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夫婦でW育休取得、保育園料も安くなる⁉気になるメリットと注意点

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男性の育休取得を推奨する流れがあり、一緒に子育てに取り組みたいと考える夫婦も増えてきました。ただ、夫婦揃って育休を取ることは育休中の収入や食費・生活費の不安もつきまとうものです。ここでは、夫婦が1年間育休を取得する場合の生活費の考え方や、保育料が安くなるなどのメリットについて紹介していきます。

育休中に受け取れる「育児休業給付金」とは

出産時に取得できる休暇は女性の場合、産休と育休があります。産休は、ママの出産予定日の42日前から産後56日までをいい、その間は健康保険から「出産手当金」が支給されます。「出産手当金」の額は、1日あたり標準報酬日額の3分の2です。

その後は、育休へと移行します。育休時に受け取れるのが「育児休業給付金」です。子どもが1歳になるまで支給されるのが原則で、夫婦で育休を取得する場合1歳2カ月まで延長できます。もし保育所に入所できずやむを得ない場合は、最長2歳まで延長可能です。

受給資格は、「雇用保険に加入していて直近2年間のうち就労日数が11日以上ある月が12カ月以上ある人」とされています。中には「契約社員やパート・アルバイトは対象外では?」と心配する人もいますが、上記要件を満たしていれば問題ありません。また、男性も育休を取ると育児休業給付金が受け取れ、もちろん専業主婦家庭での男性の育休も可能です。

育児休業給付金の支給額はいくら?目安と計算方法

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育児休業給付金の支給額は、直近の賃金日額に67%を掛けて育休の日数分が支給されます。181日目以降は50%の掛け率です。賃金日額とは、育休開始前6カ月の賃金総額を180日で割ったものでボーナスは含みません。受給時期は、最初は手続きから2~3カ月後、その後は2カ月ごとに申請し受給するのが原則です。

育児休業給付金の計算式
賃金日額×育休期間×67%(181日目からは50%)

なお支給額には上限があり、支給率67%の場合31万5369円、支給率50%の場合23万5350円等となっているため高収入の方は注意しましょう。(2024年8月1日以降の場合)

具体的な育児休業給付金の目安は次のようになります。以下は給与15万円、20万円、30万円の場合に支給される給付金1カ月分(30日分)ですので参考にしてください。

給与15万円の場合:育児休業給付金10万500円(181日目以降:7万5000円)
給与20万円の場合:育児休業給付金13万4000円(181日以降:10万円)
給与30万円の場合:育児休業給付金20万1000円(181日以降:15万円)

仮に、給与20万円の夫婦がともに育休を取得する場合、給付金は合計27万円弱(13.4万円×2)となります。これまでの世帯収入40万円と比べると不安に感じる人も多いのではないでしょうか。しかし、手取りで比較してみると、このような大きな差にはなりません。具体的に見ていきましょう。

育休中の社会保険料は「全て免除」

育休中のメリットの一つとして、社会保険料が全て免除されることが挙げられます。社会保険料は月末時点の状況でその月の社会保険について判定されます。例えば月の半ばに育休に入ったとしても、その月から免除される格好です。支払いはしていなくても払ったものとして扱われるため、将来受け取る厚生年金にも影響しません。育休を取得しても育休前の収入(標準報酬月額)をもとに保険料を納めていることになり、将来の年金額に反映されるため安心です。

育児休業給付金は「非課税」

育児休業給付金は、給与とは異なり「非課税」扱いであることも押さえておきたいところです。つまり、所得税や住民税はかかりません。ただし知っておきたいのは、所得税は今の収入をもとに今払うものですが、住民税は昨年の収入分を今払うという1年遅れで納付するというものです。つまり住民税は、来年支払う分が免除されることになります。

おおよその目安として、社会保険料や税金がかからないことによって、実質の手取りは8割程度を確保できると考えると良いでしょう。

育休1年間取得すると、翌年の保育料が安くなるメリットも

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このように育児休暇を取ると、収入は減るものの約8割の手取り収入が確保できます。それによって生活が支えられ、生まれて間もない子どもとかけがえのない時間を過ごせるのは家族にとって大きなことですね。また、復帰後の生活スタイルを整える準備をすることができる貴重な時間ともいえるでしょう。

それ以外にも見落としがちなメリットがあります。職場復帰をする時に子どもを保育所に預けることになりますが、夫婦で育休を取得することで、その保育料が安くなることに繋がります。無償化となる前の3歳未満の保育料は収入によって異なるからです。

前年1月~12月の収入が当年9月~翌8月までの保育料を計算する元になります。正確には、収入を元に算出される「市町村民税の所得割」の額が基準となり保育料が決まります。この所得割は夫婦の分を合算する必要があり、下表のようになっています。

【例)福岡市の保育料(令和6年度)】

図表:福岡市「令和6年度 保育料表」を参照し一部筆者加工

夫婦で育休を取得することで課税対象となる収入(給与等)が減り、区分が下がることによって保育料の負担を抑えられます。例えば、区分D8から区分D7に代わると4万4600円から3万9300円となり、毎月5300円安くなるということです。

いつどのタイミングで育休に入るかによって年収が代わりますが、場合によっては区分Bの保育料ゼロが適用になるケースもあるでしょう。育児休業給付金が非課税であることを見落としていたという夫婦はもう一度確認しておきましょう。

市町村民税の所得割は、毎年6月頃に職場から受け取る「給与所得等に係る市町村民税・都道府県民税 特別徴収額の決定・変更通知書」という横長の書類で確認できます。下記図表の赤枠部分です。

【市町村民税の通知書(見本)】

市町村民税の通知書見本を参照し一部筆者加工

※政令指定都市の場合市町村民税所得割×6/8で保育料を確認します
※ふるさと納税や住宅ローン控除などの税額控除は考慮されないため、その分保育料計算の区分は変わる可能性があります

夫婦で1年間W育休中の生活費はいくらが目安?

