「景気の回復基調」は楽観的 “需給ギャップ”への政策は運任せ!?
12月10日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、GDPを踏まえた最新の民間予測について意見を交わした。
しょぼい財政にトンデモ金融政策
国内景気の回復基調が続いている。内閣府の国内総生産(GDP)改定値を踏まえた最新の民間予測では、10~12月期の実質GDPも前期比年率1.0%増と3四半期連続の成長が続く。
内閣府が9日発表した7~9月期の実質GDP改定値は前期比0.3%増、年率換算で1.2%増だった。在庫などを見直したことで、速報段階から上方修正となった。
住宅のリフォーム需要が想定より多く、民間住宅も全体を押し上げた。
GDP改定値を踏まえ日本経済新聞社は民間エコノミスト10人に今後の経済見通しについてアンケート調査を実施した。10~12月期の実質GDPについて予測平均は前期比0.2%増、年率1.0%増の見通しだった。
「“GDPの回復基調が続いている”という見方について、田中さんこれはいかがですか?」(寺島アナ)
「一年を四等分して、今回の改定値は7~9月。いま進行中なのは10~12月ですよね? それに対してのエコノミストの見方はかなり楽観的で、おそらく歳末調整の今の時期に消費がけん引し始めるということを織り込んでいるわけですよ。エコノミストの平均の見通しが成り立つとしても、一年通じてプラス成長になるかというと実際のところ微妙な段階です。仮にプラスになったとしても、ほんのちょっとプラスになる程度だと思います」(田中氏)
田中氏は経済全体の需給ギャップを問題視する。
「いま“需給ギャップ”といって、経済全体のお金不足が数兆円あるんですよ。その解消について、楽観シナリオでは“無くなる”ということですよね? だけれども、経済が安定化するにはGDPをさらに拡大しないといけない。理想的な拡大っていうのは最低でも20兆円、理想的には25兆円くらい拡大しないといけないわけですよね。そういったことを促すためには、民間の事実的な経済活動、自主的な消費や企業の設備投資だけでは力不足であるから政府の財政政策が重要なんですが、僕から見ると今の石破政権の補正予算はしょぼい。ただでさえしょぼいのにも関わらず立憲民主党はもっとしょぼくする、っていうね。だから立憲民主党中心の政策にしたらヤバいなというのは分かりますけどね」(田中氏)
さらに田中氏は今後の金融政策に目を向ける。
「金融政策は12月の利上げはやらない見通しがあるそうですが、1月はやるということですよね? 経済状況が安定化していないにも関わらず利上げありき。しかもそれは為替レートを見ている、と。円安っていうのは当然、日本の金融政策とアメリカの金融政策の複合生産物ですよ。日本だけがどうこうしてもアメリカ側の都合で為替はどんどん変わっちゃいますから。それを日本の都合だけで変えようとしているのが日本銀行ですよ。はっきり言ってトンデモです。しょぼい財政にトンデモ金融政策ですから、まあ運が良ければ……」(田中氏)
「もう“運”なんだ。神頼みですね」(寺島アナ)
〈出典〉
景気、回復基調保つ 10~12月実質GDP1.0%増予測 | 日本経済新聞 (https://www.nikkei.com/article/DGKKZO85350730Z01C24A2EP0000/)