『ある魔女が死ぬまで』声優インタビュー連載第4回:メグ役・青山吉能さん×ソフィ役・羊宮妃那さん | 始まって以来のシリアスなメグや、ソフィの“デレ”の裏側にあったものとは
2025年4月より放送中のTVアニメ『ある魔女が死ぬまで』(以下、ある魔女)。電撃の新文芸で刊行中の坂先生によるライトノベルを原作とした作品で、呪いによって余命1年を宣告された見習い魔女・メグと、その師匠である魔女・ファウストが過ごす日々が描かれます。
アニメイトタイムズでは、『ある魔女』に出演するメインキャスト陣へのインタビューを連
載形式で更新中。
連載第4回では、メグと同い年の魔女でありながら七賢人入りを果たした天才少女・ソフィを演じる羊宮妃那さんと、前回に引き続き青山吉能さんとの対談が実現。
作品やキャラクターへの印象から、アニメの第4話・第5話のエピソードを中心に様々なお話をお聞きました。
【写真】『ある魔女』青山吉能×羊宮妃那インタビュー【連載第4回】
青山さんのメグは、羊宮さんの想像の斜め95度上を行っていた
──まず、羊宮さんが『ある魔女』に出演が決まった時の心境や、ソフィへの第一印象というのはいかがでしたか?
羊宮妃那さん(以下、羊宮):『ある魔女』はテープオーディションで合格をいただきましたが、その時からソフィちゃんへの印象は大きく変わっていません。
台本を読ませていただいた時から、スッとキャラクターが入ってくるような感覚がありました。ただ、ソフィちゃんがどういった喋り方で、どういった雰囲気が求められているのかを考えることはたくさんありました……。
とても頭の良い子でもありますが、可愛らしい一面もあるので、私の表現が求められているものと一致したらいいなと……。そんな不安はありました。
──お二人はこれまでにも共演の機会はあったんでしょうか。
羊宮:ありました。しかもその時も、二人でのコンビみたいな関係のキャラクターだったんですよ。
青山吉能(以下、青山):そう、その時は、二人で作戦を立てて暗躍していく関係性で、ふたりともかなり淡々と喋るようなタイプでしたね。
羊宮:今回、元気にやり取りできたのがうれしくもありました。その時は、私が演じるキャラクターが、青山さんのキャラクターを慕っているタイプで。今回のソフィちゃんもメグちゃんのことは好きですが、態度としては結構素っ気ないタイプなので、同じ好意でもアプローチが異なっていますね。
──青山さん的には、見知った相手と掛け合いができる安心感みたいなものも?
青山:やっぱりそれはありましたね。またペアになれる喜びもありましたし、一緒に収録もできたので尚更でした。
──収録で印象的だったディレクションなどはありましたか?
羊宮:台本を読ませていただいた時にも、メグちゃんの台詞を頭の中で想像していたんですけど、最初にテストした時、「メグは声を張るので、もう少し声量出してもらってもいいですか」といったディレクションがあって。
その後に実際に青山さんのメグちゃんを聞いたら、もう私の想像から斜め95度くらい上をいった、ものすごい演技をされていて! 本当にジェットコースターのような勢いだったので、隣にいるソフィちゃんが弱々しいと掛け合いにならない、と納得したのを覚えています。もっとドスンと構えてないといけないって(笑)。
──確かに、ソフィってただ受けるだけじゃなく、結構言葉とかで殴り返しますよね。
羊宮:そうなんです! 私が当初作っていたお芝居だとさらっとしすぎちゃっていて、メグちゃんの強引さに持っていかれちゃうかもしれないのは実際に感じたところでした。
──青山さんは、ソフィについてどう感じられましたか?
青山:彼女の過去とかを考えると納得がいくんですけど、台本や原作を拝見した時は、すごくクールで淡々としていて、感情が見えにくいところが少し怖い印象もあったんです。そこから収録で羊宮さんの声を聞いた時、羊宮さんの元来の声の温かさみたいなものが作用して、同じ台詞やシーンでも、結構印象が変わったのはすごく覚えていて。
さっきの羊宮さんの話じゃないですけど、私もいい意味でソフィのイメージを裏切られた感覚がありました。
──確かに、字面だけだとソフィってなかなか物騒なことを口にしているんですよね。
青山:「お前を殺す」みたいな言葉がさらっと出てきますからね(笑)。ただそういう態度もメグに心を開いてくれたからこそ出てきたもので、それがちゃんと分かる脚本の力もそうですし、お芝居で表現された温かさも含めて、言葉の力ってすごいんだな、と改めて思えました。
──羊宮さんとしては、メグはどのように映りましたか?
