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玉置玲央、一色洋平、稲葉友、安西慎太郎、小松準弥が挑む舞台『朝日のような夕日をつれて2024』 稽古場レポート&コメントが公開

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舞台『朝日のような夕日をつれて2024』稽古場より

2024年8月11日(日)より東京・紀伊國屋ホール、9月6日(金)より大阪・サンケイホールブリーゼにて、鴻上尚史のプロデュースユニット「KOKAMI@network」(コーカミネットワーク)第20回公演として舞台『朝日のような夕日をつれて2024』が上演される。

この度、稽古場レポート&鴻上尚史&各キャストコメントが公開された。

『朝日のような夕日をつれて』は鴻上尚史が結成した劇団「第三舞台」の旗揚げ公演として1981年に初演され、再演され続けている鴻上尚史の代表作。サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』を下敷きにした物語と、新製品の開発に狂奔するオモチャ会社「立花トーイ」の物語が交差し、さらにもうひとつの世界が描かれる、ギャグと遊戯の洪水の中でその時代の最先端を反映し、変化し続けた作品。8回目の上演となる今回は81年初演から「初めて」上演キャストを一新して上演する。

出演者は、玉置玲央、一色洋平、稲葉友、安西慎太郎、小松準弥という人気と実力を備えたキャストが実現した。

稽古場レポート

鴻上尚史が1981年に結成し、のちの演劇人たちに多大なる影響を及ぼした劇団「第三舞台」。その旗揚げ公演として初演され、これまで7度にわたり再演を繰り返してきた傑作『朝日のような夕日をつれて』が、10年ぶりにその幕を開ける。キャスト陣には、前作から配役変更となる玉置玲央のほか、一色洋平、稲葉友、安西慎太郎、小松準弥と一新。「KOKAMI@network vol.20『朝日のような夕日をつれて2024』」と題し上演される。

『朝日のような夕日をつれて』は、主に3つの世界によって形作られている。おもちゃ会社「立花トーイ」と、サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』、さらにあるもうひとつの世界。そこに上演する時代に合わせた“今”、さらに“未来”をも織り込みつつ、鴻上らしいギャグや言葉遊びもたっぷり。それら膨大な台詞の数々は、役者の圧倒的な熱量に乗せて次々と発せられ、大波のような勢いで客席を飲み込んでいく。「気になる配役は、初演から大高洋夫が演じてきた「ウラヤマ/部長」役を玉置が担い、「少年/医者」役を一色が、「ゴドー2/マーケッター」役を稲葉が、「ゴドー1/研究員」役を安西が、「エスカワ/社長」役を小松が演じる。」

そんな新カンパニーによる『朝日のような夕日をつれて2024』は、6月下旬についに始動。ここでは稽古2日目に行われた、本読み後半の模様についてレポートする。この日の稽古は、シーン6からスタート。およそ10ページ毎に鴻上がストップをかけ、劇中に登場する用語や、それぞれの台詞に込めた想いなどを細かく説明していく。とはいえ決して一方通行にはならず、鴻上の「質問はありますか?」との問いかけに、役者陣から挙がるさまざまな意見やアイデア。それに鴻上が返すと、またほかの役者から新たな質問が出て、といったやり取りが繰り返されていく。非常に健全で、風通しのいい現場だ。

この日稽古場が一番笑いに包まれたのは、キャストに合わせたネタを盛り込んだあるシーン。一色は爆笑、稲葉は顔を覆って震えるように笑い、安西は「これはヤバいな」と思わず声を漏らし、小松はニヤリが止まらない。玉置に至っては、ある台詞を立ち上がって言い放つと、「もう満足!」と満面の笑み。さらに「このシーンのために頑張れる。任せてください!」と続け、そんなキャスト陣の様子を、鴻上は満足気な表情で見つめていた。

熱狂的なファンが多いことでも知られる『朝日のような夕日をつれて』。10代のころに本作と出会った一色は、実はそんなファンのひとりでもある。それだけに一色から鴻上に投げかけられるのは、演者としてだけでなく、観客としての純粋な疑問も多い。それに対する鴻上の回答には、一から作品を紐解いてくれているような、ある種の講義を聞いているような面白さがある。だが時には、「演劇的に楽しいからやっているだけ。深い理由はない!」と言った拍子抜けするような回答も。それがまた場を和ます一因となっている。

読み合わせもラストに向かっていくと、「みよ子とはなんなのか?」「物語とはなんなのか?」といった、作品の根幹に触れるような内容が増えていく。さらに「言葉のやり取りを丹精に楽しむ」、「リズムをキープしながら、リアルな感情が見えるといい」といった具体的なアドバイスも。そんな中、2014年版にも出演していた玉置が、「これは(第三舞台の劇団員だった)大高さん、小須田さんが演じるからこそのリアルが乗っかっていたんですよね」とポツリ。すると鴻上は「それはそうかもしれないけど、プロデュース公演でだって同志に見えることはあるからね。それを出せばいい」と語り、歴史ある作品に挑む若き役者たちの背中を力強く押した。

