悲嘆からの立ち直り支える「グリーフケア」
家族の死など深い悲しみに直面する人に寄り添い、立ち直りを支える「グリーフケア」をテーマにしたセミナーが9日、中広の赤穂市総合福祉会館であり、相手の立場になって話を聞く「傾聴」の大切さを学んだ。
市内の高齢者福祉施設で利用者の話し相手になるボランティア活動などに取り組む「あこう傾聴の会」(勝原建夫会長)が主催。グリーフケアに詳しい社会福祉士の浜野千春さん(NPOフェミニストカウンセリング神戸)を講師に招き、市内外から約15人が受講した。
グリーフ(悲嘆)には大切な人やペットとの別れのほか、退職や離婚、老化など幅広い要因がある。怒りや後悔、寂しさを抱えたり体調不良や不眠に悩むなど、人によってさまざまな反応が起きるという。グリーフケアは悲嘆に暮れる人の話に耳を傾けることで、その人が持っている生きる力を引き出すもので、深い傷を経験した後に得られる心の成長を促す効果があるとされる。
浜野さんは、「相手の立場に立ち、評価したり否定したりせず、真摯な態度で話を聞く」と傾聴の原則を説明。「わかったふりをせず、相手の感情をありのまま受け止めて、共感することが大切」と強調した。人が悲しみから立ち直るには、まず事実を受け入れて弱音を吐ききった上で適応していくといった段階があり、一年以上の長期を要するケースもあるという。「じっくりと喪失の悲しみを感じられる時間、それを受け止める社会の寛容さも必要」と話した。
勝原会長は「悲しみから立ち直れない方に、どのように接すればよいのか、という会員からの問い掛けがあり、今回のセミナーを企画しました。毎月第3火曜日の午後1時半から福祉会館で例会を開催しているので、今後も互いに研さんに励みたい」と話している。