ここまで見てきたように、育児休業給付金の支給や税金・社会保険料の負担がないという措置から、手取りは2割減程度に留めることができます。とはいえ、夫婦で1年間育休を取るとなれば、生活費に不安を感じる人も少なくないはずです。そこで、生活費の考え方や注意点を見ていくことにしましょう。

最初に今後の生活設計を立てるためには、今の生活費を知ることが大切です。どういったものにいくら使っているのか費目ごとに書き出してみましょう。これまで家計簿を付けたことがない場合は、家計簿アプリなどあまり負担を感じない方法で確認します。その上で、「子どもの誕生前後で支出がどう変化しそうか」を考えます。

まずは、毎月の支出としておむつ代やミルク代ですね。また部屋で過ごす時間が中心となることや、赤ちゃんが誕生して部屋の温度管理に気を配ったり、細目に着替えさせたりして洗濯物が増えることも想定されます。

例えば、「おむつ代とミルク代がそれぞれ月に1万円かかりそう」とか「光熱水費がこれまで2万円かかっているなら1.5倍の3万円くらいかかるかも」というように費目ごとに試算します。それ以外にも、赤ちゃんの衣類やグッズを月平均1万円分購入するとするなら出産後は月額4万円の負担増ということです。

一方で、夫婦で育休を取ることで減る費目もあります。例えば、昼食代として1日1000円使っていたら、夫婦で月4万円(1000円×20日×2人分)の支出減です。職場の飲み会などの交際費も大きく減るのではないでしょうか。月平均4回分の飲み会が減るなら2万円減(1回5000円×4回)となります。これだけでも合計6万円の支出減ですので、先ほどの育休後負担増の4万円からおつりがくる計算です。

もちろん、自宅での食費は増えますのでその分は考慮しなければなりません。その他には、費用がかさみがちな仕事用の衣類を買うこともなくなりそうです。しばらくは家族での外食も減るでしょうから、子ども中心となることで家計の構成はかなり変わります。夫婦で育休をとっても意外と何とかなるものです。

注意したいのは、育児休業給付金は育休を開始してから申請するため、初回は手続きから2~3カ月後、その後は2カ月ごとに支給されるという点です。つまり、後払いになるため支給されるまでは貯金を取り崩しながら生活しなければなりません。

慌てなくて良いように貯蓄をしておくなど事前に準備しておきましょう。また、手続きは2カ月ごとが原則ですが、毎月申請することも可能です。職場に手間をかけることになり遠慮してしまいがちですが、必要な場合は相談してみましょう。

パパの育休取得支援「産後パパ育休」「育児休業分割制度」

パパの育休取得は、これから社会に定着していくという過渡期といえますが、収入面や1年間ずっと職場に穴を空けることが難しいというケースもあるでしょう。そういった場合は、育休を必要に応じて取得できる、「産後パパ育休(出生時育児休業)」や「育児休業分割制度」があります。

「産後パパ育休」とは、赤ちゃんの誕生から8週間以内に最大4週間取得することができる育休制度です。例えば最初に1週間休み、その後職場で引き継ぎなどをして、再び3週間休むなど2回に分けて取得できます。

また、これまでの育児休業は1回しか取得できませんでした。しかし「育児休業分割取得」によって、生後8週以降から原則として子どもが1歳になるまでの期間の育児休業を2回に分割して取得できます。分割はパパだけでなくママも対象なので、父親と母親が育児休業の時期を交代するなど柔軟な育児休業の取得ができます。

筆者作成

政府は子育て支援のために、育児休業給付金の支給を賃金の67%から80%に増やし、実質的に育休前の手取りと同程度が受け取れる措置を検討しています。前述のように育児休業給付金には、税金・社会保険料がかからないため実質10割が受け取れる改正です。まずは産後パパ育休での給付を80%に引き上げ、その後女性も手取り10割を目指す方向性が示されています。今後、具体的な実施時期が明らかになることを待つばかりです。

まとめ

今回は、育休中の給付金や夫婦で育休を取得するメリットについてみてきました。
簡単にまとめます。

・育休取得時は、夫婦ともに育児休業給付金が支給される
・税金や社会保険料がかからないため、育休前の8割程度の手取りになる
・夫婦で育休を取ると翌年の保育料が安くなることに繋がる
・育休前後で生活スタイルが大きく変わるため、意外と給付金でもやり繰りできる
・男性は、産後パパ育休や分割取得制度により育休を分割して取ることもできる

夫婦で育休を取ることで、男性の子育て参加も進み夫婦相互の理解や家族の絆がより深まります。育休を取得した男性からは、「こんなに子育てが大変だとは想像していなかった。休んで良かった」という声を耳にすることもしばしば。社会が変わることで子育てがしやすい環境になっていることを嬉しく思います。

産休・育休中のお金に関するQ&A

Q:産休育休中の住民税の支払いはどうなりますか?

A:産休育休直前の給与から一括して引いてもらう、毎月会社に振り込む、普通徴収に切り替え役所から届く納付書で納めるなどの方法があります。

Q:保育園に入れず、育休を延長する時の手続きについて教えてください

A:「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」のほか、市区町村から発行された「入所保留通知書」を会社に提出します。2025年4月からは、「保育所等の利用申込書の写し」も必要になります。

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