そして『朝日のような夕日をつれて』の大きな魅力であり、難関でもあるのが、キャスト5人による群唱。鴻上いわく「いっぱい練習しないとえらいことになる」とのことで、1文1文、どの位置で、どれくらいブレスを入れるかを確認していく。こうした細かく小さな積み重ねとともに、爆発的なエネルギーをも要するのが本作。その半端ないエネルギーは、体感としてはもちろん、汗で色が変わっていく役者の衣裳という、目に見えるかたちでも認識出来るほど。今は胸の内に秘めている5人の熱き想いが、舞台上でいかなる姿となって躍動するのか。改めて期待させられる稽古場での1日となった。

取材・文:野上瑠美子

作・演出家・出演者コメント

■作・演出:鴻上尚史
とうとうこの日が来ました。
『朝日のような夕日をつれて』は、僕が22歳の時、初めて書いた戯曲で、『第三舞台』の旗揚げ作品として上演した
作品です。幸いなことに、その後、2014年まで、計7回も上演することができました。
劇団と僕自身の代表作のひとつと評価される作品になりました。
男5人が登場する作品で、初演からは大高洋夫、二回目の公演からは小須田康人の二人とずっと一緒に創ってきました。他の役は、何人かは変わりましたが、すべて、「この人と一緒に創りたい」と僕が思った人でした。

今回、『朝日のような夕日をつれて2024』では、5人すべてを新しい二十代、三十代のニューメンバーでやることにしました。
5人とも、僕が「この人と一緒に創りたい。この人達となら、新しい朝日が創れる」と思った人達です。
いろんな人から、「新しい朝日が見たい」と言われてきました。「朝日はとても演技的に難しい作品だから、簡単には、できないんです」とそのたびに答えました。でも、とうとう、上演できるニューメンバーが集まってくれました。劇場でお会いしましょう。
とうとうこの日が来ました。

■部長=ウラヤマ=A:玉置玲央
少なくともこの10年、お芝居の世界に立ち続けることが出来たのはひとえにこの作品のおかげのような気がします。『朝日〜』には人の人生を狂わす何かがある。劇場に足を運んでくださる皆様の、そして出演者の人生を。最年少だった自分が最年長になって同じ作品に取り組むことになるとは思いもしませんでした。ただ無作為に10年立ち続けていた訳じゃありません。朝日のような夕日をつれて立ち続けていたんです。お陰様でいい年齢になりましたがやることは何ひとつ変わりません。一緒に演劇を楽しむ、それだけです。ぜひお楽しみに。

■医者=少年=E:一色洋平
「きっと再演されるのは紀伊國屋ホール開場60周年記念…つまり10年後。それまでに、この5人に入るにふさわしい俳優になってやる。」そう野望を抱いたのが、2014年版を観劇した折でした。僕は演劇界屈指の『朝日のような夕日をつれて』ファンです。一年で、劇中曲を聴かない日の方が少ないです。キャスティングされる前から台詞とダンスが入っています。そんな俳優居るでしょうか? …実は結構居ます。朝日は、俳優をそうさせてしまう一作なんです。キャスティング頂けたことに、一生の感謝と、「よろしく!」を。

■マーケッター=ゴドー2=D:稲葉友
多くの人に愛され続ける作品である『朝日のような夕日を連れて』に参加できること、心より嬉しく思います。10年前、紀伊國屋ホールで2014年版を観劇し圧倒されたことを覚えています。そんな作品の世界に、真っ向から全力で挑み、鴻上さんに導かれ、スタッフの皆様に支えていただき、玉置玲央さん・一色洋平さん・安西慎太郎さん・小松準弥さんとの共演を楽しみながら飛び込んでいきたいと思っております。2024年版を目撃しに、是非とも劇場まで足をお運びください。お待ちしております!

■研究員=ゴドー1=C:安西慎太郎
『朝日のような夕日をつれて2024』に出演致します、安西慎太郎です。鴻上尚史さんの作品。しかも処女作。それだけで興奮します。1980年代から今も尚、愛され求め続けられている名作『朝日のような夕日をつれて』が2024年に再び上演される事を聞いた時衝撃が走りました。同時にその作品に自分も出演できると聞いた時はもっと衝撃が走りました。とても光栄で、嬉しい限りです。
つまり、今とんでもなく興奮状態にあります。本当、どうしましょう。演技的にとても難しい作品である事は間違いありませんが、自分の100%以上の力を作品に捧げ、カンパニー一丸となり、新しい朝日をお届けできたらと思っています。兎にも角にも、その日まで共に「待ちましょう」。

■社長=エスカワ=B:小松準弥
大切に長く愛されている作品に、素敵なキャスト、カンパニーの皆様と共に参加させていただけること、大変嬉しく光栄に思います。僕がやらせていただく役柄は社長=エスカワ=Bです。
稽古の中で少しずつ朝日の世界を身体に染み込ませている段階ですが、とにかく楽しくて仕方がないです。膨大なセリフ量と作品のパワーに負けないよう、この世界を全力で生きれるよう最後の最後まで食らいついていきたいと思います。
これまでの歴史を大切に、全員で繋ぎ合いながら、『朝日のような夕日をつれて2024』をお届けできるよう尽力しますので、ぜひお楽しみに!

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