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可処分所得に約1.7億円の差。「正社員共働き」を諦めないために夫婦で考えておくべきこと

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仕事と家庭の両立をどのようなバランスで考えていくべきか──。子どもが生まれ、目の前に迫る現実として、あるいはゆくゆくは家庭を持ちたいと考えて、頭を悩ませる人は多いでしょう。

家庭を築くうえで考えるべきことは、たくさんあります。どのようにすれば、子どもにとって良い環境になるか。どのようにすれば、家族がみな心地よく過ごせるのか。どのようにすれば、夫、妻、子ども、それぞれの自己実現を後押しできる環境になるか。

それらは時間、接し方、住む場所、さまざまな要素で構成されていますが、今回はあえて「世帯収入」という面にフォーカスしてみましょう。というのも、生活必需品の買い物から子どもの教育方針まで、さまざまな面で、世帯可処分所得は選択肢の数に直結してくるからです。

そして、昨今は結婚したら妻が家庭に入るというスタイルよりも、共働きで働くというスタイルの家庭が多くなってきました。とはいえ、子どもが生まれるとやはり、女性がキャリアを諦めるケースも依然として少なくありません。

子育てをしながら働くのは容易ではありませんし、「コスパを考えるなら、片方が家庭のことを担い、片方が仕事に専念し昇進昇給を目指していくほうが効率的」という声も聞きます。

では、実際に共働きとそうでない状態では、世帯可処分所得にはどのような差が生じるのか。データをもとに解説します。


•女性のキャリアによる、世帯生涯可処分所得の差は約1.7億円
•女性が就労を継続しやすくするために必要なことは?
•STEP1 夫婦それぞれのキャリアスタイル・ライフスタイルの希望をすり合わせる
•STEP2 理想のスタイルを実現できるよう、環境を整える。
•STEP3 もし、仕事と家庭を両立しやすい仕事に転職するなら?

•まとめ

女性のキャリアによる、世帯生涯可処分所得の差は約1.7億円

まず、女性の出産後の働き方によって、可処分所得にどのような差が出るのかについて。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計」などをもとに算出されたデータによると、妻が正社員として就業継続するケースと家庭に入る場合では、世帯の生涯可処分所得の差は約1.7億円となっています。

あまりにも大きな数字に「なぜ?」と思う方もいるかもしれませんが、ポイントは、就労の継続によって月々の収入額だけでなく、将来もらえる退職金や年金所得などにも差が出るというところ。

これらを加味すると、就労している間の収入額ではなく定年後の長い老後期間にわたっての影響も加味して、ライフプラン・キャリアプランを検討する必要がありそうです。

女性が就労を継続しやすくするために必要なことは?

このように考えるとやはり就労継続したいと思う女性、妻に働き続けてもらいたいと思う男性もいるでしょう。しかし、子育てと仕事の両立は簡単ではありません。では、どのようにキャリアスタイル・ライフスタイルを備えていけば良いのか。3つのステップにわけて見てみましょう。

STEP1 夫婦それぞれのキャリアスタイル・ライフスタイルの希望をすり合わせる

まず初めにすべきは、互いがどのようなキャリアスタイル・ライフスタイルを望んでいるかの認識、使えるリソースをすり合わせること。子どもが生まれた直後などは、役割分担を考える余裕がなく「とりあえず気づいたほうがやる」「とりあえず、できる範囲で目の前のことを」となりがちです。

しかし、子育てはこれから10年以上続いていく「プロジェクト」のようなものですから、無理や我慢だらけでは続きません。父である前に母である前に一人のキャリアパーソンとして、どのようなあり方を目指したいのかを確認しましょう。

この時、勤務先のしきたりや「一般的」などの価値観は一旦おいておきます。「結婚した時は子どもができたら仕事を辞めると言っていた」「稼ぐのは任せてと言っていた」などの場合も、会社のなかでの立場や仕事内容の変化にともなって、希望が変わっているケースもあります。

マイナビ転職の「育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)」によると、出産・育休を経て職場に復帰した女性の約4人に1人が「ワーク・ライフバランスを意識するようになった」「思うように働けなくなった」と仕事やキャリアにジレンマを抱えています。対して男性は影響を感じていないという回答が一般的。

育児にかかわる制度の利用実績でも「時短勤務」などで男女差が顕著。夫と妻、双方納得のうえでの役割分担であれば問題ありませんが、「子どものお世話は妻がメインで、夫はヘルプがあった時だけサポート」「時短勤務は女性がとるもの」と無意識に役割固定をしているケースも少なくありません。

日常的に会話をたくさんしている夫婦でも、仕事やキャリアに関する部分はあえて家に持ち込まない方や、意外と話題にのぼらないという方もいるでしょう。「今、パートナーはどんなキャリアスタイル・ライフスタイルを希望しているのか」を改めて話してみると、意外な気づきがあるかもしれません。

STEP2 理想のスタイルを実現できるよう、環境を整える。

互いの認識ややるべきことが見えたら、次はどのように実現していくかです。希望のキャリアの実現においては、まずは、職場でどのような制度があるか確認することが重要。毎日たくさんの情報に触れるなかで、制度などの情報は「自分事」と思わないとなかなか目に入らないもの。改めて調べなおすと使える制度が新たに見つかるかもしれません。

