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荷物、積み過ぎてない?違反の危険があるバイクの積載量をチェック

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バイクで走るのが気持ち良い季節になり、お休みにツーリングを計画している方もいらっしゃることでしょう。長時間の旅行となると荷物も増え、バイクにどうやって積もうかと頭を悩ませてしまいますよね。持っていけるものはなるべく積みたいところですが、バイクには法律で定められた積載制限があるため、それを超えてしまうと過積載となり、違反になる可能性があります。今回は正しく理解しておきたいバイクに荷物を積むときの注意と制限ついて解説します。

バイクの荷物は積載制限が法律で定められている

バイクに詰める荷物の量と大きさは、道路交通法で定められています。

道路交通法施行令第二十二条(自動車の乗車又は積載の制限)
一 乗車乗員(省略)
二 大型自動二輪車及び普通自動二輪車で乗車装置又は積載装置を備えるものにあつては六十キログラム
三 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次に掲げる長さ、幅又は高さを超えないこと。
 イ 長さ 大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の長さに〇・三メートルを加えたもの
 ロ 幅 大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の幅に〇・三メートルを加えたもの
 ハ 高さ 大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車にあつては二メートル
四 積載物は、次に掲げる制限を超えることとなるような方法で積載しないこと。
 イ 大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の前後から〇・三メートルを超えてはみ出さないこと。
 ロ 大型自動二輪車及び普通自動二輪車にあつては、その乗車装置又は積載装置の左右から〇・一五メートルを超えてはみ出さないこと。


第二十三条(原動機付自転車の乗車又は積載の制限)
一 乗車乗員(省略)
二 積載物の重量は、積載装置を備える原動機付自転車にあつては三十キログラムをこえないこと。
三 積載物の長さ、幅又は高さは、それぞれ次に掲げる長さ、幅又は高さをこえないこと。
 イ 長さ 原動機付自転車の積載装置の長さに〇・三メートルを加えたもの
 ロ 幅 原動機付自転車の積載装置の幅に〇・三メートルを加えたもの
 ハ 高さ 二メートルからその原動機付自転車の積載をする場所の高さを減じたもの
四 積載物は、次に掲げる制限をこえることとなるような方法で積載しないこと。
 イ 原動機付自転車の積載装置の前後から〇・三メートルをこえてはみ出さないこと。
 ロ 原動機付自転車の積載装置の左右から〇・一五メートルをこえてはみ出さないこと。

※二輪車に関する記述を抜粋しました

この記載の中に出てくる「乗車装置」と「積載装置」という用語は普段聞くことがあまりないかと思います。「乗車装置」とは、バイクのシートやステップを指します。ライダー、パッセンジャーが乗車する際に体を預ける部位という意味です。「積載装置」とは、人ではなく荷物を載せる際に用いる荷台を意味し、積載用のキャリアやケース類、サドルバッグなどが該当します。


上記の法規を分かりやすくすると、バイクの積載制限は「重量」と「大きさ」で定められています。その内容を解説します。

重量:排気量によって分けられる

最大積載重量は、排気量50㏄以下の原付一種が50㎏まで、排気量が50ccを超え125cc以下の原付二種は60kgまでと定められています。


「規定内の重量だから、どのように積んだっていい」というわけではありません。車体のバランスを崩すような積み方や場所に載せてしまうと、車体が不安定になったり、周囲に接触してしまう危険性があります。合わせて知っておかなければいけないのが、次項の「大きさ」です。

大きさ:長さと幅と高さ、車体からのはみ出し量なども細かく規定

荷物の長さ、幅、高さについての規約を要約すると、以下のようになります。

長さ乗車装置または積載装置からプラス30cmまで幅乗車装置または積載装置からプラス30cmまで(前後30cm、左右15cmを超えないこと)高さ積載した時に地上から2mまで

キャリアなどの積載装置がないバイクに荷物を載せる場合、乗車装置となるシートの最後尾から30cmまでで収めなければなりません

キャリアなどの積載装置の長さが30cmだった場合、積載物の長さは60cm以下でなければなりません。また、キャリアがないバイクでリアシート(乗車装置)に直接積む場合、リアシートの最後尾から30cmまでとなります。


積載物の幅については、注意が必要です。「乗車装置または積載装置からプラス30cmまで(前後30cm、左右15cmを超えないこと)」、つまり片側に30cmはみ出してしまう積み方は違反となります 。偏らないようバランスよく積むことを心がけましょう。


高さは、地上から2mと規定されています。バイクのサイズやタイプによって積載物の高さも変わりますが、重量が60kg以内と決まっているので、「車高が低いバイクは車高が高いバイクよりも多く荷物が積める」とは一概には言えません。


