十勝に行ったら絶対に食べたい「インデアン」のカレー 地元民が愛する超人気ソウルフードの理由とは
帯広市民の認知率は100%、といっても過言ではないローカルグルメが「インデアン」のカレー。ランチや夕食としてはもちろん、お酒を飲んだ後にインデアンのカレーで締める人もいるほどの生活に密接した人気店ですが、店舗があるのは帯広市を中心とした十勝管内と釧路市のみ。今回は、多くの人々に支持されているインデアンの味、そしてお店そのものの魅力をご紹介します。
【画像】十勝の超人気ソウルフード「インデアンのカレー」がこちら
1968年に開業した「インデアン」の歴史
JR帯広駅東通り北口から徒歩約5分、繁華街の中心に位置するひときわ目立つ建物がカレーショップ「インデアン」です。その歴史は、1899年に北海道開拓のために入植した藤森熊作は、当時開業したばかりの帯広駅の利用客をターゲットに軽食販売を始め、1930年に本格的に外食事業に参入。これが後に「レストランふじもり」へと発展し、そこで人気を博したメニューがカレーライスでした。
手応えを感じた当時の社長・藤森照雄が、1968年に単独のカレーショップとしてオープンしたのが「インデアン」。味はもちろん、一皿500円代からと手頃な価格も魅力的です。
「インデアンルー」など個性豊かな3種類のルー
牛肉をふんだんに使用し、そのうま味を凝縮させた「インデアンルー」、タマネギの甘みをじっくり引き出した「ベーシックルー」、道産野菜の力で味を高めた「野菜ルー」(数量限定)など、3種類のオリジナルルーを使用。スパイスの調合など全て手作りで、熟成させることにより深みのある味わいに仕上げています。すべてのレシピは社長しか知らない極秘のものですが、特別なスパイスは使っていないそう。それが、親しみやすい味わいの理由なのかもしれません。
看板メニューの「インデアン」は牛肉由来のコクを感じるまろやかなルー。一口ほお張ると重層的にスパイスの波が押し寄せる、滋味深い味わいです。手頃な価格ながら牛肉がたっぷり入っているのがたまりません。
ルーを使い分けている理由は、トッピングにもっとも合うルーで提供するため。たっぷりの剥きエビが入った「エビ」カレーは野菜のふくよかな甘みを感じるベーシックルーに魚介の風味が見事に溶け込み、後を引く深いうま味を堪能できます。ルーと具材はメニューごとに固定されていますが、通い慣れている方は独自の組み合わせも楽しむそう。通常ベーシックルーで提供される「カツ」カレーですが、シンプルな「インデアン」を注文し、追加トッピングとしてカツを乗せるという楽しみ方もあるのだとか。
福神漬やガリ、青じそなどトッピングも充実
カレーの添え物といえば福神漬が定番ですが、インデアンには独自の添え物があります。青じその実をベースに細かく刻んだキュウリ、ダイコンなどを混ぜ合わせた「青じそ」は、爽やかな香りでカレーの風味に奥行きを。寿司の定番「ガリ」はショウガのさっぱりした辛み、甘酢の柔らかみがカレーの後味に口福感をもたらします。一般的なカレーショップではなかなか見かけない組み合わせ、ぜひお楽しみください。
さらにテーブルには、ラー油のようなものが。こちらは「ホットオイル」というオリジナルの辛み追加アイテム。オイルベースなのでルーの味わいを大きく変えることなく辛みを追加。ルーによく馴染み、やみつきになる人も少なくないのだとか。なお、辛さはオーダー時に「普通」~「極辛」の5段階から選ぶことができますが、さらに辛みを増すことも可能。極辛以上は辛みが倍増され、「まちなか」店ではこれまでに最大36倍に挑戦した人がいたそうです。
家庭でも愛される、帯広民にとっての“味のふるさと”
インデアンは、JR帯広駅に隣接するエスタ帯広内に「エスタ帯広店」が今年オープンするなど、店舗数は今でも増えていますが、展開されているのは限られた地域のみ。道内のみならず全国から客が集まりますが、それでも利用者のほとんどが地元の人だといいます。いかに地域から愛されているかが分かります。
タッパーやお鍋など、容器を持参しテイクアウトするスタイルもインデアンの定番。「今晩の夕食に」といったように、日々の生活に密着した使い方ができるのも、長年愛されてきた理由の一つ。50年以上、地元の人々が足しげく通い生活の一部になっているといっても過言ではないこの味。帯広を訪れた際はぜひ、楽しんでいただきたいです。
※価格は全て税込
カレーショップインデアン まちなか店
■所在地:帯広市西2条南10丁目1-1
■営業時間:11:00~21:00(L.O.20:45)
■休業日:無休
【ライタープロフィール】
山下 恭平(雑誌・書籍編集者&ライター)
ラジオ局で番組制作の仕事をしながら、ミニコミ誌の制作や雑誌のライター業を始める。その後、編集者として出版社に入り、タウン情報誌をメインにさまざまな記事を手掛けてきた。好きなことは料理、山登り、川釣り、札幌の石碑。札幌市南区在住で、南区をこよなく愛している。