夏は8割、冬は9割。信州・戸隠の技で打つ年中おいしい日本蕎麦の店【そば処 草の子】富山朝日町の海沿いカフェのような蕎麦店
古くから日本各地で穀物として利用され、寿司や天ぷらと並んで日本料理の代表格に挙げられることも多い蕎麦。
北海道や長野など、全国各地で栽培される蕎麦の実はその土地の気候や風土によって異なるため、産地ごとに変わる風味を楽しむグルメ通も少なくありません。
今回は富山県の東端に位置する朝日町から、日本を代表する蕎麦処・信州戸隠で修行した本格派でありながら、海沿いのカフェのようにゆったりした空間で味わえる人気の蕎麦店を紹介します。
店の名前は「そば処 草の子」。
朝日町の中でも、海岸にほど近い住宅街にぽつんと店を構えています。
蕎麦店と言うと、いかにも純和風な古民家や格式ある建物のイメージが強いですが、「草の子」は板張りの外壁にフラットな屋根。まるで海沿いのカフェのようなモダンな雰囲気です。
店内に上がる前に、靴は脱いで入るスタイル。
木のフローリングだけでなく、テーブルやいす、壁などもナチュラルな木を生かした造りで、大きな窓と吹き抜けからはたっぷり自然光が降り注ぎます。
開放感がある店の雰囲気は、女性がひとりでも入りやすい店を目指したということで、ゆったりとくつろいで過ごせます。
夏場は8割、冬場は9割!
季節に応じてつなぎを変えて年中おいしい蕎麦を提供
店の1番人気は、「天ざるそば」です。
蕎麦を盛ったざるを直接置いてもテーブルが濡れないくらい、しっかりと水切りされています。
使われている蕎麦粉は八ヶ岳のもの。新蕎麦が熟成し、もっともおいしくなる冬の時期にまとめて製粉、冷凍し、どの季節でも安定しておいしい蕎麦を提供できるようにしているそう。
そんな蕎麦粉に、夏場は2割、冬場は1割のつなぎを加え、手打ちした蕎麦をのどごしのよい細切りにしています。
つゆは利尻昆布、厚切りの本節、宗田節、さば節からとった出汁を使い、関東風のちょっと辛めのもの。
「蕎麦の先に少しつけるのもよし、どっぷりつけるのもよし。好みの食べ方で食べてほしいですね」
こう語るのは、店主の草野さんです。
日本3大蕎麦のひとつ、信州・長野の戸隠蕎麦の名店で修行し、その店のレシピや調理法をベースに、富山の気候や水に合わせた蕎麦を作っています。
天ぷらは大ぶりのエビや季節の野菜などが並びます。
さっくりと揚がった天ぷらは時間が経っても食感が損なわれず、あたたかい出汁にくぐらせても軽い口当たりで食べられます。
蕎麦湯はかなりとろっと蕎麦のエキスが溶け出していて、風味をしっかりと感じられます。
蕎麦の味をもっと堪能したいという人には「そばがき」がオススメです。
蕎麦粉を水に溶いて火にかけ、かき混ぜて餅のように練り上げたもので、素材のよさを味わうことができます。ナッツのような甘みや粘りなど、蕎麦切りにしたときにどうしても薄れてしまう蕎麦本来の風味を楽しめます。
ゆったりと気を張らずおいしい蕎麦を
本場の蕎麦処で培った腕を惜しみなく披露し、味へのこだわりも強い草野さんですが、「草の子」ではあえて食べ方やこだわりを前面に出すことはしていません。
「こだわりを表に出さないことがこだわりです。お客さんそれぞれの好きな食べ方で気張らず食べてほしいので」(草野さん)
この地に店を構えてから23年。そんな店の雰囲気や蕎麦の味が愛され、地域の住民や遠方からの客などで平日でも開店と同時に席が埋まるほどの人気店です。
【そば処 草の子】
住所 富山県下新川郡朝日町東草野522-4
営業時間 11:00~14:30
定休日 月・火曜