高く詰めるからといって、縦に長く荷物を積み上げると安定性を欠いてしまいます。荷物の積み方については、以前キャンプツーリングをご紹介した記事でも取り上げているので、ぜひご覧になってみてください。

違反した場合は

積載物の大きさが規定値を超えている場合は「積載物大きさ制限超過」、積載方法が規定値内に収まっていない場合は「乗車積載方法違反」という道路交通法違反に該当し、それぞれ違反点数が1点、反則金6,000円(原付一種は5,000円)です。別々の違反なので、大きさと積み方で違反した場合は違反点数2点、反則金12,000円(原付一種は10,000円) になります。


また、道路上に積載物を落下させると「転落積載物等危険防止処置義務違反」(違反点数1点)になります。荷物の落下は後続車などが事故を起こす原因になるので、走行中に落下などしないようしっかりとした積み方を心がけましょう。


積んだ荷物によってウインカーやテールランプが隠れてしまうと「合図不履行違反」(違反点数1点)、ナンバープレートが隠れてしまうと「番号表示義務違反」(違反点数2点)に該当するので、こちらもご注意ください。

サイドバッグやパニアケースは積載装置になる?

前述の通り、サイドバッグやパニアケースは積載装置になります。これらは「車体周りや手荷物を運搬するための部品(指定部品)」といって、積載物にはなりません。そのため、上記の基準値を超えても法律上は問題ありませんし、構造変更手続きも不要です。


パニアケースには、取り付け用キャリアより横幅が15cm以上はみ出しているものもあります。こちらも「積載物」ではなく「積載装置」として取り扱われるので、違反には当たりません。


とはいえ、やはりバイクはバランスが大切です。車体に対して大きすぎるパニアケースやサイドバッグは走行時のバランスを崩して危険です。適切な大きさのケースを選び、使用しましょう。判断が難しい場合は、バイクショップや用品店のスタッフに相談してみましょう。


また、最近人気が高まっている「360°カメラ」についても、車体からのはみ出しは前述の基準内に留める必要があります。法律違反とならないことだけでなく、取付方法も運転の妨げにならないよう、また脱落しないよう、取付方法には充分注意しましょう。


キャリアやガードパイプといった溶接加工などによって車体の一部とするような「恒久的な取り付け」を行なった場合は、構造変更の手続きが必要です。

シート上に荷物を載せる際の便利アイテム

積載を安定させるためのシートバッグ用台座は「積載装置」として扱われます

近年では多種多様なトップケースやパニアケースなど、荷物を載せるための専用アイテムが充実しています。しかし、「そこまで装備しなくても」と、たまにしかツーリングに行かないライダーは不要に感じるかもしれません。


リアシートに直接荷物を載せられますが、シートやフェンダーを痛める可能性があります。また、荷物によってはシート上に固定させられないので不安定になり、最悪落下させてしまう危険性があります。


落下の不安を解消する便利なアイテムをご紹介します。

キャリア

キャリアの一例(写真提供:デイトナ)

キャリアがあればその上に直接荷物を固定できるので、ツーリング時の利便性がグッとアップします。メーカー純正品をはじめ、アフターパーツメーカーから各モデル専用キャリアや汎用型キャリアが展開されているので、「車両名 キャリア」で検索するなどして自分のバイクに合ったキャリアを探してみましょう。

バンジーコード

バンジーコードの一例(写真提供:タナックス)

荷物固定用のゴム紐「バンジーコード」。後部に載せる荷物をしっかり固定するための必需品です。利便性が高いツーリングネット、長時間走る際にしっかり固定できるバンジーコードを使い分けると良いでしょう。

防水バッグ

防水バッグの一例(写真提供:デイトナ)

ツーリングでは急な雨に遭遇する、ということは珍しくありません。バッグ用レインカバーも備えの一つですが、高速道路を走っているときに雨に降られても急には止まれませんし、なんとかサービスエリアに辿り着いたときにはバッグも荷物もびしょ濡れ、ということもあります。防水バッグならば、強めの雨に見舞われても大事な荷物を守ってくれます。ロングツーリングを予定している方はぜひ検討してみてください。

正しく載せて快適にツーリングを楽しもう

ロングツーリングの準備を進める上で頭を悩ませるのが、荷物の量と積載方法です。たくさん持っていけば旅先で困ることが減りますが、荷物のせいで走りにくくなっては旅を楽しめませんし、交通反則通告を受けて違反を摘発されたら心と免許とお財布に小さくない傷を負ってしまいます。そうならないために、正しい積載重量と積載方法となるよう工夫し、快適なライディングとともに良い思い出が詰まった旅にしていただきたいと思います。

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