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小金井さんぽのおすすめ7スポット。包容力ある街の土壌は、どのように作られる?

さんたつ

OYAKI CAFE キイロ

やってみたいことを素直に表現できて、受け止める人がいる。多様性を大切にして育まれる場所で、人が出会い、つながる。認め合える空気感、包容力ある街の土壌は、どのように作られる?

アート教室の先生が毎週日曜に開店『大福ベーカリー』

テラス席で、白あん栗サンド300円などとコーヒー400円を。
パンを買って、近くの武蔵野公園へ!
自宅2階がアート教室。絵画や工作だけでなく料理の時間も。

オーブンから続々と飛び出す香ばしいパンが庭先にずらり満開! 天然酵母で国産小麦が力強く膨らんで、1個1個にエネルギーが満ちている。平日は子供対象のアート教室を主宰する川上由香さんが、「好きで焼いてきたパン、日曜だけ販売しようかな」と、自宅にスペースを作り2025年で3年目に突入。

日の11:00~売り切れ次第終了。

何かを飾りたくなるミニ額縁専門店『ハコヤマ』

額縁屋で働く原田崇さんが、額縁作りで出る端材を使ったミニ額縁を販売。端材のためリーズナブルで、サイズやデザインが千差万別だから、品定めはまるで宝探し。「使い方に正解はなく、自分がどう飾りたいかですね」と原田さん。創作意欲が湧く! レコードでクラシックが流れる店内、つい長居しちゃう。

11:00~19:00(土・日は~18:00)、不定休。
☎0423-45-5140

昭和のデッドストックに再会する喜び『中村文具店』

明治期の貴重な鉛筆も展示。
「古い文具のデザインは、もはやアートだ」と中村さん。
金蔵院近く。廃墟だったビルを修繕した。

「文具にまみれて育って、小学校の卒業文集に『跡を継ぐ』って書きました」。1945年に創業した文具店の3代目・中村研一さんは、祖父と父が残した商品を柱に、ロングセラー品、復刻品、生粋の古いものを大切に手渡している。「存在を忘れていても、見た瞬間に当時が蘇(よみがえ)るんです」。

土・日・祝の12:00~20:00(不定期で平日夕方も営業)。
☎042-381-2230

活字文化へのエールが渦巻く古書店『活字ラボ』

3代続いた新聞販売店の元店主・松井さん。「気軽にどうぞ!」。
棚は独自に分類。
ガチャガチャで支払う。

活字離れに危機感を抱いた松井大平さんが、本と本への思いの循環を願い設(しつら)えた。自身の蔵書と寄贈本で始めたが徐々に増え「新刊を購入すれば作家や出版社に貢献できて、巡り巡って活字文化の応援になる」と、収益の一部で学校図書館への寄付を目論んでいる。

10:00~19:00(日・祝は9:30~17:30)、不定休。
☎042-385-2152

充実した日々を生きる大人の基地『八方知人』

寿司屋だった建物を改装。壁色が目を引く。
使いやすいキッチンが好評の1階。
眺めのいい屋上も利用可。

店舗を持つのはハードルが高いけど、週に一度なら!? オーナーの西本良行さんが「大人が挑戦できる場を作ろう」と企てたシェアスペースだ。1階はカフェ、2階はヨガなどの教室、3階は整体などのケア系と、各階すべて日替わり。カフェは曜日によってガラリと雰囲気が変わり、それぞれ常連がいる。

各曜日の営業時間はHPを参照。
☎050-1444-4384

心身が喜ぶ、陽だまりのような場所『OYAKI CAFE キイロ』

定番メニューの肉味噌とナス320円と、和ハーブレモネード440円。

長野県産の中力粉、白神こだま酵母を使う生地で、多彩な具材を包む新感覚のおやき。食事におやつに、笑顔になれる元気の源だ。テイクアウトもいいけれど「寄り道もどうぞ」と野内スザナさん。店内には気楽に過ごせるぬくぬくのイートインが。窓越しに看板犬ムギと会えるかも。

10:30~18:00、日・月休(臨時休・時短営業あり)。
☎042-316-3109

たこ焼き囲んで乾杯。高架下のオアシス『たこ松』

おつかれセット1000円。たこ焼き8個500円。
油そば700円。
包容力はじける松井さん。
駄菓子も人気。

東小金井初(?)のたこ焼き屋を、脱サラして開いた松井耕司さん。「焼いたことなかったから」と、独学で猛練習して「酒のアテやおやつなら小ぶりがいい」と小さめを、くるっ。子供が通う保育園の親仲間が集まることも多く「いろいろあると喜ばれるかな」とメニューが徐々に増えている。

16:00~24:00(中休みあり)、日・月休。
☎0423-45-5140

新事業の芽がすくすく育つ

南に野川公園、北に小金井公園が広がり、空も大きくのんびりのどか。駅前を離れると、急な坂道やくねくね蛇道もあり、当てもなく歩くのにもってこいの“トカイチカイナカ”だ。

しかしまあ、いろいろなものに当たる。まず、猫(の絵)に当たり、その看板が導いてくれた『大福ベーカリー』は、パンの表情から庭や店先など隅々まで川上由香さんの自由な表現であふれていた。芸術家が自然を求めて移住すると聞くが「ここがどんどん好きになる」と、川上さん。

猫の絵に手招きされて発見した『大福ベーカリー』。

『ハコヤマ』の原田崇さんは、開店当初は土・日だけのんびり営むつもりだった。が、絵や漫画を描く人や、アーティストが近隣に多いことに気づき「額縁が必要とされていて、今は平日もときどき営業しています」。高架下の並びにある『たこ松』の楽しいロゴも、地元のイラストレーター作だ。

一見、正体不明の場所にも当たる。「ここ何屋?ってよく聞かれます」と『活字ラボ』の松井大平さんは苦笑い。でも「循環型古書店のコンセプトについて説明すると賛同してもらえて、3冊買って5冊置いていってくれる」と、手応えを感じている。

日替わりカフェ&シェアスペースの『八方知人』もまた然り。西本良行さんが「全方角に積極的に人とつながろう。大人が魅力的になろう」と、願いを込めて立ち上げ、3年目にしてすっかり街の居場所になっている。

アートも起業ものびのび育つこの街の、土壌の肥やしは何なのだろう。

オープンで楽しい居場所が人をつなげ、街を豊かに

街のいたるところにある掲示板。イベント告知の多さに驚くが、人が集う機会が頻繁にあるということだ。

毎月第3日曜の「まろん食堂」は「地域の人がもっと交流できたらという、みんなの思いが重なって生まれたイベントです」と、小金井観光まちおこし協会事務局の種生芽実さん。さらに、昨年12月には平日夜の「夜のまろん食堂(仮称)」も始まった。ファミリー層だけじゃなく、一人暮らしの学生も、単身者も、誰もが楽しめる企画を模索しているのだ。

「気持ちが沈み社会から孤立した時、地域に居場所があって救われました」。『キイロ』の野内スザナさんは、そんな経験から、生き辛さを抱える方の就労支援も行う。職場や学校、家ではなく、同僚や先生、家族ではない人がいる。そんな居場所を育もうと、知恵を絞り行動する人の多いこと。

未来を思うみんなの気持ちこそ、街をふかふか豊かにする栄養源!

取材・文=松井一恵 撮影=高野尚人
『散歩の達人』2025年2月号より

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