羊宮:大分事前とイメージが変わりましたね。“ザ・ヒロイン”っていうイメージについては今もそうなんですけど、それ以上に周りを巻き込めるパワーみたいなものに溢れていて、本当に唯一無二の存在というか。とくに収録で最初に青山さんのお声を聞いた時は、ちょっと言葉にできないくらいの衝撃がありました。
──第4話はとくにそうだと思いますが、ギャグとシリアスのシーンでの落差がすごいですよね。
青山:とにかくテンポが早すぎて、いつもテスト収録が終わった後はソファーでぐったりとなっています(笑)。
羊宮:もう私からすれば、「その声は一体どこから出されているんだろう」みたいな感じで……。
しかも、喉は大丈夫なのかと心配になるくらいのお声を出されているのに、ずっと安定しているんですよ。波がないという意味ではなくて、真面目なシーンからいきなりぶっ飛んだお芝居が入ってきてもブレがないと言いますか、お芝居自体の安定感がとにかくすごいんです。
常に戦闘し続けているような感じで(笑)、隣で平気そうにして一緒にいるソフィちゃんはすごい胆力だと思ったりもしました。
青山さんが「本当に何か食べているのでは?」と勘違いしそうになった羊宮さんの熱演
──ソフィが登場するエピソードとなった、第4話と第5話について、収録で感じたことはありましたか? メグがいつになくシリアスになっているのも印象的でした。
青山:やっぱり第4話は、メグもメグなりに魔女として頑張るとお話だったというか、これまでメグって自分が死ぬと言われても結構楽観的だったり、落ち込むシーンでもギャグが入ってきたりしたんですけど、本気で感じた危機感とか、自分がどうにしかしないといけない切実さみたいな感情を、初めて表に出した回でもあったのかなと。
『ある魔女』の収録って本当にテンポが早くて、どんどん先にいってしまうので、焦って台本をめくる時の音でリテイクを出してしまったりするんです。第4話のそのシーンって、台本のページをまたぐ形になっていた上に、メグの台詞がばーっと並んでいたりもするので、いちいちページをめくったら集中力が途切れてしまうと思って。だから「これは覚えるしかない」と、台詞を全部覚えてから収録に臨んでいましたね。
──今までのメグにはあまり見られないタイプの感情表現でした。
青山:そうですね。今まではのらりくらりやっていた印象が強い子だったんですが、本当に自分がなんとかしないといけない窮地に直面したら、本気を出せる子なんだなと。すごく真剣に演じましたし、よりメグが愛おしくなりましたね。
──羊宮さんとしてはいかがでしたか?
羊宮:第4話と第5話におけるソフィちゃんが表に出す感情のバランスは、収録現場のすり合わせが一番大きかったなと思っていて。
特にびっくりしたのが、第5話でメグちゃんのことをなくしたくないっていう強い想いを明かすシーン。私が最初に演じたものより「もっとやっちゃっていいです」のようなディレクションがあって。もうこの段階で、ソフィにとってメグちゃんがそれくらい大きい存在であり、しかもそれを表に出すことができる子なんだと改めて感じましたね。
──メグっていわゆる人たらしなところがあって、限られた交流期間でも、ソフィみたいな子にここまで想われるのがすごいですよね。
羊宮:本当にすごいなと思います。でも、同時にすごく納得もいくんですよね。実際にメグちゃんみたいな子が隣にいたら自然と目が離せなくなりますし、「いなくなってほしくないだろうな」って私自身も思えました。
──二人の間での印象的な掛け合いみたいなのはありましたか?
羊宮:私が好きなのは、ソフィちゃんがメグちゃんの分も食べてしまって、メグちゃんが怒り出した時のソフィちゃんのリアクションです(笑)。あの踊りみたいなのがすごく好きで。
青山:あった!(笑) 第5話のマリーさんと話している時のシーンでね。
羊宮:あそこ、台本が「レロレロレロレロ」って書かれてるんですけど、これどうやってるんだろうと、すごく気になって(笑)。
青山:ソフィさんって、食べるの結構好きですよね。
羊宮:そうなんです。ずっと何か食べながら喋ってるシーンが多くて、第4話でも、もう何て言ってるのか分からないシーンが結構あったりして(笑)。
青山:でも羊宮さん、その何か食べながら喋る演技がめちゃくちゃ上手いんですよ。収録の時に横で聞いていて、「本当に何か食べながらやってるんじゃないか」ってチラ見したくなるくらい(笑)。
──本当に収録中に食べてるんじゃないかと(笑)。
青山:実際収録でも、あまりにも食べる表現が上手すぎたので、食べてる方がメインになっちゃっていたから「もうちょっと台詞にしてもらっていいですか」というディレクションが入っていたくらいで。そこから台詞を足した時の表現もまためちゃくちゃ上手くて、「これは後世に語り継ぐべきモグモグだ」と思っていました(笑)。
羊宮:私自身も食べるのが大好きなので、そこでシンパシーを感じていたからかもしれません(笑)。
──食べる演技の研究みたいなのをされることはあったのでしょうか?
