『HOMELAND』が破ったテレビ界の“常識”とは?
人気ドラマシリーズが中盤で主要キャラクターを失うことは、通常“失速フラグ”とされる。物語の要となっていた登場人物が突然いなくなることで、作品全体の勢いが弱まり、視聴者離れにつながるケースも少なくない。
しかし、そんな常識を覆したのが、Showtimeのスパイスリラー『HOMELAND』だ。
(以下、ネタバレを含みます)
『HOMELAND』がシーズン8で終了した理由
『HOMELAND』のファイナルとなるシーズン8の放送が、いよいよ米Showtimeで2月9日(日)より始まった。その終幕時期は実は何年も前から決まっていた。その理由と、シーズン8の放送開始が遅れた原因についてシリーズのクリエイターが米TV Lineのインタビューで語っている。 実は『HOMELAND』は以前から何度も…
中心人物をあえて失った理由
物語の中心人物だったニコラス・ブロディ(ダミアン・ルイス)は、シーズン3の終盤で衝撃的な最期を迎える。しかもその展開は非常に過酷で、彼の死が番組の終焉を意味するかのようにも思われた。
だが実際には、その“掟破り”の決断こそが『HOMELAND』を新たな段階へと進化させた。ブロディの死によって、キャリー・マティソン(クレア・デインズ)を中心とした新たな物語が展開され、シリーズの長寿につながったのだ。
ブロディは、アルカイダに8年間囚われていたアメリカ海兵隊の軍曹。帰国後、CIAの分析官キャリーは、ブロディが“転向”させられたスパイではないかと疑い、独断で監視を始める。彼の不可解な行動を追ううちに、キャリーの双極性障害が悪化し、やがてふたりは複雑な関係に。恋愛に発展するが、ブロディがキャリーの疑いを知ったことで関係は崩壊する。
シーズン2では、キャリーの説得でブロディは二重スパイとしてCIAに協力。アルカイダのリーダーの殺害には成功するが、その後のCIA本部爆破で数百人が死亡。ブロディの過去の関係を理由に犯人とされ、国外逃亡することに。
シーズン3で再登場したブロディは、CIA長官の策でイランに潜入。政府高官を暗殺する任務を果たすが、直後に捕まり、キャリーの救出も虚しく公開処刑されてしまう。キャリーは群衆の中からその瞬間を見届けることとなった。
主要キャラを失うというリスクの高い展開は、普通であればシリーズの失速や終了を意味する。しかし『HOMELAND』はそれを逆手に取り、キャリーという強烈な主人公を軸に物語を再構築。結果として、さらにスリリングで挑戦的な作品へと進化した。
『HOMELAND』全8シーズンは、Disney+(ディズニープラス)にて配信中。(海外ドラマNAVI)
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