また、制度の内容は同じように見えても、有給休暇か無給休暇か、具体的な支給額などは企業によって差があります。「お得なほうが制度を使う」などの考え方もアリです。

制度の使用を検討するうえで注意したいのは、「あるけど使える雰囲気ではない」というケース。これは、人手不足などで本当に使える雰囲気でないケースもありますが、一方で、本人が言い出すことに気後れしているだけで、「前例はなかったけれど、希望を出せばあっさり通った」というケースもあります。

昨今は以前よりも「夫婦で子育て」への理解が進んでいます。個々人のハラスメントに対する意識の高まりだけでなく、企業理念や離職防止・新たな人材確保の観点で、育児中の社員にも寄り添う組織に変わっていきたい、それを採用メリットとして打ち出していきたいと考えている経営層も増えているからです。

制度の利用で仕事に穴を開けてしまうなど、申し訳なく感じる方もいるかもしれませんが、「病気など心身の不調で休みが必要になる」「親の介護で時短勤務が必要になる」など、働き方を見直さなくてはならなくなる可能性は、子どもの有無にかかわらず誰にでもあることです。

属人的な業務を減らし、誰かが急に休んでもカバーし合える体制にしていくことは、組織運営において基本的で重要な観点です。しっかり仕事に貢献していく、自分が他の方のサポートをできる時はサポートをするという気持ちを示しつつ、周りに相談をしながら、環境を整えていくのも一つの選択肢でしょう。

なお、自分に合った環境を得るためには、周りが察して動いてくれるのを待つのではなく、自ら働きかけていくことが重要です。

STEP3 もし、仕事と家庭を両立しやすい仕事に転職するなら?

ちなみに、今の職場では難しい場合は、転職が視野に入ってくるかもしれません。仮に定年の65歳まで働くとしたら、まだ20年以上を過ごす職場。子どものことだけでなく、40代50代になると親の介護や自身の体力の衰えなども出てきて、今までと同じ働き方ができなくなる可能性もあります。

30代はこれまでの経験やスキルをきちんと整理し、生かせる職場を見つけられれば、転職で年収アップを狙いやすい年代でもあります。いま一度「長く働ける職場」という観点で、今の職場がベストなのか、考えてみてもいいかもしれません。

そして、今後を見据えて仕事と家庭を両立しやすい環境を新たに探すなら、どのような観点で職場を選べばいいのでしょうか。

参考になるのは、転職サイトの求人情報の検索条件にある項目です。「育児中の社員在籍」といった仕事と家庭の両立に理解がありそうな環境や、「テレワーク可」「フレックス勤務可」など、子どもが小さいうちだけでなく「小1の壁」「小4の壁」を乗り越える際に心強い制度にも、注目してみてください。

なお、いろいろ考えた結果「週5でフルタイムで働くのは難しい」という結論になった場合も、イコール「正社員を諦めざるを得ない」となるとは限りません。最近は、正社員でありながら多様な働き方ができる制度が出てきています。その代表的なものが「短時間正社員」制度。

期間の定めのない労働契約で、時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等でありながら、1週間の所定労働時間が短いので、育児や介護などとの両立が比較的容易になります。

同様に、公務員をはじめ、じわじわと導入が広がりつつあるのが「週休3日制」。全社員適用、希望者で条件を満たしたものだけ適用可能など企業による差はありますが、こちらも、一度諦めてしまうと戻るのが難しいと言われている正社員就労を継続していくうえで、選択肢が広がる制度です。

また、「くるみん認定」や「えるぼし認定」といった子育てサポート体制に「国のお墨付き」を得ている企業から、転職先を探すというのも一つの方法。ただしいずれも「制度があるから」「認定されているから」、理想のキャリアスタイル・ライフスタイルを叶えられると早合点するのは危険です。

「自分が目指したい働き方や利用したい制度を、『配属予定部門で』本当にできるのか」ということを、面接などでヒアリングして確認していくことが重要です。残念ながら、「制度はあるけど使える空気ではない」というケースや「部門によって異なる」ということは、たびたびあるからです。

その場合は一方的に会社に条件を要求するのではなく、「自分はこのようなスキルや経験で貢献できる」としっかり提示したうえで条件を確かめたり、交渉を進めたりすることが大切です。企業に「あなたに来てほしい」と思ってもらい、自身が「ここで働きたい」と思う、双方の気持ちが一致することが、良い転職には欠かせないからです。

まとめ

以上、世帯の生涯可処分所得をキープするためのポイントを見てきました。ご紹介したとおり、昨今はさまざまな制度ができ、仕事と家庭の両立を実現しやすくなっています。しかし、何より大切なのは、ご自身が、パートナーが、ご家庭をどのようにしたいかということ。互いが互いの理解者、サポーターとして、コミュニケーションを取っていくことが欠かせません。

そして今すぐキャリアの選択を迫られていない方も「いつかこういう悩みに直面するかもしれない」「その時はこういう制度がある」と早い段階で知っておくことで「今のうちに理想の働き方を選択しやすいキャリアに舵を切っておく」「情報収集しておく」など備えができ、実際に仕事と家庭の両立方法の岐路に立った時に取れる選択肢が変わります。

まずは手が届く範囲の情報収集から、始めてみてはいかがでしょうか。

文・マイナビ転職編集部

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