羊宮:今回に関してはとくにしてなかったんですけど、声優のお仕事を始めてから最初の頃に演じさせていただいた子が、ご飯が食べるのが大好きな子だったので、その時にいろいろ勉強したくらいでしょうか。それからいつの間にか、ご飯が好きな子の役をいただくようになって、ありがたいなと思ってます。
──第4話のラストの「ソフィって呼んで欲しい」という台詞は、すごく肝になるシーンだったと思うのですが、演じた時はいかがでしたか?
羊宮:確かオーディションの時にもその台詞があって、どのくらい感情を表すのか悩んだことを覚えています。それで収録で、もっと出しても良かったことが分かって。
あとは最後にメグちゃんがソフィちゃんを連れ出してくれるところとかも、ソフィちゃんにとっては結構衝撃的だったんじゃないかと思っていて、それが第5話でのメグちゃんをなくしたくない想いにも繋がったんじゃないかなと。
──青山さんとしてはあのラストはいかがでしたか?
青山:そういうソフィがデレてくれるシーンって、メグはなんか気持ち悪いリアクションする時もあれば(笑)、真剣に喜ぶ時もあって、どちらもメグらしくて好きなんですけど、やっぱりあの第4話のラストみたいな、お互いに正面を向き合って歩み寄るシーンはめちゃくちゃ好きですね。
ふと思ったのは、今までのソフィの人生の中で、メグの強引さとか突拍子のなさって、体験したことがなかったものなんじゃないかなと。一種の腫れ物みたいに扱われていたソフィにとっては、土足でいきなり踏み込んでくるメグみたいな存在って、かなり救いにもなっていたのかなと思っています。
しかもメグって、あれで結構空気を読めるタイプなのが面白いんです。フィーネが来たら違った振る舞いをしますし、ソフィに対してもズケズケと行く一方で、ちゃんとする時は線引きができるのもメグの一面だなと感じていました。
── 一見何も考えていないようで、実は考えているというか。
青山:そう、案外考えていますし、周りの人のことがちゃんと見えているキャラクターだなって思いますね。
──メグの脳内会議みたいなシーンもありました。
青山:ありましたね(笑)。ディフォルメメグは今後もちょこちょこ出てくるんですけど、あそこで私の中の引き出しを試されたというか。最初は全部メグっぽくやった方がいいのかなと思ったりもしましたが、それよりはもう思いっきりやってほしいような雰囲気だったので、もう覚悟決めてやるしかない、といった心境でした(笑)。
あと、メグってたまに関西弁を使うんですよ。私自身は関西弁に馴染みはないんですけど、ここで求められているのは、本当の関西弁ではないんだろうなとは思っていて。
──なるほど。いわゆるエセ関西弁というか。
青山:そう、普段私達がちょっとふざけてる時に使うみたいな、そんなニュアンスだと解釈してはいる……んですけど、それにしては出てくる頻度が高くて(笑)。関西弁については要研究だなと実感しました。
あるオーディションで青山さんが負ったトラウマとは
──青山さんから見た羊宮さん、羊宮さんから見た青山さんが、それぞれソフィとメグに似ていると感じられたところはありますか?
