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令和に響け!忌野清志郎の命日に聴いてほしい【1970年代のRCサクセション・ベスト5】

Re:minder

1976年04月21日 RCサクセションのアルバム「シングルマン」発売日

RCサクセション、1970年代のベスト5


忌野清志郎が世を去ってから、2025年5月2日で16年になる。ずいぶんと長い年月が経ったが、ゴールデンウィークが近づいてくると今も胸のうずきを覚えるファンは筆者だけではないだろう。個人的な話で恐縮だが、今年はちょっと特別で、あと少しで自分が清志郎の生年を追い抜こうとしている現実に、奇妙な感慨を覚えている。

そんな4月某日、リマインダー編集部から、RCサクセションの “1970年代のベスト5” というコラムを書いて欲しいとの依頼が。区切りにはちょうどいいタイミングだし、了解です… と返信したはいいが、いざ選ぶとなると、これが迷う。RCが1970年代にリリースしたのはアルバム3枚とシングル9枚の、のべ46曲。その中から5曲を選ぶなんて、フツーに難しい。

しかもリマインダー世代の多くと同様に、この時期のRCはリアルタイムではない。中2だった1980年にRCと出会ったのは以前に、Re:minderのコラムでも記したが、そういう意味では前年のシングル「ステップ!/ 上を向いて歩こう」がギリ、リアルタイム。つまりRCの名を知ったときには彼らはロックバンドだったのだ。フォーク時代の70年代の楽曲を聴くには、2年後にリリースされた編集盤『ハード・フォーク・サクセション』を待たねばならなかった。

当時のRCは清志郎とベースの小林和生、ギターとボーカルの破廉ケンチのスリーピースだったが、それにしてもこの “ハード・フォーク” というネーミングは上手い。ぶっちゃけ、フォークソングというイメージからは程遠い、ゴツゴツした粗さが当時のRCにはあり、十分にロックだ。したがって、筆者が選ぶ70年代のベスト5は決してフォーク視点ではないし、リリース時の時代の空気とともには語れないことをお断りして、さっそくカウントダウンに行ってみよう。

デビューアルバムの1曲目からすでに宿っていたブラックミュージック色


第5位「2時間35分」
電話のダイヤル音から始まるシアトリカルな名曲。恋人と電話で2時間35分も話した、新記録だ!というシンプルな喜び。好きな人と長電話をしたことのある人ならば、この歌詞は刺さるに違いない。世にラブソングは数あれど、こういう生々しい日常的視点のものが他にあるだろうか?メールやチャットなどコミュニケーションの手段が多い現在に、この喜びがどこまで伝わるのか気になるところ。ホーンがソウルっぽい匂いを漂わせているが、後半でオーティス・レディングばりに “ガッタガッタ” 言ってる清志郎のボーカルを含め、1980年代に入ってから顕著になるブラックミュージック色が、1972年リリースのこのデビューアルバムの1曲目からすでに宿っていた。

荒々しくて疾走感にあふれたロックンロール


第4位「あの娘の悪い噂」
1972年12月リリースのセカンドアルバム『楽しい夕に』収録。これもラブソングだが、やはり切り口はユニークで、大好きな女の子に関する悪い噂を、僕は信じない、なぜなら彼女を知っているから… と宣言する。これは現代でも十分に刺さるし、SNS上の根拠のない中傷に対しても有効な批判。“噂を立てる君よりも、あの子の方がきれいだから” は、決して見かけだけのことではないだろう。こちらもアコースティックギターが鳴ってはいるが、荒々しくて疾走感にあふれたロックンロール。大好きな人のことを “知ってる” というテーマは1980年代初頭の名曲「君が僕を知ってる」で、より美しく花開く。

後のブレイクを予見していた歌詞


第3位「わかってもらえるさ」
1970年代のRCサクセションはとにかく売れなかった。1976年にリリースされた7枚目のシングルであるこの曲が発表された後、破廉ケンチは鬱病によって脱退してRCはドン底に突き落とされる。当然、このレコードも売れなかったが、「♪この歌の良さが いつかきっと君にも わかってもらえるさ いつか そんな日になる ぼくら何も まちがってない もうすぐなんだ」という歌詞は後のブレイクを予見していた。多くのリマインダー世代の方と同様に、筆者はこのナンバーを1981年リリースのコンピレーションアルバム『EPLP』で初めて耳にした。

清志郎のシンプルな歌詞の真骨頂


第2位「ぼくの好きな先生」
この時代、とにかく売れなかったRCサクセションだが、1972年にリリースされたこのシングルだけはヒットチャート入りして70位にまで上がった。美術部の顧問をしていた、清志郎の高校時代の恩師のことを歌ったのは、あまりに有名。歌詞は主に繰り返して言葉数は多くないが “タバコと絵具の匂い” が漂う美術室の光景を生々しく想像させるのは、清志郎のシンプルな歌詞の真骨頂。こんな先生いたな…… と思い出す方も少なくないのでは。

美しい曲だが、どこか物悲しいピアノだけをバックにした曲


第1位「夜の散歩をしないかね」
順当に「スローバラード」をとも思ったが、この曲が収録された1976年のサードアルバム『シングルマン』はどれも名曲で、スタッフの死を歌った悲痛な「ヒッピーに捧ぐ」も忘れるわけにはいかない。正直、どれが1位かはその日の気分で変わるし、9月になれば「甲州街道はもう秋なのさ」が1位になるだろう。そんななかで、あえてこの曲を選んだのは、夜の散歩が気持ちの良い季節になったからだけではなく、『シングルマン』を象徴するワビサビや、切なさが詰まっているから。

ピアノだけをバックにしたこの曲は「スローバラード」のボーカルと異なり、清志郎の声はどこかか細く、震えていて、派手なシャウトもない。美しい曲だが、どこか物悲しい。ひとりで夜道を歩き、月が目に入ると、この歌が脳内をかけめぐる。1994年リリースの、清志郎と盟友・仲井戸麗市のライブ盤『GLAD ALL OVER』ではラストでこの曲がプレイされているが、こちらの清志郎のエモいボーカルもイイ。

『シングルマン』に限らず、RCサクセションの曲に順位をつけるのが難しいのは、ファンの方ならよくわかっているだろう。本稿ではあえて順位を付けたが、これらをフックにして、改めて1970年代のRCサクセションにふれていただければ幸いである。

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