ハリウッド実写版『AKIRA』断念、ワーナーが20年の開発の末に権利手放す
大友克洋の伝説的な漫画『AKIRA』ハリウッド実写映画化は、長年の企画の末に断念されることとなったようだ。米ワーナー・ブラザースが映画化権を手放したと、米が報じた。
「ネオ東京」を舞台に、1982年に発表された漫画『AKIRA』は世界中に熱狂的なファンを持つポップカルチャーの重要作品。ワーナーは2002年以来およそ23年にわたって実写化を試みたものの、実現には至らなかった。
様々なフィルムメーカーが実現を夢見てきた。はじめは『ブレイド』(1998)スティーヴン・ノリントンが起用。2008年にはレオナルド・ディカプリオがプロデューサーとなり、若手監督ルアイリ・ロビンソンが起用された。舞台のネオ東京をニューマンハッタンに置き換えたこのバージョンには「ホワイトウォッシング」批判の懸念もあった。
ロビンソンが降板した後も、何度か再始動と頓挫を繰り返した。直近ではマーベル『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のタイカ・ワイティティ監督が企画を進めていた。2060年の東京を舞台に、原作に忠実な映画化、日本人のティーンエイジャーの起用を目指していたが、正式発表のわずか約2ヶ月後に企画保留が伝えられていた。報道によれば、ワイティティ版はオール日本人キャストでの制作意向で、日本にもキャスティング担当者が用意されていたという。
その後もワイティティは「諦めたくない」とが、再開にこぎ着けることなく、ワーナーが権利を手放した。ワイティティの他には、『ゲット・アウト』(2017)『NOPE/ノープ』(2022)のジョーダン・ピール監督の元にもオファーが渡っていたが、辞退されている。「既存の作品をやりたいのか、オリジナルをやりたいのか。結局のところ、僕はオリジナルを作りたい」というのがそのだ。
ハリウッド版『AKIRA』の20年におよぶ開発地獄の中で、ワーナー・ブラザースは8桁超、つまり数千万ドル以上=数十億円以上を費やしたという。失効した権利は講談社に戻ることとなった。
大友克洋の漫画『AKIRA』は、新型爆弾によって崩壊した東京に誕生した新首都「ネオ東京」を舞台に、暴走族のリーダー格である金田と、その親友であり、事故によって超能力に覚醒した鉄雄を主人公とする物語。軍が秘密裏に隠していた超能力者「アキラ」を解放して世界を征服しようとする鉄雄を止めるため、金田は戦いに臨んでいく。1988年には大友自身の手でアニメ映画化された。
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