青山:実は、羊宮さんとそこまでがっつりとお話をさせていただく機会ってそんなにはなかったんですけど、私声優番組が大好きなので、皆さんと同じように羊宮さんが出ているラジオとか映像番組をちょこちょこ拝見していて(笑)。
なのでこれはほぼ一ファンみたいな視点だったりもするんですけど、どんな物事に対しても丁寧に取り組まれているというか、透明感みたいな雰囲気を感じているんです。それがどこかソフィのイメージとも重なったりしていますね。
羊宮:どうしよう、嬉しい! ありがとうございます。
青山:あとはお芝居への取り組みとかでも、ソフィって基本は抑制する系統のお芝居なんでけど、魔法に対する嫌悪感とか、メグに対する想いで感情を激しく露わにするシーンもあって。羊宮さんもお芝居をされている時、グッとギアを変えている瞬間を感じることがあって、心の中に炎みたいなものを秘めているところとか似ているのかなと。
羊宮:私の方は、メグちゃんって周りとふざけている時と、真剣に物事を解決しようとする時とでギャップがあるキャラだと思っていますが、周りへの気遣いは青山さんとリンクしてるんじゃないかと感じていました。
青山さんって、現場でご自身からすごくいろんな方に話しかけていらっしゃっている一方で、収録だとまた雰囲気が変わって。第5話の収録の時に印象的だったのが、最初の台本だと、マリーさんがまだ名乗ってないにも関わらず、メグちゃんが名前を呼んでいたことに青山さんが気づかれて、台詞そのものが修正されたことがあったんです。そのあたりも、メグちゃんが時折見せる鋭さに通じるなって思っていました。
青山:途中で回想シーンが挟まると、繋がりとか時間経過が分かりにくくなる時があって。その時にメグの視点に集中して演じていると、「なんでマリーって名前を知ってるんだろう?」みたいな違和感があったんですね。
回想の間のシーンで自己紹介していた、と補完することもできましたが、実は『ある魔女』って、出会ったキャラクター同士が互いに名乗り合うシーンを、丁寧に描いている作品でもあるんです。そういう人と人との出会いを大事にしている作品という認識があったので、そこは大事なポイントなんじゃないかとスタッフの方にご相談させていただき、台詞が変更になったという経緯がありました。
──お二人共、最近はかなりお忙しくされていると思うのですが、どんどん仕事が忙しくなっていく中で、仕事に向き合う意識が変わってきたり、変わらず大切にしている部分はありますか?
青山:いや、本当に今になっても、いろんな現場で先輩方の取り組み方とかを見て初めて気づかされることの連続で、「過去の自分、もっと頑張れよ」みたいな焦りや後悔ばっかりですね。さっきの話に出てきた、マリーさんって呼んでないことも、5年前の自分には気付けなかっただろうなと思いますし。
──なんで自分はあの時もっと頑張らなかったんだ……っていう感覚ですよね。分かります。
青山:なので、今考えているのは、5年後の自分に、今の自分がそう思われないようにしようということです。台本を読む時も、キャラクターの存在を常に意識したいと思っていて。例えば、メグって変な声を出すシーンが結構あるんですけど、それは青山吉能の奇声大会にならないようにしようと。
これは全部の作品に対してですけど、自分のせいで作品の表現に制約がかけられることがないように、もっといろんなことを経験して、台本に活かせるようにしなければいけないと思っています。未来の自分に頑張ってもらうためにも、今を一生懸命やろう……みたいな心境ですね。
──羊宮さんの方はいかがですか?
羊宮:私は声優を始めて(取材時点で)5年目なのですが、いろんな作品に出させていただくようになってきたからこそ、初めての挑戦に対して物怖じしないようにしたいなと。
やっぱり自分の中で「これくらいは出来ないと」みたいな気持ちがあると、キャラクターとして生きるのが難しくなってしまうので、どんなに噛もうが何をしようが、とにかくずっと生きた演技が出せるように、失敗に対する恐怖心を取っ払うことが大切なのかなと思っています。
──デビューしたばかりの頃は、もっと恐怖心が大きかったり?
羊宮:いえ、むしろ最初の頃は、確かに怖い時もあったんですけど、それ以上に「私のお芝居を早く見て!」という気持ちもあったりして。デビュー前とか直後の頃の方が、今より自信に満ち溢れていたと思います(笑)。
でもやっぱりそこからいろんな現場を経験すると、自分以上に役に真剣に向き合われている先輩達のお姿を見ることになるので、それで自分への認識もどんどん変わっていきましたね。
──何のために魔法を使うのか、ソフィがメグに問いかけるシーンもありましたが、もし魔法が実在するとしたら、お二人は何に使いたいですか?
青山:……これは『ある魔女』じゃなくて別の作品なんですけど、私、まったく同じ質問をオーディションの時にされたことがあって。大勢の大人たちの前で「一応、皆に聞いてるんだけど、魔法が使えたら何に使いたい?」って聞かれた時の記憶を思い出しました(笑)。
それを聞いた時「これは大喜利に違いない!」と、とにかく面白いことを言わなきゃと思っちゃって……。
──(笑)。ちなみにその時はなんと?
