早期建設求める決議を賛成15反対16で否決 上越市議会 医療センター病院建て替え延期問題
新潟県上越市が上越地域医療センター病院(南高田町)の建て替え計画の先延ばし方針を決めたことについて、市議会は2024年12月18日、市に方針撤回と早期建設を求める決議を賛成15、反対16で否決した=写真=。
決議案は本城文夫議員(市民クラブ)が提出し「老朽化した病院での診療を続けることは、受診する市民に支障をきたしかねない」などと方針撤回を求めた。5人が賛成、反対の討論を行った。
賛成討論は3人。滝沢一成議員(無所属)が「市長の不手際だ」と市の方針を厳しく批判したほか、宮越馨議員(無所属)が「命と暮らしを守ることが優先課題で、トップの責任だ」と改築着手を求め、平良木哲也議員(共産)は「市長と一部の幹部が老朽化の実態を知らずに机上で行った判断だ。改築は待ったなしだ」と訴えた。
反対討論は2人。江口修一議員(久比岐野)が「赤字の見通しを軽視して建設を急げば破綻を招く」、高橋浩輔議員(みらい)は「医療構想の短期再編による収益増加の検証は合理性がある」などと市の方針を支持した。ただ、2人ともそれぞれ市の対応について「不信感を招いた」(江口議員)、「可能な修繕、整備は早急に予算化してほしい」(高橋議員)と注文をつけた。
市は2020年3月に総事業費約88億円の建て替え基本計画を策定し、コロナ禍の影響や新潟労災病院の閉院に伴う医療再編協議を受けた見直しを行いながら、本年度中の基本設計着手、2029年度末までの新病院完成を目指していた。しかし、計画通りに建て替えると2036年度を過ぎても赤字が続くという推計などを理由に、収支を見極めるとして2年の延期を今月になって突如発表した。