【倉敷市】ZAKKA MOKO ~ 店主の“いいな”が詰まった、岡山県外のハンドメイド作品が集まる雑貨屋
倉敷市児島にある、鴻八幡宮(こうはちまんぐう)の近くで、静かに店を構える雑貨屋があります。
2022年に5周年を迎えた、「ZAKKA MOKO」です。
ひとつとして同じものがないのが魅力的な、ハンドメイドの雑貨を取り扱う店。
ZAKKA MOKOには、自分用の雑貨はもちろん、大切な人に贈るプレゼントを探す人が多く訪れます。
お客さんが口をそろえて言うのは「MOKOに行けば、何かある」。
岡山で“ここでしか手に取れない”雑貨に出会える、ZAKKA MOKOの紹介です。
ZAKKA MOKOとは
ZAKKA MOKOは、2017年にオープンした雑貨屋です。
種類が豊富なハンドメイドの雑貨と、店主の富岡典子(とみおか のりこ)さんのあたたかな人柄がお客さんを魅了し、2022年で5周年を迎えました。
雑貨の販売スペースは、建物の2階。
廊下を少し進んだ先に店が見えてきます。
手前が常設スペース、奥が企画展スペースです。
販売している雑貨の中心は、ピアスやイヤリングなどのアクセサリー。
ほかにもうつわや文房具、衣類(子ども用・女性用)などを販売していて、“雑貨”とひとことで言っても幅広く取り扱っています。
また雑貨だけではなく、空間そのものがナチュラルな雰囲気なのも魅力。
白を基調とした壁、どこか懐かしさを感じるような家具、ハンガーラック代わりに天井から吊り下げている木を使うなど、店全体を見渡したくなるような空間です。
時間帯によっては太陽の光が差し込み、空間の柔らかさと自然光によってさらに心地いい空間になります。
ひとつひとつていねいに作られた雑貨をじっくりと見られるよう、空間にまでこだわった雑貨屋です。
ZAKKA MOKOの特徴
コンセプトは「ヒトとモノと想いが集まる場所」。
店主の富岡さん・作家さん・お客さんが出会うきっかけとなる場所です。
ZAKKA MOKOには、いくつかの特徴があります。
雑貨
ZAKKA MOKOで取り扱う雑貨は、ひとつひとつが手づくりです。
富岡さんが“いいな”と思う雑貨であることが、店で取り扱う基準。
“その人にしか作れないもの”に、富岡さんの心は動いているようです。
「販売されているパーツをただ組み合わせているのではなくて、材料や型からオリジナルのデザインで作られている作品を多く集めています」
手づくりのあたたかさを感じながら、唯一無二の雑貨に出会えるのがZAKKA MOKOの特徴なのです。
作家さんのほとんどが岡山県外在住
ZAKKA MOKOでは、常設で20名ほど、企画展で5名~10名ほどの作家さんが作った雑貨を取り扱っています。
8~9割は岡山県外に住む作家さんの作品を仕入れるのが、富岡さんのこだわりです。
「岡山県外に住む作家さんの作品は、なかなか実物を見られないですよね。“岡山ではMOKOしか置いていない”雑貨を扱うことで、作家さんとお客さんが出会う場にしたいんです」
企画展
企画展は毎月開催しているため、1年で12回おこなっているそう。
もちろんすべて富岡さんが企画し、テーマを決めて雑貨を集めています。
取材時に開催していたのは、毎年おこなっている「私のおきにいり展」。
ZAKKA MOKO1周年のときに開催した、初めての企画展を続けているそうです。
企画展では富岡さんが作家さんへ直接連絡し、出店を依頼しているそうですが、今回は初めての試みもあったと話します。
「今回の『私のおきにいり展』では、初めて作家さんを募集してみたんです。“はじめまして”の作家さんばかりで、とても新鮮でした」
毎月のように新たな作家さんや作品に出会えるのも、ZAKKA MOKO企画展の魅力です。
寄宿舎だった建物
ZAKKA MOKOの建物は、もともと製縫工場の寄宿舎として使われていました。
富岡さんによると、建物は築60年くらい。
富岡さんのひいおじいさんが寄宿舎を経営していて、その後は事務所として貸し出していたときもあるそう。
ZAKKA MOKOをオープンする直前は使われておらず、建物だけが残っている状態でした。
富岡さんは雑貨屋をやりたいと思ったときに「寄宿舎として使っていた、この建物を思い出した」と話します。
家族に相談したのち、2階部分を活用してZAKKA MOKOをオープンしました。
