大切な愛猫との別れの後…『ペットロス』で起こり得る5つの症状 少しでも和らげるためにできること
『ペットロス』で起こり得る5つの症状
愛猫を失った悲しみを筆者は"心がえぐられるような思い"と表現することが多いのですが、実際に経験のある飼い主さんが最初に抱いた感覚はどのようなものでしたか。
『ペットロス』は猫飼いさんであれば、必ずといっていいほど通る道。そう"私だけ"ではないのです。
ここでは具体的な症状や、少しでも和らげる方法を紹介していきます。
今現在苦しんでいる方には一筋に光が見えますよう、そしてまだ経験のない飼い主さんには今後の参考になれば幸いです。
1.涙が止まらない
部屋中に転がっている愛猫との思い出を見つけては涙が止まらない。猫を失ってまず直面するのは、『とめどない悲しみ』です。
涙が溢れて止まらないのであれば、思いっきり泣いてください。泣き疲れて眠ってしまうまで泣いていいのです。
ここで無理に感情を抑え込もうとすると、後々悲しみのループから抜け出せなくなってしまいます。だから、涙が枯れるまで心を洗い尽くしてください。
2.最期を悔やんでは眠れなくなる
明くる日も泣き続けた後、少し冷静になる瞬間が訪れるでしょう。そこで次に迫り来るのは『後悔』です。
「あの時別の治療を選択していれば」「もっと裕福だったならば」「残業さえなければ最後に立ち会えたのに…」そう思えば思うほど、眠れない日々が続くかもしれません。
そういう時は無理に眠ろうとはせず、寝室以外の場所で温かいお茶を飲みながらリラックスしてみてください。そして、後悔に対する事柄を別視点で捉えてみてください。
例えば、経済的な余裕があれば愛猫を救うことができたのか。確かに治療の選択肢の幅は増えたかもしれません。しかし、困難を極める手術となれば手術中に亡くなるケースもあり得たでしょう。
そうなると、痛い思いをさせてしまった・最期に寄り添えなかったと別の後悔が生じてしまうのです。
愛猫の晩年は本当に悔いることばかりでしたか。"悔しいこともあったけれど、闘病中も穏やかな時間があった"と、いつの間にか埋もれてしまっていた素敵な大切なエピソードがあるはずです。
後悔の念に囚われて眠れない夜を過ごすよりも、楽しかったことや愛猫の自慢、誇らしかったことに浸りながら夜を明かしてみてください。自然と心がぽかぽかと温まり、眠たくなってくるはずです。
3.食欲がない
愛猫を失った辛さから、食事すら喉を通らなくなる飼い主さんもいることでしょう。中には、特定の食材を見ると愛猫を思い出して余計に食べられなくなるという方もいるかもしれませんね。
もちろん無理に食べる必要はありません。しかし、何も食べずにいると脳が働かず、より一層ネガティブな思考が続いてしまいます。
こういう時こそ好物を召し上がってください。食事という枠に囚われず、スイーツでもスナック菓子でも構いません。美味しいと思えるものを口にしてみてください。
4.元気が出ない
虚無感から何をしても元気が出ず、心が空っぽという感覚に陥ることもあるでしょう。悲しみから立ち直るには時間がかかるものです。まずは焦らないことです。
同じようにペットロスに苦しんでいる人と交流を持つことも回復に向かう一助になりますが、中には比べてしまって更に落ち込んでしまうというケースもあります。
元気がないのなら元気でいる必要はありません。ただ、敢えて日頃からやっているルーティーンは維持してみてください。
そこに感情が伴わずとも普段通りの生活リズムを保つだけでも、気づけば心境に変化が出てくるはずです。
特定の習慣がない方は、お日様を浴びてください。特に朝日を浴びることがおすすめです。人は朝日を浴びることで体内時計が整います。
5.新たなステップに罪悪感を伴う
少しずつ気持ちが落ち着き、日常が戻りはじめる頃。回復期に押し寄せる心境は『罪悪感』です。何事もなかったように過ごしても良いのかどうか、迷いが生じるかもしれません。
そういう時は愛猫の目線に立って思いを馳せてみてください。あなたがもしも愛猫の側なら、何を望みますか。
"あの優しい笑顔が戻ってほしい""忘れてほしくはないけれど、元気でいてほしい"おそらくこのような趣旨の願いを伝えようとするのではないでしょうか。
どうか、堂々と笑って過ごしてください。命日や特別な記念日には空を見上げ、"私はもう大丈夫"と伝えてあげましょう。きっと、愛猫も喜ぶはずですから。
まとめ
愛猫との出会いに様々なエピソードがあるように、お別れの時もその事情も人それぞれです。
ペットロスに伴う症状や悲しみの受け止め方に違いがあるのは当然で、誰かと比較したり焦る必要は全くありません。
今回は出現頻度が高い症状や、苦しみを和らげる方法について紹介しましたが、これもまた一例としてみてください。それほどペットロスは繊細で、個人差があるものなのです。
最後に、ペットロスによって悲しみにくれる方を支える側としてお読みになっている方がいればお願いがあります。
「猫は人ほどは長生きできないのだから」や「新しい子を迎えたら」という言葉はかけずにいてください。かける言葉が見つからず、励まさなければと焦ることはありません。
ただそばにいてくれるだけで孤独ではなくなります。どうか温かく見守ってくださると助かります。
(獣医師監修:加藤桂子)