仕事で重宝される人がやっている6つのこと【ビジネスコミュニケーション力】
仕事で重宝される人は、何が違うのか?上を目指す若手ビジネスパーソンにとって「仕事ができる新卒」から脱却し、一人前として認められるために何をすべきか悩む人もいるだろう。
効率的に仕事を進め、成果を出して評価されるビジネスパーソンが意識し、習慣化していることには、きっとヒントがあるはず。12年間経営コンサルティングに従事し、WEBメディアの運営支援、記事執筆などを行うティネクト株式会社の代表、安達裕哉さんに、「仕事で活躍したい若手ビジネスパーソンが意識すべきこと」について伺った。
はじめに
社内で一目置かれる、活躍する。
上を目指す若手ビジネスパーソンにとって、「3年目から5年目」の期間は、非常に重要です。
2年目まではおそらく、先輩たちの言う通りに目の前の仕事をがむしゃらにやることで、認められることでしょう。ひたすら「量」をこなすことで、一定の評価が得られるはずです。
しかし、3年目以降ともなると、「考えて」仕事をすることや、複数の仕事を同時に進めること、あるいは新しい難易度の高い仕事へのチャレンジなど、次のステップアップを目指すための試練が数多く存在しています。
では、具体的には、一通りのことができるようになった3年目以降のビジネスパーソンは、何を目標として仕事に取り組めばよいのでしょうか。
1.当事者意識を磨く
3年目以降の若手にとって、当事者意識こそ、組織内で「次の段階」を目指すビジネスパーソンにとって不可欠なものです。
しかし、当事者意識とは具体的には、何を指すのでしょう。
それは言ってしまえば、 「リーダーでなくとも、自分がそれに対して責任があるかのように振る舞うこと」 です。
通常、3年目から5年目の人間が、大きなプロジェクトを任されることはありません。ですから、流れに身を任せて、上から降ってくるタスクをこなしていても、そこそこの評価は得られます。
しかし、単に与えられたタスクをこなすだけではなく、自らの参加しているプロジェクトに対して責任があるかのように取り組む「当事者意識」が加わると、世界は全く違って見えます。
他の人のタスクの進捗が気になります。
自分の割り当てられたタスクの粒度が正しいかを検証するようになります。
全体の品質が気になります。
お客さんの反応が気になります。
結果として、自分の行動が結果にどのように全体に影響するかを理解し、プロジェクト全体を俯瞰するような意識が芽生えます。
これが、 3年目以降の人間が、もっと上を目指す時に求められる視点 です。
プロジェクトや組織全体の問題を人ごとではなく、自らも解決策を考え、解決のために実行に移す姿勢、それが「当事者意識」です。
また、「当事者意識」を持って働くことは、個人のパフォーマンス向上にもつながります。
まず、仕事への責任感が強まることで、モチベーションが高まります。そして、チームメンバーとのコミュニケーションが円滑になり、相互尊重の精神が育まれることで、チーム全体のパフォーマンスも向上します。さらに、問題が発生した際には迅速かつ適切に対応できるようになり、問題解決能力も自然と身につくのです。
これらは組織に対する「自己犠牲」ではありません。
チームのために役立つことが、そのまま自分のキャリアにつながる 行為です。
2.タイムマネジメントの習得
当事者意識と並んで重要なのが、タイムマネジメントです。
タイムマネジメントは、効率的に仕事を進めるための基本的なスキル です。特に、昇進を目指すビジネスパーソンにとって、時間を有効に使うことは非常に重要です。
かつて私も3年目に入った時に、急に仕事の量が増え、仕事がスムーズに回らなくなった記憶があります。
そんな時に、先輩社員から言われたのが、「時間を有効に使えないと破綻する」という一言でした。
では「時間を有効に使う」とは具体的に何を示しているのでしょうか。
結論から言うと、その奥義は、 「優先順位をつける」 ことにあります。
つまり、重要なタスクを見極め、それに集中することです。
ピーター・ドラッカーは、著書の中で「時間は常に不足する」と述べていますが、どの職場でも、成果を上げるためにやらなければならないことに対して、時間は圧倒的に少ないのです。
したがって、成果を上げるために優先的に手を付けるべきことは何かを、常に検証する必要があります。
