公共工事やり直し 2200万円返還求める 前市長に「訴訟も辞さず」
前市長の指示で行われた公共工事のやり直し問題を巡り、古谷田力市長は8月23日、第三者調査で「合理性がない」と指摘された3件の工事費と調査費用をあわせた約2200万円の返還を、前市長らに求める方針を明かした。今年9月中に賠償請求の手続きに入り、前市長側がこれに応じない場合、「訴訟も辞さない」と断言した。
公共工事のやり直しを巡っては、弁護士や一級建築士による第三者調査が昨年12月から行われ、疑義のあった5件のうち▽ポラリス(中央林間)に併設する「星の子ひろば」の複合遊具の色変更▽大和ゆとりの森(福田)の「仲良しプラザ」の床材変更▽IKOZA(渋谷)の外壁塗り直しの3件が「合理性のない変更で、無駄」と認定された。
これに対し、古谷田市長は7月18日の記者会見で調査結果を「重く受け止めている」とし、損害賠償請求について「市議会と調整し、顧問弁護士とも相談して、早急に結論を出す」とした。
市議会が要望書
一方、大和市議会(青木正始議長)の「前市長による公共工事のやり直しに関する調査特別委員会」(井上貢委員長)は8月20日、第三者調査の結果を受け、市に対する要望書をまとめた。
調査特別委がまとめた要望は、▽大木哲前市長らに対し損害賠償請求をはじめ毅然とした対応をとること▽職員を守るため、ガバナンスを強化しコンプライアンス意識を高める新たな体制を構築すること▽新たに「やまと公園」(中央)と隣接する子育て支援施設「こどもの城」の第三者調査を行うことなど計5点。
8月22日、青木議長が要望書を古谷田市長に提出した。
前副市長にも連帯して請求
23日に開かれた記者会見で古谷田市長は、市議会から提出された要望書を「非常に重く受け止めている」とした上で、「無駄」と認定された3件の工事費と調査費あわせて2200万円の返還を大木氏に求める意向を表明した。
IKOZAの外壁塗り直しで主導的役割を果たしたと指摘された前副市長の井上昇氏に対しても、180万円を連帯責任として請求する方針。
会見で古谷田市長は「税金を1円も無駄にはできない」とし、大木氏側が返還に応じない場合、訴訟に踏み切る構えを示した。調査特別委から指摘されたやまと公園・こどもの城については、外部調査を実施する方針を明かした。
コンプラ推進課10月から新設へ
会見で古谷田市長は、10月1日付で「コンプライアンス推進課」を庁内に創設すると発表した。
調査報告書では、行政のトップである市長の指揮命令に従う義務を負っていることから、一連の工事やり直しで「市職員の責任を過度に大きく見ることはできない」としながらも、「担当職員の行動に問題がなかったわけではない」と結論付けた。その上で、再発防止にむけ「ガバナンスを強化して、コンプライアンス意識を高めるほかない」と指摘した。
コンプライアンス推進課は、これを受けて設置される。同課では、内部通報制度に弁護士などの外部相談窓口を新設するほか、事実確認や改善措置を担う第三者機関を新たに設置するとともに、調査報告書で提言された「内部統制」に関する体制づくりも進めていく。
古谷田市長は「課の新設を旗印に、職員と話し合って仕事が進められ、(職員が)自由に発言できるような職場環境を目指したい」と話した。