Yahoo! JAPAN

解禁日の渓流釣りで28cmヤマメ登場【熊本・川辺川】アプローチの基本も紹介

TSURINEWS

渓流釣りの風景(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

3月1日、半年間待ち続けたヤマメ解禁の日。渓流の女王とも称されるヤマメとの出会いを心待ちにしていた釣り人たちは、解禁前から計画を練り、仕掛けを準備し、万全の態勢でそれぞれの狙いの釣り場へ向かう。私もその1人で、川辺川へと向かった。

解禁日に川辺川へ釣行

ついに待望の日を迎え、心は弾むばかり。朝マヅメからサオを振りたかったが、用事があり出発は午前10時30分。まずはエサとなる川虫を採取するため球磨(くま)川へと立ち寄る。網を立て、石を転がすと、多くの水生昆虫が現れた。近年は水害による河川工事で濁りが続く日も多かったが、これだけの川虫が生息しているのは自然の回復力の証。その生命力に安堵(あんど)しつつ半日分のエサを確保し、川辺川上流を目指した。

到着したのは川辺川中流域の五木村。橋の上から本流をのぞくと渇水であらわになった川床が目に飛び込んだ。すでに入渓していた釣友に状況を尋ねると「春が来ない」とのつぶやきの返答。水量の減少で着き場は限られており、ヤマメもナーバスになっている。

ヤマメ釣り仕掛け図(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

28cmのヤマメが登場

入渓したのは午前中に相当叩かれたであろう有名ポイント。河原に釣りザオを置き、御神酒を川に流して手を合わせ、安全を祈願する。取り出した仕掛けは、7mサオに渓極0.2号の水中イト、ハリはカッパ極スーパーライト5号。目の前には流速と深みを兼ね備えたA級ポイントが広がっている。水温の上昇とともに活性が上がることを期待し、正午の五木子守唄のチャイムと同時に釣りを開始した。

水深は2mぐらいか…オモリG1、活きの良いキンパクを丁寧にハリへと刺し、狙いを定めて投入。ナチュラルに流すことを心掛ける。目印からオモリまでの間隔を短めにし、中層を流すと1流し目で目印が揺れた。感覚的には花が咲くような軟らかい前アタリ。ヤマメが安心して食いついている証拠だ。

タイミングを見計らい、シャープにアワせるとギラリと銀鱗が光る。サオに伝わる重量感がたまらない。流心へと疾走する引きに応じ、サオを上流側へ寝かせながらいなす。何度も沖へ走ろうとする抵抗を楽しみながら、やがて観念したヤマメをタモへ。厚みのある28cmの本流ヤマメ。春を告げる女王に思わず頬が緩んだ。

28cmの本流ヤマメ(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

同じ筋を流すと再びアタリ。越冬明けのヤマメは警戒心が強く、早アワセは禁物。仕掛けを送り込み、目印の下から1、2番目が水面下に沈むのを確認してからアワせる。ヤマメは驚いて流心へ疾走。思わず川へ足を踏み入れ、腰を落として耐える。数度の突進を受け止め、タモへ収めたのは25cmの良型。その後も2尾追加し、次なるポイントへ移動する。

五家荘で追釣

車を走らせ、上流域の五家荘(ごかのしょう)へ。橋上からのぞくと昨年よりも深みが増し、再生が進んでいるように感じた。川へ降りると釣り仲間の山本さんがサオを振っていた。「以前は解禁直後に数多く釣れたが、今は本当に厳しい」とのこと。それでも20cmクラスを2尾上げて満悦の表情でヤマメを披露してくれた。

初ヤマメに顔が綻ぶ山本さん(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

今度は2人で下流にある大淵を攻めることにし、私は渕尻を攻略。オモリG1、エサはキンパク。オモリとハリの間隔を45cmと広めに取り中層を漂わせるナチュラルドリフトで誘う。仕掛けの送り出しを止め、エサを浮かせるように誘うと目印がじわじわと揺れた。タイミングを見計らい、アワせると強烈な引き込み。流れの緩い淵尻に定位していたヤマメだ。慎重に寄せ、タモに収めたのは23cmの本命。この要領で19~24cmを5尾追加。また、その下流域でも25cmクラスを2尾追加。最終的に2ケタ釣果となり、満足の納竿となった。

