が活発になっているようすが見て取れる。

※画像クリックで拡大

書籍の中には業務に直結するビジネス書だけでなく、漫画や小説、雑誌も多く含まれている。またファッションに関しても、服のみならず靴、帽子、アクセサリーなど小物の購入にも広く活用されている。イベントではライブや舞台、スポーツ観戦に加え、イベントグッズの購入まで補助対象となっている。

社員からは以下のような声が寄せられている。

 ・目的のある読書だけでなく、気になる本を自由に買える余白ができた

 ・漫画を大人買いするようになり、読む量も増えた

 ・本屋で紙の本を手に取る機会が増え、感性が刺激されている

 ・アート作品や書籍、美術館に触れる機会が増えたことで、人生が豊かになったと感じている

 ・映画館に行く頻度が増え、2回観るような作品との出会いも増えた

 ・海外アーティストの公演にも気軽に足を運べるようになった

いずれも「芸術文化に触れる機会」が金銭的な支援によって日常に組み込まれていることを表している。

芸術を共有する文化が社内コミュニケーションの醸成へ

「芸術給」の制度では、利用にあたって一つのルールが設けられている。それは「今月、自分がTouch the Artしたものを社内のコミュニティサイトで共有すること」である。

社員は月ごとに、触れた芸術文化について簡単なリポートを投稿する。これが社内のコミュニケーション活性化にも寄与しているという。

同社社員が投稿した芸術給のリポート(一部抜粋)※画像クリックで拡大

同社によれば、制度を通じた「共有」には以下のような効果があるという。

 ・メンバー同士の興味関心が可視化される

 ・会話のきっかけが生まれ、話し掛けやすくなる

 ・自分では選ばないジャンルの魅力を知ることができる

ある社員は「他の人がどんな芸術文化に触れているかを見るのが楽しく、共通の『スキ』をきっかけに交流が生まれている」と話す。

また、「クリエイターとの交流は無料でもできるが、作品に対してお金を払うことの意義をこの制度で強く意識するようになった」という声もある。芸術文化に対価を支払う行動を後押しするという点でも、制度はクリエイター支援の第一歩となっている。

制度と事業の接続 「芸術文化大国」実現に向けて

オシロは、「日本を芸術文化大国にする」というミッションの実現に向けて、表現者とファンをつなぐプラットフォーム「OSIRO」を開発・提供している。対象は、アーティストやクリエイターのほか、企業・団体も含まれる。

同社ではサービスの提供のみならず、こうした制度の整備を通じてミッションの実現に取り組んでいる。同社によれば、社員が芸術文化に日常的に触れることで感性や創造性が刺激され、その体験を社内で共有することにより、文化の醸成にもつながると考えている。

発表の詳細は、同社公式リリース(PR TIMES)で確認できる。

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