目の前の家事に“気づけない夫”を責める前に知っておきたいこと
こんにちは。家事シェア研究家の三木です。 「なんで気づかないの?」という夫へのモヤモヤを抱えるママさんからの相談。見えない家事と、見えない“気づき”の壁。その理由と小さな突破口をお話しします。
夫が“気づかない”理由
「もう限界……。私ばっかり家事してる気がして、しんどくなってきた」
先日、あるママさんから相談を受けました。
彼女は共働きで、子どもは小学生。仕事に育児に毎日バタバタで、夫婦の家事分担がうまくいかず、モヤモヤしているという。
「うちの夫、“言えばやる”んだけど、“言わないとやらない”。それって結局、私が毎回“お願い”しないといけないってことでしょ? もう疲れた……」
その言葉に、僕はとても共感したのです。
同じ悩みはとても多い!
じつは、こうした悩みはとても多い。
たとえば、毎朝、キッチンに行けば、食器がそのまま。リビングには子どもの服が脱ぎっぱなし。一日中、片づけてばかりいる自分と、のんびりしている夫。
「なんで気づかないの?」って、何度も心の中で思う。「私がやらないと、結局誰も、何もしてくれない」と。
そしてとうとう我慢できなくなって、相談してくれたママさんは夫にぶつけたのだ。
「目の前に山積みの洗濯物があるのに、なんで放っておけるの!? 私ばっかりやらなきゃいけないの、おかしくない?」
夫のひとことが、意外だった
そのときの夫の返事は、「ごめん、気づかなかった」だったらしい。
「気づかないわけないでしょ」とママさんは言った。
でも、夫は本当に“悪気なく”気づいていなかったらしい。
目の前に山積みになっている洗濯物に気が付かないなんて、あるはずがない。部屋の隅っこのちょっとしたホコリじゃないのだ。見えないはずなんてありえない。
でも、その話を聞いて、僕は言いました。
「本当に、気がついていないんだと思います」と。
“気づける人”と“気づけない人”の違い
よくよく考えてみて欲しい。家事をする人は日々、細かい変化を観察するクセがついている。
・牛乳の残り具合に気づく
・子どもの表情の違和感に気づく
・タオルが湿っていることに気づく
そういう、いわば“気づきの筋トレ”を毎日している。でも、家事をしない人はその筋トレをほとんどしていない。
人は、興味のないことには気がつかない。僕は、子どもが生まれて初めて、社会がこんなにもアンパンマンで溢れかえっていることを知った。
それまでは、アンパンマンなんて一切目に入ってこなかったのに。
つまり「気づかない」のではなく、「気づく経験がなかった」のだ。
気づける仕組みをつくる
「そうしたら、どうすれば気づいてもらえますか?」とママさんは聞いてきた。
「まず、“気づいてほしい”って気持ちをいったん脇に置いて。その代わり、“気づける仕組み”を一緒に作ってみましょう」
たとえば、
・冷蔵庫に家事リストを貼る
・“名もなき家事”を紙に書き出して、見える化する
・週1回、家事についてゆるっと振り返る時間をつくる
夫に“当たり前に見える”視点を共有することで、だんだんと「気づく練習」ができるようになる。
何でもかんでも、自分ひとりで、知らぬ間に終わらせてしまうのではなく、気がつくための仕組みを色々と試してみるのがいい。
一朝一夕では、家事に気づくようにはならない
気づいてよ! って怒りたくなる気持ちはよくわかります。
だけど、残念ながらそれはあまり効果がありません。一時的に改善されても、それって、ただビビっただけの話。しばらくすればまた、元通りです。
それより、“気づける仕組み”をどう作るかを一緒に考えるほうが、楽なはず。
アプリを使ってもいいし、紙に書き出してもいい。やり方にこだわるよりも、とりあえずやってみること。
そして、面倒くさくても話し合いを少しでもいいからすること。
結局、家事ってコミュニケーションなんです。
わが家の家事に気がつく仕組み、ぜひ作ってみて下さい。
三木智有/家事シェア研究家