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新羽小学校図書ボラ団体 亡き見守り犬、紙芝居に 10月21日、児童に披露

タウンニュース

紙芝居とシナリオを見せる(左から)山田さん、望月さん、福嶋さん

「自分の通う小学校にすごいワンちゃんがいたことを、今の子どもたちに知らせたい」――。新羽小学校で児童の登校を見守るボランティアグループ「学援隊」にいて、2022年に天国へと旅立った見守り犬「チロ」。チロを題材にした紙芝居がこのほど、同校図書ボランティアの有志からなる「にっぱばーす」の手により完成した。10月21日に6年生児童に披露する。

1歳の子犬のころから17年間、飼い主の渡部隆夫さんとともに毎日児童らと一緒に登校してきたチロ。ミニチュア・ダックスフントの雌で、70段ある階段を、児童らと昇り降りするなど、学援隊とともに「学ワン隊」として元気に活動し、子どもたちに癒しと元気を与えていた。愛らしい容貌やしぐさで児童らのアイドル犬として人気者だったが、2022年に予防接種のアレルギー反応で体調を崩し、その後18歳4カ月の生涯を終えた。当時は毎日一緒に登校していたチロの姿が見えなくなり、泣いてしまう児童もいたという。

構想2年

にっぱばーすは、同校で読み聞かせなどを行う図書ボランティア「アンデルセン」が、コロナ禍で学校内での活動ができなくなった2020年に有志らにより発足。地域ケアプラザ等で絵本の読み聞かせやペープサート(紙人形劇)などを行っている。メンバーは皆、PTA活動で知り合い、それぞれの子どもたちが卒業した後も、図書ボランティアとして学校に携わっているという。

天国へ旅立ったチロの話を聞き、自分たちで何かできないかと模索。チロへの感謝と、チロのことを忘れないで欲しいという思いから、一から手作りでチロを題材にした紙芝居を作成することにした。渡部さんをインタビューし、物語を作っていくも、「構想に相当時間がかかりました」とメンバーの望月千鶴さん。「一枚に文章をどれだけ入れられるか、どの場面を絵にするかなど、意見を出し合いました。紙芝居を演じるのは得意ですが、作るのは初めてなので、苦労しました」と振り返る。13枚のイラストを担当したのは日本画を趣味としている福嶋朋子さん。柔らかなタッチで、あたたかな風合いが特徴。背景は現場の写真を撮り、遠近感や色合い等を実際に近づけようとこだわった。「渡部さんの思いも、ラストシーンの一枚に込めました」と語る。にっぱばーすの代表を務めるのは、近所でピアノ教室を営む山田千恵さん。紙芝居やペープサートにピアノでBGMを付け、臨場感を出している。今回はショパンの『小犬のワルツ』をベースに音楽を載せていく。

「ちゃんと伝えたいから」と、シナリオは以前同校にいた国語教諭にアドバイスをもらいながら、何度も書き換えた。ほかにも「色をもっとリアルに」「動きをスムーズに」など妥協を許さない。5月の連休中には形になり、地域ケアプラザで先行公演。「招待した渡部さんも涙を流していた」という。10月21日には6年生に披露し、その後紙芝居を同校の図書室に寄贈する。「6年生はチロを知る最後の学年。みんなの心に留めてもらえたらうれしい」

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