実はけっこう凝り性なんです オペラ歌手・秋川雅史さん
秋川雅史さん(Part 2)
1967年、愛媛県西条市生まれのテノール歌手。1998年にカンツォーネコンクールで優勝し、2001年に「パッシオーネ~復活の歌声」でCDデビュー。クラシックのみならず、歌謡曲、演歌、ポップスなど幅広いジャンルをこなし、2006年リリースのシングル「千の風になって」は130万枚を突破。クラシック歌手として史上初のオリコンシングルチャート1位にも輝きました。
JK:すごいですよ、テノール歌手って言いながらアーティスト! 二刀流すごい!
出水:実は彫刻家としても活躍していらっしゃるんですよね。
秋川:本当にハマっちゃいまして(^^;)14年前に始めたんですよ、43歳の時に。そこからもうハマって、今日もちょっと彫ってから来ましたけど、時間が空いてたら彫ってますね。
JK:ハマっちゃう人なんですね。
出水:2021年より4年連続で二科展の彫刻部門で入選しています。最新のものですと、「エラクレスオオカブトとヒラハノコギリクワガタ」。
秋川:カブトムシとクワガタの戦いをリアルにね。「これ本物?」って思えるようなものを作ってみたくて。
JK:本物みたいですよね! 美大では彫刻もやってたんですか?
秋川:私は音大なんで。なんかでも彫刻は昔から見るのが好きで、彫れる気がしたんですよ。好きだったのは小学生くらいから。インターネットで「秋川雅史/彫刻」って調べてもらうと、秋川雅史の彫刻のホームページがあって、そこに写真が全部入ってます。ラジオだとどうしても伝わらないので。
JK:これは過去に何点くらい?
秋川:大体1年に1点という感じで作っていってるんで、だから14年経ったので、14作。テーマを決めるのが結構難しくって・・・ある時にふとひらめくんですよ。生活してて何か物を見た時に「あ、こういうのって面白いかな」ってひらめく時があるんですよ。そこから構想を練っていって、1回粘土で作って。
出水:差し支えなければ今年のテーマとかお伺いしても大丈夫ですか?
秋川:今年の二科展に応募する作品もやっぱりカブトムシとクワガタなんだけど、今年は「アクティオンゾウカブトとスマトラヒラタクワガタ」。また種類の違うカブトムシとクワガタの対決(^^)大きいカブトムシです、外国産の。
JK:大きい方が見ごたえありますよね。
秋川:実はうちでブリードして飼ってるんですよ。
出水:モデルさんがいるんですね! カブトムシも極めてるんですね(笑)
JK:本物のカブトムシよりもリアル。いかにも動くんじゃないかって感じ。そのうち歌でも教えたりして(笑) 木から作るんですか?
秋川:そうです、真四角の木。全部真四角の木から、下の台も1つの木から切り出してます。
出水:クワガタの足ってものすごく繊細で細いじゃないですか? 木でポキッと折っちゃったら失敗なわけですよね?
秋川:もうゆっくりゆっくり、皮1枚剥がしながらみたいな感じで彫っていくんですけど・・・本当にちょっとずつ。1日かけて「今日は1センチ四方ぐらい彫った」みたいな感じ。
出水:そんなにちょっとずつなんですか! ひえ~!
JK:息もできない! じゃあ将来は美術館! もうちょっと貯めて。絵は描けない?
秋川:美術館で展覧会できたらいいなと思ってるんですけど、絵が苦手でね。3Dって360度見たまま彫ればいいと思うんだけど、絵って平面に奥行きを出さないといけない。あれがわからなくて。
JK:わからなくていいですよ、これだけできてるんだから! 欲を出さない。歌も歌って、見事ですよ!それも趣味じゃないですから。本格的! もう彫刻家!
秋川:でも自分は趣味に徹しようと思って。だから1点も販売したことないです。家に残して、代々引き継いでもらおうと思って。
JK:でも自分の宝を作るわけですよね、子どもたちのためにも。これは秋川家の宝だから継いでいってね、と。展覧会で売れちゃったら終わりですもんね。私も絵を描くけど、絵はかさばるから置いたらもうキリがないでしょ。これだとそんな大きな作品じゃないでしょ。それだったら100ぐらいあったって。
秋川:そうですね。30㎝ぐらい。でもだいぶ溜まっていって。今うちのグランドピアノの下が全部彫刻だらけ(笑) グランドピアノが2台並べておいてあるんですが、外にはみ出てきています(苦笑)
JK:自分の家で彫ってるんですね。
秋川:リビングで彫ってます。木屑だらけになりますよ、リビングが。だから時々子供たちが足に刺さって痛い!とか。
JK:ぜひ、これ見たいです! 例えばロビーで飾るとか。今度やってください!
秋川:そう、今度コンサートのロビーで展示するんですよ。オペラシティのコンサートで。4年連続で二科展に入選した4作品。今年また1作品応募する予定なんで、入選すれば5作品を展示する予定です。ぜひ見に来てください!
