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卒業や異動の季節。ちょっとの工夫で「伝わる文章」に。感謝の気持ちを上手に伝える書き方のコツや工夫を教えます

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メッセージや寄せ書きに「伝わる文章」を書くポイント、文章力が上がる方法とは?

3月は卒業や人事異動など、お世話になった人にメッセージや寄せ書きなど感謝を伝える文章を書く機会が多い季節。そこで今回は「感謝を伝える文章を上手に書くコツ」を『「うまく言葉にできない」がなくなる言語化大全』(ダイヤモンド社)の著者・山口拓朗さんに教えてもらいました。聞き手はSBSアナウンサー新城健太。

<目次>
・主語と述語を明確にして一文を短く
・具体的なエピソードを交える
・X(エックス)の140文字で文章力アップ
・「やばい」は要注意!
・結論、理由、具体例の順で書く
・スマホで類語検索もおすすめ

主語と述語を明確にして一文を短く

新城:具体的に「伝わる文章」とはどんな文章を指すのでしょうか。

山口:いろいろポイントはありますが、「具体的に書くこと」が一番大切です。

例えば「この映画は面白かった」と言われても、どういう意味で面白いのかは相手に伝わりません。「主人公のラブロマンスが面白かった」「カーアクションが大迫力で刺激的で面白かった」など、具体化することでぐんと伝わりやすくなります。

新城:なるほど!ほかにもポイントはありますか。

山口:できるだけ一文を短くして、主語と述語を明確にするのがポイントです。句読点でダラダラと続けてしまう人がいますが、文章が長くなると相手に伝わりづらくなります。

「一文の中に盛り込む情報は1つ」という原則があります。それを守っている人は「伝わる文章」が書けている人だと思います。

新城:就活中に「一文を短くするように」とよく言われました。そのためバラエティーのトーク番組でお笑い芸人の話し方を研究しましたが、聞いていると本当にテンポが良くて、勉強になったことを思い出しました。

具体的なエピソードを交える

新城:3月は別れの季節で感謝の気持ちをどう伝えるか苦労する人が多いと思います。感謝を伝えるにはどうしたらいいですか。

山口:例えば「〇〇先生ありがとうございました」で終わってしまう人もいますが、これだと何に対して感謝されているのか分からないので具体的に書く必要があります。

「尊敬している〇〇社長とのご縁をいただき感謝しています」「仕事の効率を上げるための手帳の使い方を教えていただき、ありがとうございます」「先日教えてもらったお店に母を連れて行ったらすごく喜びました」など、具体的に伝えると相手は本当に教えて良かったなという気持ちになると思います。

X(エックス)の140文字で文章力アップ

新城:中には文章を書くのが苦手な人もいると思いますが、文章力が上がる方法はありますか。

山口:文章はアウトプットなので、普段からアウトプットの量を増やすことが大切です。普段からとにかくメモを取ってください。そしておすすめは、140文字で言いたいことを伝えるSNSのX(エックス)です。「今思っていること」や「最近見た映画」「感謝すべきこと」などを140文字でまとめるスキルが身に付きます。

「やばい」は要注意!

新城:気持ちが伝わらないNGの表現や例はありますか。

山口:やはり曖昧でぼやっと抽象的な言葉では伝わりにくいと思います。最近だと「やばい」という言葉が便利で流行っていますが、この言葉は「おいしい」「まずい」「おもしろい」「つまらない」などすべての意味で使えてしまいます。

「やばい」で済ませてしまうと具体的には伝わらないので「六本木のスターバックスコーヒーで村上春樹のノルウェイの森を読んだ」のように固有名詞を使って具体的に話した方がいいです。カジュアルな会話は、フォーマルな場では伝わらないことがあるので注意が必要です。

結論、理由、具体例の順で書く

新城:メールや手紙のあいさつ文で感謝の言葉の書き出しが難しいという人もいると思います。コツを教えてください。

山口:大枠をちゃんと伝えることを意識してください。例えば「先日はお力添えをいただいたおかげでイベントがうまくいきました」のように、抽象度は高いですがまず大枠を伝えた上で、具体的にどうお世話になったかを書くといいでしょう。

新城:鉄板のテンプレートはありますか。

山口:一般的な文章の書き方として「結論、理由、具体例」の順で話すことをいつも意識しています。

スマホで類語検索もおすすめ

新城:語彙力を高める方法はありますか。

山口:“言葉の引き出し”が少ないと感じている人こそ、ぜひスマホで知らない言葉を調べたり、類語検索をしてみてください。「こういう言い回しはいいな」と意識して勉強していると、語彙力がどんどん上がっていきますよ。

新城:スポーツ実況の仕事もどういう言い回しが適切なのか類語を検索して日々勉強しています。最後にリスナーにメッセージをお願いします。

山口:言葉にすることや文章を書くことは才能ではなく、スキルだと思います。どなたでも基本のコツをしっかり学んでエクササイズやアウトプットを繰り返していくことで、具体的な話し方や書き方ができるようになります。諦めずに楽しんでアウトプットしていってください。

※2025年3月3日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。今回、お話をうかがったのは……山口拓朗さん
伝える力【話す・書く】研究所所長/山口拓朗ライティングサロン主宰 
出版社で編集者・記者を務めたのちライター&インタビュアーとして独立。現在は執筆・講演・研修活動を行う。著書は10万部突破『「うまく言葉にできない」がなくなる 言語化大全』(ダイヤモンド社)、最新刊『読解力は最強の知性である 頭のいい人の1%の本質を一瞬でつかむ技術』(SBクリエイティブ)など32冊。

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