【船橋市】アンデルセン公園子ども美術館で洗濯バサミのアート展示を3月16日まで
家庭に普通にある洗濯バサミをつないで、びっくり仰天なアートを作り上げてしまったのはアーティストの高本敦基(たかもと・あつき)さん(45)。
アンデルセン公園子ども美術館(船橋市金堀町525)で開催中の「幾千万の洗濯バサミから見える世界」展(3月16日まで)が話題を集めています。
約6万個の洗濯バサミで大作「The Fall-たき-」
エントランスホールで、約1万個の洗濯バサミで作った「円柱」が迎えてくれます。
2階の展示室にはメインの作品「The Fall -たき-」(幅5m、奥行き17m、高さ4m)。
約6万個のピンク、黄、白、青など色とりどりの洗濯バサミを、延べ15人が4日間かけてつないだ大作が存在感をアピール。
2つの大きなたきから大量の水が地表にあふれ、大自然の豊かで優しい営みを感じさせます。
高本さんは「日用品を組み合わせると、人それぞれ違った見え方をして面白い」と解説してくれました。
作品作り体験、写真撮影、SNS送信も
高本さんは広島出身、10歳まで千葉・市川市で育ち、金沢美術工芸大、フランス国立大学院で芸術修行。
日常の生活用品を使った造形作品を手掛け、2014年に洗濯バサミアートで「岡本太郎現代芸術賞」特別賞を受賞しました。
同年、「岡山芸術文化賞グランプリ」にも。15年には福武文化奨励賞を受賞しました。
隣の部屋では「つなごう洗濯バサミワールド」として自分で作品を作り、写真撮影やSNS送信を楽しむこともできます。
最後に小品「つくりかけ」に見送られ、ほっこりした気分で会場を後にしました。
展示の詳細/https://www.park-funabashi.or.jp/and/kodomo/exhibition.php?id=34
高本敦基さんに聞きました
―洗濯バサミのアートのきっかけは?
2011年、岡山県の中学校教員時代、冬季は寮の舎監をやっていました。
雪の多い所で枯れ枝に取り残された赤い洗濯バサミが美しい赤い花に見えて、「きれいだな」と思いました。その頃から、作品の題材に洗濯バサミが登場するようになりました
―3年後に「洗濯バサミアートで第17回岡本太郎現代芸術賞の特別賞を受賞していますね。メインの作品「The Fall―たき―」について教えてください。
ふだん、使っている洗濯バサミを、たくさん集めて並べてみたり、つなげたりすると、いつもと違った様子が見えてきます。
こうして見ると、身近に感じる洗濯バサミも工場でたくさん作られたうちの一つなんだな…、たくさんあっても、一つ一つ見ると何だか身近に感じるな…と。
さて、僕たち人間は、たくさん集まって遠くから見ると、一人一人の個性はどういうふうに見えるんでしょうね。
滝のような流れの中に、知らないうちに組み込まれれているのかもしれません。
―なぜ円柱の形をしているのでしょうか?
滝と塔のダブルイメージです。
東洋では上から下に落ちてくる滝に、西洋では下から上に向かう塔(バベルの塔など)に、人を超えた何かを感じていたと考えています。
上へのエネルギーと下へのエネルギーを造形的に重ね合わせた結果、円柱の形になりました。
―ありがとうございました。
(取材・執筆/マット)