この変化、もしやトライアルに買収されたのも関係してる…?【家そば放浪記】第288束:西友で買った、田靡製麺『元祖 生そば食感 十割そば』474円(1人前237円)
いま、西友で何が起きているのか。これまでほぼ商品が “固定” だったスーパー「西友(SEIYU)」の干し蕎麦コーナーに異変が生じているのだ。
何かというと、これまで見たこともない蕎麦がチラホラと……。これってもしかして、2025年7月に西友が「トライアル」に買収されたことも関係している……?
西友の店内には、「トライアルの仲間になりました」的なアナウンスが常に流れている。西友は「トライアルの西友」として生まれ変わろうとしている。
その覚悟を感じたのは、未知なる干し蕎麦の製造所を確認した時だった。田靡(たなびき)製麺……! 完全に当連載 “お初” のメーカー!
さっそくHPを調べてみると、あの「揖保乃糸(そうめん)」も作っているメーカーであることが判明。
※揖保乃糸は、特定の1社ではなく、約400軒の生産者がそれぞれの製麺所で作ったものを「兵庫県手延素麺協同組合」が一括管理し、厳しい検査を経て販売を管理している。
しかも今回の商品は十割蕎麦なのだが、「生そば食感」ってのが非常に気になる。
果たしてどんな蕎麦なのか?
デカい鍋に湯を沸かし……
6分半ゆでて……
冷水(氷水)で冷やし……
完成。
して、そのお味は──
リアリティ。ものすごいリアル。つなぎなしの十割。ボロボロと麺が切れ気味なところも、またリアル。
食べてみると、よりリアル。麺は細めで、生蕎麦食感、まさにそれ。ややコリコリもしていて、食感が気持ち良い。
「家そば」か「外そば」かなら、完全に「外」であろう。脱サラした蕎麦好き大将が店を出しました的な雰囲気すらある。
しかしながら。
リアルすぎるという印象もある。ガチすぎるというか。緩み的な “あそび” がないというか。もっと肩の力を抜いても良い気も。
比較するのは大変恐縮なのであるが、この蕎麦の対極にあるのが、当連載、初の殿堂入り蕎麦「元祖乱れづくり木曽路御岳そば」であると思う。
実はよく似ている。あちらは変化球(小麦粉など)を駆使した技巧派だったが、こちらはドまじめ(十割)にフルパワーの直球勝負。
どちらもストライクなのだが、本格的すぎる気もする。絵で言うなら「デッサン」みたいな。極めて写実的。嫌いではないが……。
漫画家・つげ義春先生の作品に「リアリズムの宿」というものがあるが、この蕎麦は「リアリズムの蕎麦」であった。なお、そば湯は激ウマだった。
参考リンク:田靡製麺
執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24