「食品の値上げ」ようやく一服 11月は年内最少143品目 2026年の見通しは?
■値上げ品目数が前年同月比58%減少 分野別では「菓子」が最多
家計を直撃してきた食品の値上げが、ようやく一段落しつつある。帝国データバンクが発表した「食品主要195社 価格改定動向調査」によると、11月の飲食料品の値上げは143品目で、年内で最も少なかった。単月で1000品目を下回るのは6カ月ぶり。前年同月(344品目)から58.4%減り、11カ月ぶりに前年を下回った。
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食品分野別の値上げ品目数では、チョコレートやクッキーなどの「菓子」が49品目で最多となった。次いで「加工食品」(46品目)が続いた。菓子類は、2022年1月以降47カ月連続で値上げが発生しており、長期的なコスト上昇が続いている。
2025年通年では、主要195社で計2万580品目が値上げされた。前年(1万2520品目)を64.4%上回り、2023年以来2年ぶりに2万品目を超えた。1回あたりの値上げ率平均は15%で、前年(17%)をやや下回る水準にとどまっている。食品分野別では「調味料」(6221品目)が最も多く、前年から約2.6倍に増加。「酒類・飲料」(4901品目)も前年比で8割以上増えた。
値上げの要因では、「原材料高」が全体の96.2%を占めた。さらに「物流費」(78.7%)、「エネルギー(光熱費)」(63.9%)、「包装・資材」(62.8%)、「人件費」(50.4%)と、主要なコスト要因はいずれも半数を超える。特に物流費と人件費の上昇は前年から大きく増加。円安による輸入物価の影響(12.4%)はむしろ低下しており、値上げの主因が“国内コスト高”に移っていることがわかる。
■2026年の値上げペースは鈍化か 今年の同時期より大幅に減少
帝国データバンクによると、円安を要因とする値上げは大幅に低下しており、飲食料品の値上げは内的要因による物価上昇にシフトしているという。2025年の値上げペースは前年の約1.7倍に達したものの、企業の採算改善を目的とした「本体価格の再編」も進んだ。
2026年の値上げ予定は、10月末時点で500品目超。前年同時期に判明していた2025年実施予定(1250品目)を大きく下回っており、値上げペースは鈍化する見通しだ。ただし、賃上げや物流コストの上昇、食用油や米など一部原材料の高騰もあり、「値下げや価格据え置きを維持可能な好材料には乏しい」とする声もある。
小麦市況の改善や海上輸送費の低下など、コスト負担をやや和らげる動きもあるが、帝国データバンクは「2026年の値上げペースは現時点で今年に比べて鈍化する可能性がある」とみる。ただ、「2026年も粘着的な値上げが続く可能性がある」とも指摘している。
(SHIZUOKA Life編集部)