【焼津・カネオト石橋商店】世界向け大会で部門グランプリ! 職人が作るカツオ調味料「酒盗の恵み塩」
静岡有数の港町、静岡・焼津市。今回は世界のシェフやバイヤーにも評価され賞を獲得したという、焼津の職人が作る新たな調味料「酒盗(しゅとう)の恵み塩」を調査しました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへなまり節と塩辛が自慢の老舗
ウワサの調味料を開発したのは、焼津漁港から車で3分ほどのところにある、創業明治35年の老舗「カネオト石橋商店」です。
カツオの身を4つに切って釜ゆでにした、焼津の特産品「なまり節」がメインの商品です。
さらにカツオの中にあるワタ(内臓)を使ったカツオの塩辛(酒盗・しゅとう)が自慢の商品です。
塩辛の原料になるのは、カツオの胃袋など内臓です。
たるの中にはカツオの内臓がぎっしり。
丹念に内臓を手洗いし、塩をまぶして発酵させることで塩辛ができあがります。
カツオの身の部分はなまり節に、内臓は塩辛に。カツオを余すことなく使い、さまざまな商品を生み出しています。
そんなカネオト石橋商店で新たな調味料を開発したのは、4代目・石橋利文さんです。
世界が絶賛した調味料とは、一体どのようなものなのでしょうか。
早速作業場へ向かいました。
ウワサの調味料とは一体?
ウワサの調味料も、カツオに関係しています。
石橋さんが取り出したのは、茶色っぽい液が入った容器です。一見何か分かりませんが、実は塩なんです。
通常、カツオの塩辛を作る際に使った塩は、そのまま捨ててしまいます。しかし何かに活用できないかと考えて生み出されたのが、「酒盗の恵み塩(500円)」です。
英語名は「ウマミ アーティサン ソルト」。アーティサンとは、職人のことです。
(英国名まであるんですね!)
カネオト石橋商店・石橋利文さん:
ちゃんと海外進出を目指していますから
塩には塩辛を作る際にカツオから出てきたうま味が染み込んでいます。
香りをかいでみると、それだけでご飯が食べられそう。塩でありながら、しっかりとカツオのうま味を感じられます。
普段捨ててしまう“塩辛の塩”を、新たな商品として売り出すことができるのでは。石橋さんが、そうひらめいたのは2022年。
その後、試行錯誤を繰り返し1年かけて商品化にこぎつけました。
なにに使ってもおいしいですが、中でも石橋さんのおすすめは「すまし汁」。
お湯に小さじ1/2程を入れてかき混ぜるだけで完成です。塩を入れただけなのに、まるでダシを取ったかのようなおいしさ。ワカメを入れるとよりおいしく食べることができます。
他にも、フライトポテトや天ぷらに付けて食べれば、カツオのうま味が相乗効果となって、さらにおいしく楽しめます。
世界の審査員が絶賛
この「酒盗の恵み塩」は2024年8月、シンガポールで開かれた「にっぽんの宝物 世界大会」で部門グランプリを獲得。
審査員には海外のシェフやバイヤーが名を連ねていました。
石橋さんは自ら審査員に酒盗の恵み塩の良さをアピール。みごと「職人の知恵」部門でグランプリを獲得しました。
カネオト石橋商店・石橋利文さん:
特にすぐ使えること、人件費を抑えられるといった点で評価が高かったです
すでに次の構想があるそうで、お酒に合う商品なんだとか。
カネオト石橋商店4代目・石橋利文さん:
近年は職人をやっている人が少なくなっています。そういった中で先人の技術を基礎として、新しい技術を取り入れて進化していくことが必要だと思います
昔ながらの知恵を大切にしながら、新たな知見も取り入れて進化を遂げる「カネオト石橋商店」。今後の動向からも目が離せません。
■店名 カネオト石橋商店
■住所 静岡県焼津市城之腰91-5
■営業時間 9:30~17:30(販売所 10:00~17:00)
■定休 火(隔週)・土・祝前日(夏季・冬季休業あり)
■問合せ 054-628-2920