平間中学校 「命を大切に、夢抱け」 元プロボクサーが情熱込め
平間中学校で12月18日、薬物の危険性や夢・情熱をテーマとした講演会(同校区地域教育会議・PTA共催)が行われた。講師として訪れたのは、ボクシング元東洋太平洋ライト級王者の坂本博之さんと、「入れ墨ボクサー」として名を馳せた川崎タツキさん。
背中に入れ墨し、10代で暴力団構成員になり、薬物依存症に陥った壮絶な過去を、映像とともに明らかにした川崎さん。中学の修学旅行2日前には暴行事件で逮捕され、「行き先は京都ではなく群馬の少年院だった」などと自嘲気味に自己紹介。そんな話の中で感情を込めたのは亡き父への思いだった。2度目の逮捕時、父による通報を疑ったという川崎さん。「当時は怒りしかなかったが、『父親になったら分かる』とだけ口にした父の思いが、妻子を持つ身になって理解できた。当時死んでいたかもしれない自分を救ってくれた」と追想し、言葉を詰まらせた。生徒に先祖を敬う大切さとともに、違法薬物への見解も示し、「仮に薬物が合法になっても絶対にやらない。幸せになった人なんて見たことない」と強く訴えた。
「半歩でもすり足でも」
坂本さんは、両親が離婚し、預け先で虐待を受け、幼少期を児童相談所で過ごした。しかしその施設のテレビで観たボクシングが人生の転機に。「絶対にあのリングに立つ」。夢に向かい走り込みを続ける姿に心打たれる人が増え、「ボロボロの靴に同情し、新品をプレゼントしてくれた。その応援に応えようと更に頑張れた」と、懸命に生きる大切さを説いた。夢の見つけ方については「みんなと同じ時間を共有すること」とし、「仲間や先生との日常生活や会話の中にヒントが詰まっている。やってみたいことがあれば、半歩でもすり足でもいいから行動して」と呼び掛けた。
講演を終え、生徒からは「命の大切さや夢を追う大切さを学んだ」と感謝の言葉が贈られた。