ヤマメ釣りなら球磨川水系

その時、川辺川最上流域を攻めていた釣友の中澤さんから連絡。「サビのない鮮やかなパーマークのネイティブを手中に収めた」と興奮気味。中澤さんは、この日、山江村の万江川にも入渓したそうだが、河川災害の爪痕が色濃く残り、厳しい釣りを強いられ、魚影も薄かったそうだ。

美しいヤマメに笑みがこぼれる中澤さん(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

熊本県内でヤマメを釣るならやはり球磨川水系。特に川辺川は、豊かな自然と変化に富んだ流れが魅力的なフィールドだ。源流から本流まで多様な釣り方が楽しめ、ネイティブの美しい魚体にも心を奪われる。今年も河川工事が多く、濁りや堆積物で釣り場は限定されているものの深みには必ずヤマメが潜んでいる。流れの変化や着き場を見極め、ぜひ挑戦してみてほしい。

渓流ヤマメ釣りアプローチの基本

まず最初に気象を確認し、雨量や増水の有無をチェックしたい。渇水が続いていた中で久しぶりの降雨があり、わずかな濁りが入った「ささ濁り」の状態は魚の活性が上がり絶好のチャンスを意味する。が、渇水で平均水位よりも低い場合、魚の警戒心が強く、厳しい釣りが予想される。

現地に到着したら水温や水面の様子を観察し、ヤマメの動きを見極めることが重要だ。時折、水面に昆虫が飛びかっていたり、ライズが見られることでヤマメの位置や活性が推測できる。近年、河川は災害による影響を受けており、河川工事の影響で濁りやすくなっている。そのため事前に代替となる河川もピックアップして仕掛けや装備を準備しておくとよい。

シーズン初期のヤマメの釣り方(提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)

サオを伸ばして釣りを始める際、焦りを抑え、シビアな魚に対して静かにアプローチし、慎重に近づくことを心がける。

ヤマメは非常に敏感で警戒心が強いため、釣り場では大きな音を立てたり、急に動いたりしないよう注意することが求められる。ポイントに近づく際は、川の中に入る際にも足音や振動が水中に伝わらないように気をつけ、さらに水面に波紋を立てないようにすることが大切だ。

波紋が立つと、ヤマメが警戒して逃げてしまうため、釣りができなくなってしまう。また、人影やサオ影が映らないように工夫することも必要だ。

多くのヤマメは上流を向いて流れに沿って流下するエサを狙っているため、基本的には下流から上流に向かってサオを出し、遡行を繰り返すスタイルが有効だ。

<週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞/TSURINEWS編>

この記事は『週刊つりニュース西部版』2025年3月21日号に掲載された記事を再編集したものになります。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【大阪・梅田】いちご2倍は贅沢すぎる♡ ミルフィーユ専門店「GARIGUETTE」の春スイーツが登場

    anna(アンナ)
  2. 【米子市】鉄板ステーキ食堂 京の肉奉行|ラーメン×ステーキ!斬新な組み合わせが新しいスタイルのお店♡

    tory
  3. 旭川から【滝川・赤平・新十津川】で見つけたおすすめグルメ店3選

    asatan
  4. 財布に優しい「平日ランチ」がお得なうえにランチタイムが長いお店【旭川市】

    asatan
  5. 上った先には龍神様と絶景!学園都市「高塚山ハイキングコース」を歩いてみた 神戸市

    Kiss PRESS
  6. 最高に泣ける!韓国ドラマ「恋愛時代劇」ランキング

    ランキングー!
  7. 一気に春らしさがアップ!「春色トップス」で簡単に垢抜ける【おしゃれさんのお手本コーデ3選】

    saita
  8. 海に飛び出せそうな絶景すべり台!登ってすべって大冒険できる。ワクワクいっぱいの南上原糸蒲公園(中城村)

    OKITIVE
  9. なぜ三鷹にこの住宅が⁉ その謎をひもとく「三鷹天命反転中‼ 荒川修作+マドリン・ギンズの死なないためのエクササイズ」が5月18日まで、『三鷹市美術ギャラリー』で開催中

    さんたつ by 散歩の達人
  10. 夫、私、義母、それぞれの思いが交錯…でも最終的に「名前」に導かれた私たち

    たまひよONLINE