店内をよく見ると、壁側にはもともと棚として使っていたものがそのまま展示スペースになっています。
住宅地に構えていることもあり、「MOKOを目的に来てくださるお客様が多いんです」と、富岡さんは笑顔で教えてくれました。
販売している雑貨を一部紹介
ZAKKA MOKOにある、個性豊かな雑貨を一部紹介します。
作家さんの作品は1点ものです。売り切れている場合もあります。
ピアス・イヤリング
ZAKKA MOKOで一番多い、ピアスやイヤリング。
「ツルコケモモ」は、常設で取り扱っているアクセサリーブランドです。
透明感のある樹脂でできたパーツのなかに、小さな花が散りばめられているかわいらしい作品。
また形は丸いものもあれば、氷のようにいびつなものもあり、ひとつとして同じものはありません。
左右で形が違うものも、手づくりならではの特徴ですね。
洋服(女性用)
トップス、スカート、ワンピースなど、作家さんが作った女性用の洋服を扱っています。
写真は「aoiro.t」の作品で、「私のおきにいり展」に合わせて扱っている洋服。
子ども服を中心に作っているブランドで、大人も合わせて着るとおそろいのコーディネートが完成します。
ZAKKA MOKOのオープン当初は大人用の洋服を扱っておらず、子ども用のみを置いていたそう。
ただ、富岡さん自身が作家ものの洋服が好きでよく着ていたため、「それどこの?」「それ誰の?」とお客さんから声をかけてもらう機会が多かったと話します。
「洋服、たしかに置いてもいいかもな」と思い、オープンして1年が過ぎたころに洋服を置きました。
店内には試着室もあり、安心して買い物を楽しむことができます。
文房具
店内には、文房具も多く取り扱っています。
取材時はcozyca productsが作っているブロックメモ帳や便箋(びんせん)などが印象的でした。
作家さんとのコラボレーションで作られた文房具は手書きのイラストが描かれていて、ひとつひとつをじっくりと見たくなるようなものばかりです。
子ども用の雑貨
子ども用の雑貨は、ヘアアクセサリーや洋服、食卓に並べるうつわやフォークなどがあります。
手縫いでひとつひとつ作られたアクセサリーは、優しい色合いでありつつも鮮やか。
子どもも大人も楽しめるようなデザインの雑貨が多いのが印象的でした。
ZAKKA MOKOは、どのような想いでオープンした雑貨屋なのでしょうか。
店主の富岡さんに、5年間を振り返りながら話を聞きました。
富岡典子さんインタビュー
2022年に5周年を迎えたZAKKA MOKO。
どのような想いでオープンし、5年間続けてきた雑貨屋なのか、店主の富岡典子さんに話を聞きました。
インタビューは2022年5月の初回取材時に行なった内容を掲載しています。
オープン前はほとんどなかった、岡山県外の雑貨を扱う店へ
──なぜZAKKA MOKOを始めたのですか?
富岡(敬称略)──
雑貨を直接手に取れる場所がほしいと、私自身が思っていたからです。
昔から雑貨が好きで、手づくりのアクセサリーや服を身にまとって自分の気持ちを上げていました。
子どもが生まれてからはとくに、雑貨によって自分をご機嫌にしてあげる時間が増えていたんです。
育児に直接必要ではないけど、自分にとっては大事にしたい時間でした。
ZAKKA MOKOをオープンする10年くらい前から、オンラインショップで雑貨を買っていました。
岡山県内にも雑貨屋さんはあったけれど、岡山に住む作家さんの作品を扱っている店がほとんどだったんです。
岡山県外で活動している作家さんの作品もほしくて、オンラインショップを使っていました。
ただ、インターネット上の写真だけを見て買うと「色が思っていたのと違うな」とか、「裏側まで形を見てから買いたかったな」とかを思うときがあって。
「岡山県外に住む作家さんの作品も、直接手に取れる場所があったらな……」と思ってから、自分で雑貨屋をやることに興味が出てきました。
友人に冗談半分で「雑貨屋をやりたいんだよね」と話してみたら、「やってみたらいいが」と言ってくれたのを覚えています。
本やインターネットで夢中になって調べていくうちに、「やってみたい!」と思うようになりました。
──とても大きな決断だったと思いますが、今までに小売業などの経験はあったのですか?
