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ピアニスト・金子三勇士「国境を越えた一期一会の共演ができれば」~『World Orchestra Festival of Daegu in Japan 大邱市立交響楽団 大阪公演』が開催

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ピアノ:金子三勇士

2025年9月25日(木)大阪 ザ・シンフォニーホールにて、『World Orchestra Festival of Daegu in Japan 大邱市立交響楽団 大阪公演 ~Daegu Symphony Orchestra~』が開催される。本公演では、指揮をペク・ジンヒョン、ピアノを金子三勇士が務め、韓国・大邱市立交響楽団が演奏を担当する。

指揮:ペク・ジンヒョン       (C)KIMHYUKSANG

管弦楽:大邱市立交響楽団      (C)KIMHYUKSANG

この度、出演者のピアニスト・金子三勇士のインタビューが届いたので紹介する。

「人生観や歴史的背景、東欧の空気を感じさせる」ラフマニノフの名作コンチェルトを韓国の名門オーケストラと初共演

ーー今回にようにペク・ジンヒョンさん&大邱市立交響楽団のように初共演する演奏家の場合、音楽づくりにおいてどんな点を大切にされていますか?

まずは相手を心からリスペクトする事です。ピアノ協奏曲のソリストである以前に、僕も同じ舞台で演奏する一人の音楽家。指揮者さんも、団員さんもそれぞれの考え方や解釈、音楽に対する向き合い方があり、全員で心地よく共演するためには互いの信頼関係が一番大切だと考えます。そのため、リハーサルではなるべく目の前にいるマエストロのスタイルに合わせ、ときに弾きながらディスカッションを重ねることもあります。今回は韓国、日本、そしてハンガリー。それぞれのアイデンティティがある中で、最後は「音楽」という世界共通の言語で、国境を越えた一期一会の共演ができればと思います。

ーーラフマニノフのピアノ協奏曲第2番について感じていることは?

人気の高い作品ですが、近年耳にする解釈の多くは割と軽やかで柔らかいフレージングが特徴の演奏。しかし僕が学んできた東欧のピアニズム的には、上質な音色を保ちつつも、ピアノを低音域からしっかり鳴らし、強めの打鍵でより情熱的なアプローチが主流。今回も僕はそのように弾きたいと思います。過去の名ピアニストで例えるならばリヒテルやコチシュのイメージでしょうか。第2番はラフマニノフの人生観、歴史的背景、そして東欧ならではの空気を感じる事ができて大好きな作品です。10代の頃から弾いている協奏曲ですが、僕自身が大人になっていくのと同時に、ピアニストとしても経験を積み、作品への理解も当然深まっています。第2楽章のフルートとの掛け合いは、美しいメロディの中でラフマニノフの心の叫びが聴こえてくるようで、弾いていて涙してしまう事があります。ある程度の人生経験があって初めて作曲家の思いに気づけるのかもしれませんね。力強さと繊細さ。情熱とロマンティシズム。人間の様々な感情が詰まった一曲。クラシック初心者の方にもぜひ聴いてほしいですね。

ーー「日本=ハンガリー未来プロジェクト」のエグゼクティブ・プロデューサーを務められていますが、具体的にどのような活動を行っているのか簡単にご紹介ください。

私の二つの祖国、日本とハンガリーの国家間文化交流を更に充実させたい思いで活動をしています。2026年にはブダペストで開催予定の「ハンガリー子どものためのバルトーク国際ピアノコンクール」に日本の子どもたちを派遣するプロジェクトを企画しています。バルトークの芸術とハンガリーの文化に触れることで、よりグローバルな視点を持ち、発想力と想像力を磨く一つのきっかけになればいいなと。

ーーザ・シンフォニーホールでこれまでにも何回か演奏されていますが、同ホールで弾く魅力を教えてください。

ザ・シンフォニーホールの温かく上質な響きが大好きです。同時に、大きなホールでありながらも不思議とお客様との距離を近く感じます。まるで大きなサロンのような空間で演奏できるのはとても幸せな感覚ですね。

取材・文:城間勉(音楽ライター)

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