ウィル・スミス、ついに『マトリックス』ネオ役演じる ─ 断ってから26年、新作MVで名シーン再現
ウィル・スミスが、かつて出演を断った『マトリックス』(1999)のネオ役を26年越しで演じた。
このたび公開された、ウィル・スミス&ビッグ・ショーン「Beautiful Scars feat. Obanga」のミュージックビデオでは『マトリックス』が全面的にフィーチャーされ、おなじみの“ブレット・タイム”を含む名シーンをスミスらが再現している。
ミュージックビデオは、スミスが2019年にがテレビに映し出される様子から始まる。「誇らしい話じゃないけど、確かに事実です。『マトリックス』のネオ役を断りました」──。
モーフィアスの扮装に身を包んだビッグ・ショーンが、スミスに語りかける。「君は素晴らしいキャリアを選択してきた。心からの後悔は一度だけ……いや、二度かもな。だけど、一つ目に集中しよう」。一度目は『マトリックス』を断ったことで、おそらく二度目はだろう。「選択肢を与えよう。青いピルを飲むと、すべてがそのままで元の生活に戻れる。赤いピルを飲めば、あの映画の主役になれる」。
逡巡するスミスに、ビッグ・ショーンは「選ぶのは君だ」と口にする。スミスは「その話は聞いたことがある…だけど僕はただ……いや、僕は自分の人生が本当に気に入っていて」と答えるが、ビッグ・ショーンは「選ぶのは君だ」の一点張りだ。「わかってる、話を聞いてくれ」とスミスは応じ、ついには両方のピルを一気に飲んでしまった。「うわっ、クソ! そんな選択肢はないぞ」とビッグ・ショーン。
この楽曲「Beautiful Scars」は、スミスがフィラデルフィアからスターとして飛び立ち、今も同じ街にいることや、俳優でありながら今でもラッパーを続けていること、失敗を重ねてきたことがモチーフだ。端々に『マトリックス』の要素が織り込まれたリリックのなかでは、「美しい傷跡、美しい欠陥だ。数え切れないほど倒れたが、また立ち上がり神に近づく」と歌われる。
ミュージックビデオでは、冒頭からラストまで『マトリックス』の再現が詰め込まれ、ネオとモーフィアスのやり取りに始まり、カンフーのトレーニング・シーンや、銃弾をよけるブレット・タイム演出、エージェント・スミスの撃った銃弾を止めるくだりまでが演じられている。
監督を務めたのは、『バッドボーイズ フォー・ライフ』(2020)『バッドボーイズ RIDE OR DIE』(2024)を手がけたアディル・エル・アルビ&ビラル・ファラー。映画ファンとしては、ウォシャウスキー姉妹が生んだ『マトリックス』の世界を、いま最も注目されるフィルムメイカーの一組であるアルビ&ファラーが再現したという面白さもある。なお、撮影監督も『バッドボーイズ』2作のロブレヒト・ハイファールトが務めた。
1月上旬、スミスは『マトリックス』を模したをSNSに投稿して話題を呼んだ。当時から『マトリックス』最新作ではなく自身の音楽プロジェクトに関係するものだと伝えられていたが、このミュージックビデオで答え合わせがなされた形だ。