富岡──
いえ、まったくありませんでした。
ただ当時から好きな作家さんは何人もいたので、店のイメージだけはどんどん具体的になっていて。
「あとは仕入れの方法を調べたり、イメージしていることをカタチにしたりするだけだな」と思ったときに「できるかも!」と思えるようになりました。
オープンするタイミングにも恵まれたと思います。
場所として選んだ寄宿舎は、身内が使っていたので安く借りられましたし、母にも店の運営をちょうど手伝ってもらえるときでした。
2人目の子どもが1歳半で手がかかる時期だったけど、周りの協力を得られそうだったので「オープンするなら今しかない!」と思っていました。
「MOKOに来たら、何かある」
──5年間、子育てをしながらZAKKA MOKOを続けてきたのですね。富岡さんが「ZAKKA MOKOをやってきてよかったな」と思うのは、どのような瞬間ですか?
富岡──
ついさっきもあったのですが、プレゼントを選びに来てくださるお客さんが多いことです。
「MOKOに来たら何かあるけん」と言ってくださって、それが本当にうれしかったですね。
自分のために選んでくださるのももちろんうれしいんですけど、大切な人へのプレゼントが「MOKOに来たら絶対見つかる」と思ってもらえているのもうれしいんです。
私が“いいな”と思って扱っている雑貨が、いろんな人に届いている喜びがあります。
──きっと大切に作られた雑貨を、じっくりと選べる時間も楽しいのではないかと思います。
富岡──
そうだとうれしいですね。
私が“いいな”と思って集めていくと、原色のものは少なくて、優しいトーンの雑貨が揃っていくんです。
だから壁の色や棚なども柔らかい雰囲気にしていて。
「居心地がいいな」と思ってもらえたらうれしいです。
とはいえ今でも、ディスプレイについては「これでいいんかな」と思いながら決めています。
何をどこに置くかとよりきれいに見えるか、店をオープンした当初はけっこう悩んで本などを見て調べていたので。
少しずつ、少しずつ変えていきながら、今のような店になりました。
雑貨を通して、人と人がつながる場に
──これからやってみたいことはありますか?
富岡──
もう、やってみたいことばかりなんですけど……。
企画展はもちろん、イベントもやってみたいですね。
以前イベントをしたことがあって、10~15名の作家さんや飲食店さんに来てもらって、つながる場を作っていたんです。
雑貨に似て、優しくあたたかい雰囲気に包まれるようなイベントをまたやりたいと思っています。
私が2022年秋に出産を控えているので、ゆっくりと、ひとつひとつを実現していきたいです。
──最後にメッセージをお願いします。
富岡──
直接手に取って、手づくりのあたたかさを感じながら雑貨を選んでもらえたらうれしいです。
私自身が大切にしていることでもあるので、ZAKKA MOKOにお越しいただいたときにはゆっくりと過ごしていただけたらなと思います。
おわりに
ZAKKA MOKOは、富岡さんの「雑貨が好き」というまっすぐな気持ちから生まれた雑貨屋。
「私が“いいな”と思った雑貨を選ぶ」と話す富岡さんの声や表情はとても柔らかく、かつ芯が通ったブレない意志を感じました。
富岡さんが5年をかけてていねいに育ててきた「好き」が詰まった空間が、また誰かの「好き」につながっていて、その連鎖がなんて魅力的なんだろうと思います。
筆者も、ハンドメイド雑貨が好きなひとり。
取材後はつい店内をもう1周したくなり、気に入ったアクセサリーを購入してから店を出ました。
みなさんもぜひ、日頃がんばっている自分のご褒美に、また大切な人への贈り物を選びに、ZAKKA MOKOでハンドメイド雑貨のあたたかさに触れてみてください。