また、タイムマネジメントの手法の中で、優先度をつけることと同様に重要なのが「時間をまとめる」ことです。これもドラッカーの指摘ですが、細切れの時間は役に立ちません。大きくまとまっており、集中できる時間がなにか成果を上げるためには必要なことです。
具体的には「時間ブロック法」を活用することをお勧めします。これは、特定の時間帯に特定のタスクを集中して行う方法です。例えば、午前中はメールの返信に集中し、午後はプロジェクトの進行に専念するなど、 時間をブロックごとに分けて管理することで、効率が大幅に向上 します。
また、「デジタルツールの活用」も効果的です。タスク管理アプリやカレンダーアプリを活用することで、スケジュールを一元管理し、忘れがちなタスクを見逃さないようにすることができます。これにより、プロジェクト管理もスムーズに行えるようになります。
3.コミュニケーション能力の向上
言ってしまえば、コミュニケーション能力の到達点の一つは、 「相手の心を読み、相手を動かす」 ことにあります。
したがって、コミュニケーション能力は、ビジネスの成功に不可欠なスキルです。
具体的な方法としては、まず「傾聴」を実践することが重要です。
相手の話をしっかりと聞き、理解することで、相手の要望に応えることができるからです。
この「傾聴」→「理解」というプロセスがコミュニケーションの肝心な点です。
というのも、世の中には「聞いているフリ・姿勢は見せるけど、中身は理解していない」という人が数多くいるからです。聞くだけではなく、 質問や深堀りを通じた「理解」まで出来て初めて「傾聴している」 と認識をしなければなりません。
次に、「明確なメッセージを伝える」ことが求められます。曖昧な表現を避け、具体的で分かりやすい言葉を使うことで、誤解を防ぎ、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
また、「非言語コミュニケーション」も重要です。例えば、会話中の表情やアイコンタクトは、相手に安心感や信頼を与え、ジェスチャーや姿勢は、話に対する自信や関心を示します。抑揚や発言の間も、お互いの理解を深める上で欠かせない要素です。言葉以外の要素もコミュニケーションに大きな影響を与えます。
さらに、「フィードバックの受け方と与え方」を学ぶことも大切です。建設的なフィードバックを行うことで、チームメンバーの成長を促し、全体のパフォーマンスを向上させることができます。フィードバックを受ける際も、謙虚な姿勢を見せることが重要です。
これは周囲の人々に心理的な安全性を与えることに繋がります。
4.「失敗から学ぶ方法」を身につける
失敗は成功の母と言われるように、失敗から学ぶことは非常に重要です。特に、昇進を目指すビジネスパーソンにとって、失敗を恐れずに挑戦し、その経験から学ぶことが求められます。
しかし、どうすれば「失敗から学べる」のでしょうか。
失敗から学ぶことは重要だと繰り返し述べられていますが、それを実践する方法についてはあまり詳しい文献がありません。
結論から言うと、「失敗から学ぶ」ためには3つの段階があります。
まず 「失敗を受け入れる」 ことが重要です。失敗を避けるのではなく、失敗を経験として受け入れ、それを成長の機会と捉えることが大切です。
次に、 「失敗の原因を分析する」 ことが求められます。失敗の原因を明確にし、次回同じミスを繰り返さないようにするためには、詳細な分析が必要です。具体的には、失敗したプロジェクトやタスクについて、何が問題だったのかを討論し、改善策を考えることが重要です。
また、 「失敗から学んだことを共有する」 ことも効果的です。チームメンバーと失敗の経験を共有し、全員で学びを共有することで、チーム全体の成長を促すことができます。これにより、チームワークが強化され、次回のプロジェクトでの成功確率が高まります。
根拠として、失敗から学ぶことの重要性は多くのビジネス書や研究で示されています。米国の著名な牧師であるジョン・C・マクスウェルは著書『Failing Forward』の中で失敗を成長の機会と捉えることが成功への鍵であるとされています。
また『失敗の本質』という日本軍の組織論を研究した戸部良一の著作も参考になるでしょう。
5. 人脈開拓を心掛ける
人脈の開拓、すなわちネットワーキングも3年目からは避けて通れません。
人脈こそ、ビジネスの成功に不可欠な要素の一つだからです。特に、昇進を目指すビジネスパーソンにとって、強力なネットワークを築くことは非常に重要です。
