トランプ大統領「外国映画に100%の関税」発言は結局どうなった?日本映画への影響ほか最新状況まとめ
2025年5月初旬、トランプ大統領が自身のSNS<Truth Social>上で「外国で製作された映画すべてに100%の関税を課すよう、商務省と通商代表部に指示した」と発表したことはご存知だろう。
トランプ氏は、この措置の狙いについて「ハリウッドの空洞化を招く他国の優遇政策への対抗」と位置づけ、「国家安全保障上の脅威」とまで表現している。
この発言は、ハリウッド=米カリフォルニア州の映画制作の減少や、カナダ~イギリスなどの撮影誘致政策への不満を背景にしたもので、「映画製作を米国内に取り戻す」ことが目的と言われてはいるのだが……。
ハリウッドと海外撮影作品への影響は?
海外ロケ作品への課税の可能性
たとえばディズニーがイギリスで撮影した映画をアメリカで公開する場合、それが「外国製」と見なされるかどうかは今のところ不透明。制作工程が国際的に分散している現代の映画制作において、「どこからが外国製か」の線引きは極めて困難だからだ。
ハリウッドに及ぼす混乱
米メディアによれば、ハリウッド内部ではこの関税案に対して「誰も求めていない」との声が多いとのこと。正直まったく不思議ではない反応ながら、早くも制作現場には困惑が広がっているという。
法的根拠の曖昧さ
トランプ氏は<国家緊急権限法(IEEPA)>を根拠に挙げる可能性もあるが、映画のような知的財産に対して関税を課す法的な前例はほとんど無く、訴訟に発展する可能性も指摘されているという。
日本映画に影響を与える可能性も…?
日本映画がアメリカ市場に輸出される際には、劇場公開作品へのコスト増などの影響が懸念される。たとえばアニメ映画や、国際映画祭で評価された邦画がアメリカで公開される場合だ。もし100%の関税が課されれば配給会社の負担は増し、公開本数や規模が縮小される可能性は大きい。
また現時点では“映画”の定義が曖昧すぎるため、NetflixやPrimeVideoなどのサブスクで配信される日本映画が対象になるかは不明。ただし配信権の購入が“輸入”と見なされれば、影響を受ける可能性も否定できないだろう。さらに、日米共同制作作品(※ハリウッド資本による日本ロケ映画など)が“外国製”と分類されるかどうかによって、制作体制の見直しを迫られる可能性もある。
どうなる世界の映画産業? 今後の焦点は
ともかく現時点では「関税を課すよう指示した」という段階であり、「実際に発動されるかどうかは未定」というのが実際のところ。過去にもトランプ氏は関税を巡って強硬な発言をした後、業界や議会からの反発を受けて撤回した例もある。映画業界や法曹界からの反応、そして国際的な貿易ルールとの整合性が今後の焦点となるだろう。