梅雨の介護施設で気をつけたいこと!|利用者さんに快適に過ごしてもらうためにできる工夫策とは?
本日のお悩み:梅雨の介護施設で快適に過ごす工夫策は?
梅雨の季節は湿度も高く、外にも行きづらいため、利用者さんも過ごしづらそうです。
また、カビや湿度による利用者さんの体調不良も心配です。
梅雨の時期にできる施設のカビ対策や湿度管理、過ごし方の工夫などがあれば教えてください。
介護現場における梅雨の課題:湿度
執筆者/専門家
伊藤 浩一
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14
ご質問ありがとうございます。今年ももう6月になりました。
暦では梅雨ですよね。梅雨という字はウメにアメと書きまして、雨の多い季節であると同時に梅の実が実る季節となります。
私が住んでいる水戸は、偕楽園という日本三大庭園があり、梅の花の名所になりますが、梅の花は2月から3月にかけて色とりどりの花が楽しめる一方で、6月には、梅の実が取れ(毎年6月初旬恒例行事「梅の実落とし」)、梅干しや梅酒、梅ジュースなどなど様々な恩恵をもたらしてくれます。
高い湿度はカビの原因にも
さて、ご質問の件、梅雨は、私たちが介護の仕事をするうえで、ちょっと厄介な季節でもあります。その厄介と感じる最大の理由が、「湿度」です。
皆さんは生活するうえで快適な湿度と聞かれたら何%とお答えになりますか?
一般的に、人が生活するうえで快適な湿度は60%と言われています。しかし、この梅雨の時期、雨が多くなると外気の湿度は平均80%以上にもなり、私たちが快適と捉える60%より20%も上回る湿度となります。
ちなみに、カビが生える条件は、「温度」「湿度」「栄養源」とされており、湿度においては70%以上と言われています。
蒸し暑さ(不快感)を表す「不快指数」とは?
みなさんは不快指数を知っていますか?
気象庁では、不快指数を、気温と湿度による「蒸し暑さ」の指数と解説しています。1950年代にアメリカで考案された数値で、湿度が高い日本では、1960年代から一般的に使用されるようになったそうです。 日本人の場合、不快指数が77を超えると不快感を覚える人が増え、85になると93%の人が不快を訴えるとされていますが、この数字はどのように求められるのでしょうか?
不快指数の求め方
不快指数の計算方法は以下の通りです。
この式に、実際の数値を当てはめて考えてみましょう。
■例1:気温30℃、湿度80%の場合
気温30℃、湿度80%の場合の式は、以下の通りです。
「0.81×30(気温)+ 0.01×80(湿度)(0.99×30-14.3)+46.3」
このことから、不快指数は「82.92」となり、不快と感じると言われている指数「77」を超えているため、不快と感じる人が多い環境であるといえます。
■例2:室温19℃、湿度67%の場合
ちなみに、私が今この記事を書いている部屋は、室温19℃、湿度67%、天気:雨です。同じように数式に当てはめると、
「0.81×19+0.01×67(0.99×19-14.3)+46.3=64.7」です。
そのため、雨は降っているものの、不快指数が低いため、さほど不快感を感じることなく過ごすことができています。
不快指数の活用と介護現場での視点
もちろん、体に感じる蒸し暑さは、気温と湿度以外にも風速などの条件によっても左右されるため、不快指数と体感は必ずしも一致するものではありません。
しかし、介護現場では、過ごしやすさ(室内気温・湿度)の管理が職員主体となっているため、客観的な指標として不快指数を活用することは効果的です。
例えば、運動量が多い職員と、活動量が少ない利用者さんでは体感が異なります。さらに、心不全の既往がある方は寒さを感じやすい傾向もあります。
つまり、体感の個人差があることは当たり前であるため、客観的に「今、利用者さんは過ごしやすい環境にいるのか?」を測る際、この不快指数を活用することは効果的であると私は考えます。試しに今、この記事を読んでいるときの気温と湿度を用いて、不快指数を計算してみてください。
介護施設における湿度対策
エアコンの除湿機能を活用しましょう!
ここまで不快感の客観的な見方を解説してきました。
では、「具体的な施設での湿度対策はどうすれば良いのか?」を解説していきます。
介護施設における、湿度対策としては、エアコンの除湿機能を活用することがおすすめです。エアコンの除湿機能とは、室内の湿度を下げるための機能です。ジメジメする不快な湿度を下げ、快適な空間を保ちます。
また、冷房より電気代も抑えられ、一般的に1,200〜2,300ml/時間(部屋内)の水分を除湿してくれるそうです。(※性能による個体差あり)除湿の推奨設定は、湿度が設定できるエアコンでは50%、気温は28℃が適していると言われています。先ほど私の部屋で計測した湿度67%は、エアコンの除湿機能を活用しての数字です。ぜひ参考にしてみてください。
最後に:介護施設における、梅雨との上手な付き合い方
いかがでしたでしょうか?
今回は、梅雨の時期を快適に過ごすための工夫として、「不快指数」や「除湿」に注目してお話ししました。エアコンの除湿機能について、意外と知らなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
雨や曇りの日が続くと、どうしても気分が晴れにくくなりますよね。それは、私たちだけでなく、利用者さんにとっても同じことだと思います。
冒頭でご紹介したように、「梅雨」という言葉には「梅(うめ)」との深い関わりがあります。実際に、自宅などで梅干しや梅ジュース作りを楽しんでいる利用者さんもいらっしゃるのではないでしょうか?この時期ならではの旬の梅を使ったレクリエーションは、きっと盛り上がることでしょう。
また、紫陽花が見頃を迎えるのもこの季節ならではの楽しみです。梅雨をただ憂鬱なものと捉えるのではなく、季節の恵みや楽しみ方を見つけながら、上手に付き合っていけるといいですね。
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