組織内外でネットワークがあれば、業界のトレンドや内部情報をいち早くキャッチできるようになり、また異なる業界や部門の視点を学ぶこともできます。仕事で困難に直面したときに助けを求められる人が多ければ、問題を迅速に解決できる可能性が高まります。つまり、 自己成長やキャリアアップのチャンスをつかみやすい環境が整う のです。
具体的な方法としては、まず「積極的に社内外のイベントに参加する」ことが挙げられます。
社内イベントはもちろん、業界のカンファレンスやセミナー、ネットワーキングイベントに参加することで、多くの人と出会い、関係を築くことができます。
次に、「オンラインプラットフォームを活用する」ことも効果的です。LinkedInなどのビジネス向けSNSを活用することで、業界の専門家や同僚と繋がり、情報交換を行うことができます。また、定期的に投稿を行い、自分の専門知識や経験をシェアすることで、パーソナルブランディングを強化することができます。
さらに、「フォローアップを欠かさない」ことが重要です。新しい人と出会った後は、必ずフォローアップのメールやメッセージを送り、関係を維持する努力をしましょう。イベントでは多くの人と出会うため、自分の存在を再度印象づけることができます。継続的なコミュニケーションを通じて、相手との信頼関係を深めることで、長期的な信頼関係を築くことができます。
余談ですが、ハーバード・ビジネス・レビュー(人脈づくりが好きになる方法 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文)では、「人脈づくりが好きになる方法」を、以下の四つと定めています。
1.「義務感での参加」ではなく「学習目的での参加」と考える 2.共通の関心を見つける 3.誰でも何かしらの貢献はできると考え、自分が提供できるものを広い視野で捉える 4.個人的な利益のためではなく、より大きな目的、課題解決のためにやっているのだ、と思う。
6. 健康管理もキャリアの一部
最後に健康管理の話をしましょう。
健康は、ビジネスパーソンにとって非常に重要な要素です。「定期的な運動」「バランスの取れた食事」「十分な睡眠」、そして30歳を超えたころから定期的な健康診断にいきましょう。
特に30歳を過ぎると、歯の健康に問題が生じるケースが多いです。
口臭などの原因となり、周囲の人々を不快にさせないためにも、歯科定期検診にはかならず行くべきです。
また、40歳前後から成人病の影が忍び寄ってきます。
20代から30代にかけてため込んだ不摂生が、一気に噴出するのが40代です。
若いときの無茶は、必ずツケを支払う必要があります。
お金を手に入れても、健康を害していては何の意味もありません。
常に最優先、それが健康維持です。
まとめ
以上、仕事で重宝される人が実践している具体的な行動や習慣について解説しました。
当事者意識を磨くこと
タイムマネジメントを身につけること
コミュニケーション能力を向上させること
失敗から学ぶこと
人脈の力を活用すること
そしてたゆまぬ健康管理が、上を目指すビジネスパーソンにとっては、非常に重要です。
3年目以降、新しいステージを覗きたいと願うのであれば、これら6つのことをやってください。リターンは大きいはずです。
プロフィール
安達裕哉
1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科修了後、デロイト トーマツ コンサルティング(現アビームコンサルティング)に入社。 品質マネジメント、人事などの分野でコンサルティングに従事し、その後、監査法人トーマツの中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画。 大阪支社長、東京支社長を歴任したのちに独立。
現在はマーケティング会社「ティネクト株式会社」および生成AIコンサルティング会社「ワークワンダース」 の代表として、コンサルティング、webメディアの運営、記事執筆などを行う。
代表著書
『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること(日本実業出版社)』
『頭のいい人が話す前に考えていること(ダイヤモンド社)』
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安達裕哉