猫に多い『4大がん』それぞれの症状や予防法を解説 がんを宣告されたときの心構えも
︎1.乳腺腫瘍
症状
「乳腺腫瘍」は乳腺の腫れやしこりで飼い主さんが気づくことが多く、猫の場合その約8割が悪性です。
腫瘍がリンパ管を閉塞させると、血行障害から病変部の変色、浮腫、後肢の血行障害などを引き起こすこともあります。
猫の乳腺腫瘍は、残念ながら予後はあまり良くありません。
予防法
乳腺腫瘍は未避妊の場合、年を経るにつれて発症リスクが高くなることが分かっています。
そのため、最も有効な予防法は避妊手術です。猫の場合は6か月齢までに避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生率を大幅に抑えられることが分かっています。
︎2.リンパ腫
症状
リンパ球が腫瘍化したものです。症状は、体重減少、元気消失、軽度の発熱、衰弱、食欲不振などが主です。
腫瘍の発生部位によっては嘔吐や下痢、多飲多尿、呼吸困難、咳、嚥下困難などがみられることもあります。さらに、体表リンパ節の腫れがみられることもあります。
予防法
猫白血病ウイルス(FeLV)が原因の約60%を占めていると考えられています。
ワクチンを打ち、完全室内飼いをするなど、猫白血病ウイルスに感染しないよう注意しましょう。また、日頃からリンパ節が腫れていないかチェックすることも有効です。
︎3.肥満細胞腫
症状
肥満細胞腫は「皮膚型」と「内臓型」の2つのパターンがあります。
皮膚型は皮膚にできる腫瘍で、円型や卵型の硬い小さなイボの様な見た目をしていることが多いです。比較的良性が多いですが、見た目では判断できないため検査が必要です。
内臓型は脾臓、肝臓、腸などに発生し、慢性の嘔吐や下痢、食欲不振が見られます。比較的悪性度が高く、転移もしやすいです。
予防法
日頃からスキンシップをとり、皮膚のしこりや赤みなどの異変に気づけるようにしましょう。
内臓に発生した場合は、見た目には気づけない可能性が高いため、特にシニアの猫は定期的な健康診断を行いましょう。
︎4.扁平上皮癌
症状
口の中にできるがんで最も多く、口の中の腫瘍の50%は扁平上皮癌とも言われています。また、口以外にも耳、まぶた、鼻、唇などに発生することもあります。
初期には、口内炎、小さなしこり、かさぶたなどの症状がみられることがあります。
予防法
扁平上皮癌の原因のひとつとして太陽光が関係していると考えられています。特に白猫は太陽の影響を受けやすく、他の色の猫に比べて1扁平上皮癌になりやすいというデータもあります。
白猫はなるべく長時間紫外線にあたらないように工夫することも必要かもしれません。また、普段から猫の体や口の中をチェックし、異常を早期発見できるようにしましょう。
︎もしも愛猫が「がん」と言われたら
なるべく普段通りの生活を送る
大切な愛猫ががんと言われたとき、深い悲しみと絶望で、頭が混乱してしまう飼い主さんは少なくありません。そうすると、無意識のうちに愛猫に向ける表情が暗くなったり、声のトーンが変わったりしてしまいがちです。
しかし、猫は自身ががんであることは理解できないため、急に飼い主さんの行動や表情がネガティブに変わると不安になってしまいます。
また、現代はネット上に情報があふれているため、猫ががんと宣告されると、愛猫との時間を忘れて、ずっと携帯と睨めっこしてしまう飼い主さんも少なくありません。
難しいことではありますが、なるべくいつも通りの行動を心がけて、猫を安心させてあげましょう。
治療に迷ったら多くの人の意見を聞く
愛猫ががんと診断されると、飼い主さんには多くの選択が迫られます。外科手術をやるか、抗がん剤をやるか、緩和治療をやるかなど、治療方針を決める過程で大変悩まれる方は多いです。
悩んで苦しい時は、家族や猫を飼っている友人、かかりつけの獣医師や動物看護師など、さまざまな人に相談してみましょう。
また、獣医師によっても治療に対する考え方が異なることもあるため、かかりつけ医だけでなく、セカンドオピニオンで他の獣医師に話を聞いてみることも有効です。
︎まとめ
がんは、早期発見、早期治療がとても重要です。特に高齢になった猫では小さな異変でも獣医師に相談するようにしましょう。
多くの人の話を聞き自分も話す中で、自然と答えが見つかることも多いものです。ひとりで抱え込みすぎず、周りに相談しましょう。
(獣医師監修:加藤桂子)