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ラジオ放送100年 市内2局「地元を元気に」 かわさきFM、FM大師

タウンニュース

かわさきFMの大西社長(上)、FM大師の清水代表と局長

2025年はラジオ放送が始まってから100年を迎える。武蔵小杉駅前に開局し29年目の「かわさきFM(79.1MHz)」と、川崎大師近くで昨年9月に放送を開始した「FM大師(94.9MHz)」。川崎市内にあるこの2つのコミュニティ放送局は、それぞれの思いで地域に元気を届け、災害時に市民の命を守るためにも情報配信を続ける。

「7区を一つに」

市と民間企業の共同出資による第3セクターとして1996年に開局したかわさきFM(大西絵満代表)。周波数の語呂合わせ「(川崎市の)7区を一つに」をコンセプトに、市民参加型メディアにこだわる。スポーツ、音楽、文化芸術、生活情報など川崎の魅力を伝える多彩な番組構成が特徴で、中でもリスナーから人気を集めるのがスポーツの実況中継だ。川崎フロンターレのホーム戦生中継は15年以上続け、ネットでの視聴率は通常時の10倍以上にも上るという。川崎ブレイブサンダース戦も中継を開始。各スポーツ番組のほか、貴重な音源を紹介する「ミュージックセレクション」や、川崎と沖縄のつながりを伝える長寿番組も好評だ。自社制作番組の放送枠は平日7時間設け、年間約1500人の市民らが登場する機会にもなっている。

ラジオの大きな役割の一つが防災情報の伝達。同局では大地震や特別警報などの災害発生時に、即座に自動放送するシステム「ラジアラート」を2022年に導入。時間帯問わず迅速かつ正しい情報を地域住民に届けつつ、社員の放送体制を整える。大西社長は「導入しているFM局は全国でも少ない。日々の防災番組を含め、市民の命を守ることが責務」と強調する。今年は市と連携し、「防災ラジオ」の提供も検討中だ。

今後のテーマに掲げるのは、ラジオを若い世代にも普及させること。昨年は市内のイベントに出展し、子どもにDJやアナウンサーが体験できる場を提供。高校生バンドやアニメを支援する活動にも取り組んできた。SNSとのマルチメディア展開の充実も視野に入れる大西社長は「地域の担い手支援もラジオ局の役割。リッスンラジオ(アプリ)だけでなく、スマホやネットでも聴きやすい環境も整備し、地域に寄り添うメディアであり続けたい」と力を込める。

「収益よりもまず認知」

昨年9月30日に開局し、FM局初の周波数90ヘルツ台として注目を集めるFM大師(清水暁代表)。「地元を元気に」をテーマに、川崎区在住在勤のスタッフ9人が、パーソナリティー、リポーター、ディレクターなど全ての業務を兼任し番組づくりに勤しむ。「収益よりもまずは認知してもらうこと」と、歩いて得た超ローカル情報やリスナーから寄せられた話題で番組を構成。昨秋は都市緑化かわさきフェアで富士見公園にサテライトスタジオを開設し、絶好のPR機会ともなった。「行列ができるお好み焼き屋を紹介したら、リスナーが買ってくれて嬉しかった」と局長の清水成美さん。そんな温もりある地元密着の放送を重ね、徐々に手応えも。会員クラブの加盟店は70を超え、メンバー登録した市民らは早くも500人に達するほどに。スマホでも聴ける「FM++(エフエムプラプラ)」のダウンロードも増えているという。

今年は認知度向上が大きなテーマ。川崎駅北口でYOUテレビが運営するサテライトスタジオでの配信や、川崎区内全ての公園でのリポート、町内会の紹介などを検討中という。また、防災情報の配信強化も掲げ、消防署などの公共機関や県内のFMネットワークとの連携、緊急告知ラジオの普及を進め、災害時の命を助ける活動にも注力する方針。清水社長は「CM料金も破格にし収益面も考えていかなければならないが、まずは認知してもらうこと。ドローカルな情報を届けていきたい」と力を込める。

立場や状況は異なる2つのラジオ局だが、地域に元気を届けるという共通の思いで臨む2025年。平時も災害時も、市民に寄り添うメディアとしての役割を果たす。

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