【木村文乃×田中樹インタビュー】名作時代劇の聖地・松竹京都撮影所で本格サバイバルスリラー爆誕!~「連続ドラマW I, KILL」~
ようこそ、おおきに。映画ライター椿屋です。
みなさん、京都お好きですか? ゾンビ、お好きですか?
『侍タイムスリッパー』や『SHOGUN 将軍』の快挙を受けて、いま、時代劇の風が強く!烈しく!吹いている!!と言っても過言ではないなか、これまた見逃せない新たな時代劇が誕生いたしました。
その名も「連続ドラマW I, KILL」、アイキル!
昨年秋、約2か月間かけて松竹京都撮影所を中心に関西各所で撮影された本作は、関ヶ原の合戦から35年後の日本を舞台に描かれる時代劇でありながら、ゾンビ=群凶とのサバイバルが繰り広げられるスリラー作品。
時代劇×ゾンビ、そうきたか!と納得する掛け合わせでございます。
5月18日からWOWOWにて放送・配信がスタートし、21日には大阪にて舞台挨拶&第1話特別上映会が行われました。
撮影を振り返って、「同時期に他の撮影が入ってなかったので、数々の有名作品をつくってきた時代劇のオープンセットを、制作部・美術部に頼んで血みどろにしてもらいました」と明かした服部監督。
伝統ある京都撮影所での撮影を振り返って、木村さんと田中さんが声を揃えて「恐い人は一切いなかった」とおっしゃるのを聞きながら、時代は変わったなぁ……としみじみしたのは、ここだけの話でございます。
初ジャンル、初時代劇。新たな挑戦への意気込み
さて、そんな主演のおふたりにインタビューが叶いました。
3話以降の大事なネタバレを含む貴重な裏話をお届けいたします。
――いろんな作品に出演されている木村さんでも、サバイバルスリラーというジャンルは初めてでは?
木村文乃さん(以下、木村):そうなんです。実は大好きなジャンルなので、お話をいただけてありがたかったですね。オファーの段階で、参考作品として『クワイエット・プレイス』と『バード・ボックス』が上がってきて、そのどちらも3回くらい観た作品で。そういう世界観だと聞いて、こんなに待ち望んでいた作品に出合えることってあるんだ!って思ったくらいでした。
田中樹さん(以下、田中):僕もとても楽しみでしたね。京都撮影所というそれぞれの分野のマニアが集う環境で、ゾンビと時代劇のどちらかが疎かになることなく、100%×100%のものが出来るだろうという期待がありました。実際にスケールの大きな作品になったと手応えを感じています。
――田中さんは初めての時代劇、いかがでしたか?
田中:時代劇に問わず、ゾンビの部分でもそうですが、みんな自分が好きな各ジャンルにおいてすごく変態で(笑)。頼りになる人たちばかりだったので、逆にクランクインしてからの方が不安や心配なくやれました。
木村:私は、『居眠り磐音』を撮ったときと景色が違っていてビックリしました。あれ?ここってこんなんだったかなぁとか、橋があった気がするけどどこにいったんだろう?って思って聞いてみたら、「これ全部、家が動くんだよ」って言われて。
田中:えぇ?
木村:車輪がついててそのまま動くの。
田中:車輪がついてる?? え、なに、近未来なの?
木村:ね、知らなかったでしょ(笑)。私も今回の撮影で初めて気づいて。本作では本当に余すところなく贅沢にセット内を使っていて、いくつか出てくる町並みも全部違うので、これをひとつのオープンセットで撮ってるの面白いでしょ!って、みんなに言いたいです。
時代劇&ゾンビものならではの苦労あれこれ
――印象的だったのはどのシーンですか?
木村:30人くらいの女囚が一気に群凶になるシーンです。全員ちゃんとゾンビメイクをするので時間もかかるし、何度もリハーサルを重ねてその場でアクションをつけるなかで下手に触れないから緊張もするし神経も使うし。苦心した分、ゾンビものなのにどこか華やかさのある不思議なシーンになったんじゃないかな。アクションシーンはこだわって何度か撮ったりもしましたが、ゾンビ作品だと特殊メイクが剥げてもそれが味になるので、上手く利用して撮影していました。
田中:僕は殺陣のシーンかな。稽古はジャージでも本番では(衣裳のせいで)脚が開けなかったり、想定より足場が悪かったり。離れた場所での立ち回りが思ったより近いな!とか、この建物の屋根が低いな!とか。そういう細かいことを現場で確認しながらの撮影だったので、慣れるまでは大変でしたね。
――とくに、田中さんは一人二役の苦労があったのでは?
田中:(前のめりに)あれ、超大変だったんだよー!(一同笑)。だってね、台本3~4ページのセリフ、人変わってもずっと一人で喋ってるの! それを一日で撮るから、午前中は家光、午後は士郎になるんだけど、切り替えがめちゃくちゃ大変で。途中で嫌になって士郎を一回投げ出した(苦笑)。
木村:そうなの?!
田中:家光はそんなに撮影の回数が多くなかったから、今日はいったん家光に全振りしてやり切ってから、よし士郎だ!って気合い入れて演じ分けました。士郎は半群凶ってこともあって元気満点の男の子ではない上に、栄養も碌に取れてないだろうから不健康で、どこか幸薄そうに見えないといけない。だけど、家光は健康体であって然るべきだから、どっちに合わせるべきなのかも悩みましたね。
木村:そうだよねぇ……。
田中:監督とも相談して、士郎に合わせましょうってことになって。士郎をベースに、家光は声のボリュームや息を吸う量や間、覇気や表情、どれをとっても士郎と逆になるように演じました。登場回数は少ないけど、家光に説得力がないと物語が成立しないので、役づくりには慎重に取り組みました。
木村:私の場合は、隠したい過去を出さなければいいという点で、そこまで難しいことはありませんでした。ただ、刀を握るシーンでは、自分の意志で相手を斬ろうとしているのか致し方なく守るために使うのか、そこの感情の振り分けだけは気をつけていました。
――最後に、撮影期間中、京都で食べた美味しかったものがあれば教えてください。
田中:一度だけ、みんなで焼き肉に行きました。
――人間を喰らった後の焼き肉……。
田中:あ、ちゃんと焼いて食べましたよ(笑)。
◎作品情報
「連続ドラマW I, KILL」https://www.wowow.co.jp/drama/original/i-kill/
毎週日曜午後10時より放送
WOWOWプライム WOWOWオンデマンド配信
※WOWOWオンデマンドおよびWOWOW公式YouTubeチャンネルにて、第1話を期間限定無料配信中!(6月30日23:59まで)
出演:木村文乃、田中樹、田牧そら、富田靖子、高橋克実、山本耕史 ほか
製作プロダクション:松竹撮影所
制作協力:松竹
製作著作:WOWOW