出水:9月26日(金)東京オペラシティコンサートホールにて、「秋川雅史コンサート2025」。彫刻も拝見できますが、コンサート自体は?
秋川:クラシックの曲ももちろん歌いますし、歌謡曲やヒット曲をクラシックの歌声で歌ったり。すべてマイクなしでコンサートを行います。オペラシティは1700席くらいあるのかな? 広い空間をマイクなしの生声で、全身全霊で歌います!
JK:秋川さん、人生でマサカ!っていう何か思い出は?
秋川:あのね、私なにげに実はトラックの大型免許を持ってまして。
出水:ええ~!
秋川:取るきっかけになったのは大学時代のアルバイトなんですよ。引っ越しのアルバイトをして、トラック運転して荷物を運んで。最初アルバイトの広告見た時に「誰でもできる簡単な仕事です」って書いてあった。まあありがちですけどね(笑)めちゃめちゃハードな仕事だったんだけど、負けず嫌いで結構根性だけは備わっているので・・・
JK:免許はもう持ってたんですか?
秋川:普通免許は持ってたんですね。普通免許で2t、4tは運転できるんで、4tトラックを運転してたら運転が得意になって。勢いづいて、大型免許を取得しちゃった(笑)
JK:なんかすごすぎ! 上から見えるし、長さも長い。後ろなんか見えないじゃないですか?
秋川:後ろは箱なんで、車の中のバックミラーは見えないんですよ。サイドミラーしか見えない。
JK:勘の良さしかないですね! でもトラックの事故って多いですよ、ひっくり返ったりとかニュースで見ますけど・・・あんなドカーンとしてるのに、ひっくり返るもんなんですね。
秋川:風が強かったりするとひっくり返ったり、高さがあるんで、カーブで思いっきりスピード上げて曲がっちゃうとひっくり返ってしまう。
JK:細いとこ入れないから大変ですよね。
秋川:でも結構私は細いとこ入っていくタイプでしたね(^^;)
JK:でもそれ何年もやってないでしょ? 歌の仕事されたし。
秋川:でも6年間続けましたよ! 6年目には社員より長かったですから、結構社員に指示してましたよ。荷物も運んで。
JK:じゃあ外国ではオーケストラの荷物を全部持って?
秋川:それもやったことあります、大学時代のアルバイトで(^^) 交響楽団の楽器を運ぶっていう。
出水:いろんな経験を持ちで! 彫刻にしろ、歌にしろ、大型トラックにしろ、何か極めていくのがお好きなんでしょうね。
秋川:そう! ボーリングに1回ハマったときあって、やっぱりシューズとボールを買って、どうやったらあのピンが倒れるかっていうのを研究して、最高スコア249出したことあるんですよ。7連続ストライクとあと全部スペアです!
JK:もう完璧ね!! 一緒にやる人に嫌がれるんじゃない? もう独り勝ちすぎて。何やっても極めるのね。今は何に?
秋川:今はもう彫刻オンリーですね。これは一生続けられるかなと思って。
出水:5月には初めての著書「子育てこそ最高の生きがい 私の考える教育」を出版しています。
秋川:子供が今、大学3年生と大学1年生になるんですね。結構そこに情熱かけて20年間生きてきたんで、自分の教育のスタイルを1つ本にしてみたいなと思って。
JK:男性が子育てって珍しいと思うんですよ。
秋川:そう、だから理想的には男の人、パパ、お父さんに読んでもらいたいです。でも男性の方ってそこまで子育てに興味持っていなかったら、本見ても本を読もうと思わないじゃないですか。だからまずはお母さんが読んでもらって、お母さんから「これ読みなさい」と旦那さんに渡してもらうと(笑)
出水:いいアイディアだと思います! 第一章に「子育ては生涯かけて行うもの」と書いてあって、20歳になったから終わりじゃなくて、生涯子育て。
秋川:理想としては、自分が100歳を迎えた時に「私はまだ今64歳の子供を育ててますから、子育て真っ最中です」って言ってたいですね(^^)
出水:YouTubeではお子さん、お父様と一緒にコラボレーションもしていますね。
秋川:父親と私と息子と3人で「千の風になって」を歌って配信したんですよ。そしたら一気に100万再生とかになってびっくりしましたけど。父が今87歳で、まだ歌ってるんですよ。88歳ではコンサートやりたいとか言ってるんで、まだまだ父が現役でやってる以上、自分もいつまでも歌えるかなと。
JK:今後やってみたいことが山ほどあると思うんですけど、夢は何ですか?
秋川:やっぱりオペラに出たいですね。オペラの舞台全幕をやりたいです。お芝居もしなきゃいけないし、実現するように頑張りたいと思います!
(TBSラジオ『コシノジュンコ MASACA』より抜粋)