青山:私はバスが好きなんですけど、バス停で待ってると、自分が乗りたい行き先と違う行き先のバスも停まっちゃうじゃないですか。64番を待ってるんだけど、先に来た55番が停まっちゃうみたいな。
だからそれが伝わるように、「私が待ってるのは◯◯番って、意思表示ができるようなモニターを出せる魔法が欲しいです」ってちょっとぶった感じで答えたら、もうバチクソに滑り倒して。当然のようにオーディションにも落ちました(笑)。
一同:(爆笑)
青山:「おー、なるほどです。お疲れ様でした」みたいに流されて、その時は「もう殺してくれ……」って状態になってましたけど(笑)、今考えると結構いいシステムだったんじゃないかと思うんですよね。
バスの運転手さんも毎回止まらなくてすむし、私も気を使わなくてもいいのでまさにWin-Winで、リベンジの意味も込めてその魔法がいい、ということにしておきます(笑)。
羊宮:そんな質問されることもあるんですね……。
青山:私もそれは結構衝撃的で、たまたま前の順番の人が、「私と目が合った人が、そのあと少しだけ幸せになる魔法をかけたいですっ」と言ってたのも聞こえていたので、二重の意味で死にたくなってました(笑)。
羊宮:私はその青山さんの話を聞いて、それの電車版が欲しいと思いました。座っている人が、次にどの駅で降りるかを表示してくれるみたいな。「私もう次で降りるので」みたいな意思表示ができたら便利だなって。
──確かに。立っている時、次どの席が空くのか気になりますよね。
青山:私、荷物とかで判断しますね。「この人は大きい荷物持ってるから、多分ここは空かないな……」みたいな(笑)。
──お二人とも、大分スケールの小さい魔法にはなっていますが(笑)。
羊宮:本当になんでも願いが叶うのなら、大切な人たちがずっと生きて私のそばにいてくれるようになる魔法は欲しいかもしれないです。
ただ、人間の寿命という存在がなくなったら、きっと明日を大切にしなくなるだろうな、とも思っていて。メグちゃんも余命を宣告されていなかったら、涙を集めることに時間を使おうとは考えなかったと思うんですよね、
……逆に、私からもちょっと聞いてみたいんですけど、皆さんって自分や他の人の残りの寿命って知りたいと思いますか?
──自分は知りたくないですね。自分も他人も含めて、まともに見れなくなってしまいそうなので。
青山:私は知りたいかもしれないです。
羊宮:怖くはないんですか? もしかしたら2、3年後ってこともあるかもしれませんし。
青山:全然ないですね。私はむしろ、人生が無限に続くかもしれないことの方が怖いところがあって。今は結構幸せに生きられている自覚はあるんですけど、それが3年、5年後も続いている保証ってまったくないので、将来について考えるのが怖いんですよね。
それもあって人生設計を一切立てずに、今が楽しければオッケーみたいな感じで生きてきたんです。いっそ終わりを先に知っておいた方が、それまでに家を買っておこうとか、いろいろちゃんとできるのかな、という感覚はありますね。
──羊宮さんご自身はどうなんでしょうか?
羊宮:すごく難しいところですが、周りの人の寿命は知りたいかなと。それを知らないと、いてくれることが当たり前になっちゃうじゃないですか。
それを知っていることで、自分がその人のために何かをしたい優先順位は本当に大きく変わると思いますし、本人には絶対に教えずに、私だけがいろんな人のために動いておきたい気持ちはあります。
ただ、一方で自分の寿命は怖くて知りたくないですね。そこで自分の幸せが終わってしまう怖さに耐えられないと思います。
──『ある魔女』に触れていると、よりそういった寿命や周囲の人との関係性を考えさせられますよね。改めて、羊宮さんはそんな本作にどんな魅力を感じましたか?
羊宮:やっぱりテンポ感がすごくいいと言いますか、収録ではボールド(台詞ごとの尺)が我々の見えるところに表示されるのですが、ちょっとでも噛もうものならすぐ次のボールドに切り替わっちゃうくらい(笑)、収録のスピード感がすごい作品なんです。
そのテンポ感の中でも、笑えるシーンもあれば、物語の軸になるようなシリアスなシーンもあって、その温度感の差やギャップみたいなところは『ある魔女』ならではの魅力なのかなと思ってます。
──最後に羊宮さんから、放送を楽しみにされているファンの方へのメッセージをお願いします。
羊宮:『ある魔女』にはまだまだいろんな展開があるので、引き続き見守っていただきつつ、第4話と第5話で成長したソフィちゃんの活躍にもご期待いただければと思います。
あとは私の中で、『ある魔女』はすごく温かい最後になるだろうなっていう予感があって。いろんな怒涛の展開がありつつも、第5話のマリーさんたちのように、メグちゃんの真剣で熱い想いが、誰かの笑顔に繋がるドラマとして描かれているので、それはこれからも続くんじゃないかなと。
きっと見終わった時には「一生懸命生きるって、こういうことなんだろうな」と感じられる作品になっていると思うので、ぜひ最後まで見守っていただけると嬉しいです。
──ありがとうございました。