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ハンドドリップコーヒーと黒糖クレープのキッチンカー「カンテラ」。

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ハンドドリップコーヒーと黒糖クレープのキッチンカー「カンテラ」。

新潟県内のあちこちで出店している「カンテラ」は、ハンドドリップコーヒーと黒糖クレープが売りのキッチンカー。シャイなご主人・光一さんと、気さくな奥さま・遥さんがご夫婦で営んでいます。似てないようで似ているおふたりに取材して、キッチンカーをはじめたいきさつやこだわり、将来の夢などを聞きました。

カンテラ

窪田 光一 Koichi Kubota

1986年南魚沼郡湯沢町生まれ。情報処理の専門学校を卒業後、東京や新潟のIT企業でプログラマーとして働くが、趣味のコーヒーを仕事にしたいと考え、2022年より「カンテラ」をはじめる。趣味はキャンプや写真撮影。

カンテラ

窪田 遥 Haruka Kubota

1987年北海道生まれ。情報処理の専門学校を卒業後、東京や新潟のIT企業でプログラマーとして働くが、2022年より夫の光一さんとキッチンカーの「カンテラ」をスタートする。「fleur(フルール)」の名でリラクゼーションやつまみ細工もおこなっている。

IT企業を脱サラしてはじめた、キッチンカー。

——おふたりの馴れ初めをお聞きしていいですか?

光一さん:ふたりとも同じ専門学校に通っていたんですけど、そのときはあまり話したことがなかったんです。昔から僕は人見知りだったんですよ(笑)

遥さん:私はひと足先に、横浜のIT企業でプログラマーとして働いていたんです。その後、彼も東京のIT企業に就職することになったので、関東で働く専門学校時代の仲間で就職祝いの飲み会があって、その席で再会して付き合いはじめたんです。

——へぇ〜、ご夫婦揃ってプログラマーだったんですね。どうしてキッチンカーをはじめることになったんでしょう?

光一さん:ハンドドリップコーヒーにハマったことがきっかけなんです。コーヒー豆にはたくさんの種類があって、知れば知るほど奥深いことに興味を持ちました。自分でコーヒーを淹れるだけではなく奥さんと一緒にカフェ巡りも楽しんでいたんですが、そのうちに自分の淹れたコーヒーを人に楽しんでほしいと思うようになったんです。

——なるほど。お気に入りのカフェはあったんですか?

光一さん:「珈琲豆 山倉」さんがお気に入りでしたね。いつか自分でコーヒーショップを開くときは、豆をブレンドしてもらおうと思っていました(笑)

遥さん:コーヒーの美味しさはもちろん、アットホームな雰囲気も居心地が良かったんです。

——キッチンカーというスタイルを選んだのは、どうしてなんでしょう?

光一さん:いきなり実店舗ではじめるのはハードルが高いと思ったし、いろいろな場所に出かけて販売できることに魅力を感じたからです。

——でも……安定しているIT企業のサラリーマンを辞めて、キッチンカーをはじめることに不安は感じませんでした?

光一さん:もちろん感じました。でも、やってみたいという気持ちの方が強かったんです。

遥さん:私も「やりたいなら、やろう」と応援する気持ちが強かったです。お互いの両親にも相談したんですけど、どちらも「いいんじゃない」っていうノリで賛成してくれました(笑)

ポッポ焼きの代わりに誕生した、黒糖クレープ。

——コーヒー豆はやっぱり……

光一さん:「珈琲豆 山倉」さんで作っていただいた、オリジナルの「カンテラブレンド」です(笑)。苦みはあるけど後味がすっきりしているので、とっても飲みやすいコーヒーになっています。

遥さん:豆の配合や焙煎の度合いを変えながら何度もブレンドしていただいて、試飲を繰り返しました。飲み過ぎて味や香りがわからなくなってしまったので、私の両親や近所の方々にも試飲していただいたんです(笑)

——ハンドドリップコーヒーと一緒に、クレープをやることになったのはどうしてなんですか?

光一さん:コーヒーだけでは採算を取ることが難しいので、フードも合わせて売った方がいいとアドバイスをいただいたんです。最初はポッポ焼きをやりたかったんですが色々な参入障壁があったのであきらめ、その代わりにクレープをやることにしました。

遥さん:その名残りが沖縄産の黒糖を使ったクレープ生地なんです。私はポッポ焼きガチ勢なので、開発段階からかなり口出ししていましたね。相当うるさかったと思います(笑)

——クレープ生地を作る際もかなり苦労したんですね(笑)

光一さん:甘過ぎたり牛乳や卵の香りが強過ぎたりして、黒糖の風味が思うように出せなくて試行錯誤を繰り返しました。

遥さん:最初は既製品のクレープ専用粉を使うつもりだったんですけど、それでは思ったようなクレープが作れなかったので、自分たちでブレンドした粉を使うようになりました。

行列を解消するための秘密兵器。

——キッチンカーをはじめてみて、感じた苦労はありますか?

光一さん:とにかくキッチンカーは天候次第ですね。エアコンがないので、夏は暑いし冬は寒いんです(笑)。暑過ぎるとホイップクリームを使った商品は売れにくくなるし、暴風雨で参加予定のイベントが中止になることもあります。

遥さん:売り上げが読めないのも難しいところです。最初は売れ残りを自分たちで食べていたので、そのおかげでふたりとも太っちゃいました(笑)

——自然相手だと読めないことも多いですよね。

光一さん:あとオーダーいただいてからクレープを焼いたり、コーヒーを淹れたりするので、提供までに少しお時間をいただくんです。でもお客様がたくさん来てくださると、その分時間がかかってお待たせするのが申し訳ないんですよね……。暑かったり寒かったり雨風だったりすると尚更です。そのプレッシャーを少しでも軽くしたくて、呼び出しベルを用意したんですよ。

遥さん:ベルがあれば車のなかや屋内でお待ちいただくこともできますからね。お客様のためでもあるんですけど、自分たちがプレッシャーから解放されるためでもあるんです(笑)

——人気があるからこその苦労ですね(笑)。ではキッチンカーならではの楽しさってあるんでしょうか?

光一さん:人見知りの僕でもいろいろな人とのつながりができることですね。お客様はもちろん、出店先のオーナーさんやスタッフの皆様、キッチンカーの出店者さんと仲良くなれるのは嬉しいです。

——なるほど。最後に今後の夢があったら教えてください。

光一さん:いつか実店舗で営業してみたいという気持ちはあります。お客様に席で商品をお待ちいただきたいんですよね(笑)

遥さん:キッチンカーではどうしてもバタバタしてしまいがちですので、お客様や商品とじっくり向き合える実店舗営業の方が私たちには向いている気がします。いつか実現できたら嬉しいですね。

カンテラ

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