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『LustQueen pre. Stairway to Queen vol.4』いつかこんな先輩になりたい、小林愛香の背中を通して想い描く道の先

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LustQueen

『LustQueen pre. Stairway to Queen vol.4』2025.02.11(tue)Spotify O-EAST

2月11日、Spotify O-EASTにて、LustQueenによる主催イベント「Stairway to Queen vol.4」が開催された。これは同日昼に行われた「Stairway to Queen vol.3」に続く夜公演。「vol.4」の対バン相手として声をかけたのは、こちらも先輩として結那が大尊敬している小林愛香。先月は3回くらい会っていたというほど公私ともに仲がいい。昼公演とはベクトルは異なるが、これもまた熱量しかない組み合わせ。それにしても、この日一日で大先輩2組と対バンだなんて、さすがにハイカロリーすぎるだろ。どうやら結那はとんでもない胆力の持ち主のようだ。

「vol.3」と同様、「vol.4」も先輩が先にステージに立った。小林愛香の登場だ。彼女は、先日StarRise公式チャンネルで配信されたイベント開催記念生トーク番組にて、曲を知らなくても楽しめるライブにすると宣言していたが、まさにその言葉どおりのステージを展開した。

小林愛香

オープニングナンバーは「NO LIFE CODE」。初っ端から突き抜けるような小林のボーカルが場内を満たした。彼女の抜群の歌唱力に観客も大歓声を上げて反応。小林は、少し屈んだり、逆に大きくジャンプしたり、全身で歌い、全身で楽曲の世界観を表現するのだが、とにかく躍動感が半端じゃない。フロアとの一体感もものすごい。「グミチュウ」では、サビで起こった「グミ!」の応酬が気持ちよかった。あまりの盛り上がりに、のちのMCで小林本人も驚きを示すほどだった。しかも、フロアに居るのは過去に彼女のライブを経験したことのある観客ばかりなのかと思いきや、実は初見の人が多いことが発覚し、これもまた驚きだった。

彼女のとんでもないパフォーマンスを支えているのはあいきゃんばんどの3人。安定感と技術、そしてパワーのある鉄壁の演奏は、彼女の歌と高いレベルで溶け合っていた。

小林愛香

小林愛香

小林は次々とキャッチーな楽曲を放り込んでくる。「Crazy Easy Mode」も「Live goes on!!」も一発で心を掴んでくるのだが、それは観客のレスポンスのよさによるところも大きい。キレがあって小気味よい小林との掛け合いは、見ているだけで心が躍る。彼女はこれが今年初めてのライブだといっていたが、毎日ステージに立ってるんじゃないかというくらい仕上がっている。場内のあまりの熱さに冷房の温度を下げるように会場スタッフにお願いしたあと、チルな「Sunset Bicycle」を挟み、「Please! Please! Please!」で再びぶち上げる。最後のMCで小林は、今日のセットリストの狙いについて話した。「小林愛香のライブはこんな感じなんだよ」というのを詰め合わせてみた、とのこと。

小林愛香

小林愛香

「最後の曲、いっちゃってもいいですか?」という声にはフロアから盛大な不満の声が上がったが、ラストの「Original My Life」でもこれでもかというくらい歌を共有。ラストのシンガロングは感動的ですらあった。そして、音楽の幸福感を存分にフロアに振りまいて、小林は颯爽とステージを去っていった。

LustQueen

本日2ステージ目となるLustQueenは、持ち曲はまだ少ないながらも、ラストの「FLAG」以外の曲順をガラッと変え、さらには「vol.3」でプレイした「カゲロウメモリー」の代わりに「未来花」をもってきた。これは両公演に参加するファンに向けての粋な配慮だ。ということで、「vol.4」のオープニング曲には「vol.3」でライブ終盤を盛り上げた「Ready, Steady, Go!」が選ばれた。

LustQueen

LustQueen

「Ready, Steady, Go!」でスタートを切った4人は、小林愛香が場を温めたおかげか、1ステージ目を終えて高揚していたからか、はたまたその両方か、とにかくいい感じに吹っ切ったパフォーマンスを見せた。それは「Moonlight」「そうです!!!」と続いても変わらない。どちらがいいというわけではないが、「vol.3」がエモーショナルだとすれば、こちらはエネルギッシュ。バンドとしての瞬発力がより発揮されていたのが「vol.4」だったのかもしれない。

最初のMCでは、小林愛香について触れた。小林のライブをずっと観ていて、気づいたら最後の曲になっていたくらい引き込まれたそうで、「私も負けないくらい楽しいライブを届けようと思ってます!」と高らかに宣言した。心なしか、「Changing future」は1ステージ目に比べてロック色がより濃くなっていて、グルーヴ感を重視したパフォーマンスに見えた。しかし、切なげなロックチューン「未来花」では一転して丁寧に歌を届けていたことからも、決して勢いまかせでパフォーマンスしていないことがわかった。

LustQueen

LustQueen

後半戦は「Twin Ray」My life is My story」「My Anser」という展開。結那も観客もよく声が出ている。振り返ってみると、昼公演と夜公演のどちらを観るかでLust Queenに対する印象が変わりそうな気がする。昼はエモーショナルなロックバンド、夜は前のめりなロックバンド。しかし、どちらを観たとしても紛れもなくLustQueenなのである。

ラストの「FLAG」の演奏前、結那はこの曲の<運命よりも奇跡よりも信じたいのは今日の自分>という一節が気に入ってると話したあと、みんなに精一杯のエールを送らんとのびのびとした歌を届けたのだった。

終演後は小林愛香がステージに登場。結那は、小林の歌声も大好きだし、彼女の存在自体が好きと告白。そして、「自分もいつかこんな先輩になりたい」と付け加えた。二人の和気藹々とした雰囲気から普段の交流が垣間見えた。

小林愛香 × LustQueen

小林愛香 × LustQueen

さて、これで終了か……と思いきや、「vol.4」ではまさかのアンコールが。しかも、小林を迎えてのスペシャル版だ。歌詞が書かれた紙を持ってステージに登場した小林は少々困惑気味だったが、結那が強引に誘って「そうです!!!」をデュエット。楽しそうにふざけながら、先ほどよりもテンション高くパフォーマンス。最高の締めとなった。彼女たちがステージを去った後も、フロアでは2組の好演を讃える手拍子が、場内に流れる「FLAG」とともに鳴り響くのだった。

最初はとんでもないプレッシャーにさらされる一日になるのではないかと心配していたが、終わってみれば結那、そしてLustQueenにとってとんでもなく幸せな時間となった。4人はこの夏、初のワンマンライブに挑む。7/13大阪・梅田BAMGBOO、7/25横浜1000 CLUBの2本だ。今日の経験を経て、ワンマンまでにどんな成長を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。LustQueenはあらゆる経験を己のパワーへと変換し、これからも突き進んでいく。

取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=大橋祐希

小林愛香 × LustQueen

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