釜石・大町広場 ウッドデッキに美観再び 塗装奉仕の日本塗装工業会県支部に市から感謝状
釜石市の中心市街地にある公園「大町広場」のウッドデッキが美しい景観を取り戻した。一般社団法人日本塗装工業会岩手県支部(松田隆二支部長、29社)が社会貢献活動として、ボランティアで塗装作業を買って出たもので、広場は明るく快適な空間に生まれ変わった。市は26日、同支部に感謝状を贈り、多大な貢献へ謝意を表した。
同広場は、東日本大震災後の復興まちづくりの中で整備され、2015年6月に完成。大型商業施設「イオンタウン釜石」や共同店舗「タウンポート大町」に隣接し、市民の憩いの場、また各種イベント会場としても活用されてきた。特徴的なウッドデッキは9年が経過し、塗装の劣化で色あせた印象となっていたところ、県内の建設塗装業者で組織する同支部から奉仕活動の申し入れがあり、今回の再整備が実現した。
2月26日、県内各地から32人の職人が集まり、木材保護塗料を施す作業が行われた。事前に高圧洗浄機で汚れを落としておいたデッキに2色の茶系塗料を塗った。デッキの一部はステージとしても使われるため段差がある。職人らは手間のかかる作業を分担しながらこなした。完成時のような美観を取り戻した広場は市民にも好評で、散歩や買い物に訪れた人たちが休憩したり、子どもたちが遊ぶ姿が見られている。
作業から1カ月となった一昨日26日は、同支部への感謝状贈呈式が市役所で行われた。同支部から松田支部長、千葉俊一事務局長、地元業者の伊東公一さん(松草塗装工業代表取締役、中妻町)が訪れ、小野共市長から感謝状を受け取った。
松田支部長は「塗装の目的の一つが美観。そういった部分を見て喜んでもらえるのは非常にうれしい。地域の皆さんあっての塗装の仕事。感謝の心を忘れず、これからもまい進していきたい」。市との調整役を担った伊東さんは「今回の活動には予想以上の参加があった。皆さんの協力でこの広さ(約650平方メートル)を1日で仕上げることができた」と仲間との絆を示した。
小野市長は「県内景気が悪い中で、身銭を切って市民のために奉仕していただいたことに深く感謝する。皆さんの気持ちが本当にありがたい」と頭を下げた。
同支部は1955年に発足。人材育成、労働安全衛生活動、情報収集などを行いながら、会員の経営強化、業界の地位向上などを目指してきた。年1回の社会貢献活動も長年にわたり継続。今年、創立70周年を迎える。支部はこの後、タウンポート大町前のウッドデッキ塗装も手がける予定で、4月中の完成を見込む。